第30話 GW最終日3(それぞれの視点)
お待たせしました。今回でGW編は終わりです。
[佐奈視点]
「うわぁぁぁぁ~、やっちゃったぁぁぁ~!?うっ、いたい・・・」
目を覚ました私は大声を出した後すぐに頭を抱えました。ううっ、昨日飲みすぎて見事に二日酔いになってちゃってる・・・。
ガンガンと響く頭痛に悩まされながら私はキッチンへと向かい、冷蔵庫に入れてあったミネラルウォーターをコップに注いで一気に飲みました。
「んぐんぐ・・・はぁ~」
ほんの少し頭の中がクリアになった気がすると同時に昨日の記憶が鮮明に浮かび上がります。
センパイと一緒にイタリアンの店で夕食を食べた事、途中で赤ワインを飲みすぎて酔っ払ってしまった事、酔っ払った私をセンパイが部屋の中まで送ってくれた事、そして何よりベッドにセンパイを押し倒して抱き着いた事を!
ですがその後の事を思い出そうとしても思い出せません。
ま、まさかっ!?
私は慌てて自分の身体全体を鏡も使って見回しました。服は昨日夕食を食べに行った時のまま、ざっと見た感じ着衣自体に乱れは無さそうで特に脱いだという形跡も無し。身体も二日酔いである事以外特におかしなところは無さそう。
「よ、良かった~」
ひとまずアレな事をした感じは無いので一安心。でも少し残念な気持ちもあったりします。
だって既成事実さえ作ってしまえば、センパイの事ですから責任を取ってくれるに違いありません。
センパイと恋人になれたらきっと楽しいだろうなぁ。デートに誘ってくれて私を優しくエスコートして最後にはホテルへ・・・って何考えてるの!?
危ない妄想を現実逃避気味に浮かべてしまう。だって、明日になったらまたセンパイと顔を合わせるんですよ!?あんなはしたない真似をしてどんな顔で会えば良いっていうんですか!?
「うぅ〜、どうしよう〜」
きっと恥ずかし過ぎて目も合わせられないに決まってます!でもそんな態度を取ってセンパイに気付かれたら、それこそしばらくは気まずい雰囲気になるに決まってます!
じゃあどうすれば良いか・・・出した結論はっ
「酔っ払って覚えていない事にしましょう!」
だって今の距離感を変えないようにするためにはこれが一番です!以前もセンパイに送ってもらった事があるみたいですけど全く記憶に無かったですし、今回も同じだと思われて収まるに違いありません!
「はぁ、どうしたんだろ私・・・」
学生時代はむしろ男を手玉に取っていたはずなのに、センパイの前だとどうしても上手くいきません。
・・・これが本気で好きになったという事なのでしょうか?
うう、頭が痛くて考えが纏まりません。
「寝よう・・・」
半ば考えを放棄して私は再び眠りに就くのでした。
[彩音視点]
「彩音、そろそろ上がっても構わないぞ」
マスター、もといお祖父様が私にお声を掛けられます。
「あら、まだ閉店までには時間がありますわよ?」
現在の時間は19時。閉店時間まであと2時間はあります。
「ふっ、この時間になったら目当ての彼はもう来ないじゃろう。待ってても無駄じゃないかの?」
見透かすようにニヤリと笑みを浮かべるお祖父様。私は諦めたように溜め息を吐きます。
「・・・さすがお祖父様、鋭いですわね」
「馬鹿もん、そのくらいワシでなくても丸分かりじゃ。それにしても結局1日も来なかったのう」
「ええ、せっかく毎日出ていましたのに」
そう、目当ての彼ことヒロさんはGW中に一度も来店がありませんでした。まあ理由は推測出来るのですけど。
「彩音も忙しいのにご苦労な事じゃ。会えるかどうかも分からんのに毎日出てくるとは思わなんだぞ」
「別に良いじゃありませんか。私にとって『木漏れ日』は良い息抜きの場所なのですから。それにお祖父様だって助かっているのではありませんか?」
「否定はしないがの。ま、本業を疎かにしていたらさすがに注意はしたぞ」
「あら、私が手を抜くとでも?」
「分かっとるから注意はしとらんじゃろうが。まったく、恋愛面でもその手腕を見せてくれれば良いのじゃが」
「お祖父様?」
私が睨み付けるとお祖父様は視線を逸らしました。
「おお、怖っ。これ以上怒らせるとまずいから退散しようかの」
そう言ってお祖父様は厨房の方へと姿を消しました。
「お祖父様ったら・・・」
普段は厳しくも優しいお祖父様をとても尊敬しているのですが、余計な一言が多いのは玉に瑕ですわ。
私だって何もしていない訳ではないのですわ。意中の相手を射止めるにはまず相手の事をよく知っておかないといけません。生年月日、家族構成、経歴といった基本的な情報だけでなく、人間関係といった少し踏み込んだ詳細な情報まで調べられる内容はほぼ調べたのではないでしょうか。
あらかじめ情報を知っておけば、相応の立ち回りが出来るというものです。
ヒロさんと知り合ってから充分な時間は経ちましたので、そろそろ動き出さなければと機を伺っていたのですが・・・。
「さすがの私もあの展開は読めなかったですわ・・・」
きっとヒロさんにとっても予想外の出来事だったでしょう。私だってあの情報を入手した時はもう少し早く動き出していれば良かったと悔やみもしました。
しかし、逆に考えると動き出すための良いきっかけだったともいえます。
・・・今の状況を上手く利用すれば、懐に入っていく事もそう難しくないはず。
邪魔者も増えてきましたし、すぐにでも計画を実行しましょう。
「ヒロさんを射止めるのはこの私ですわ!」
新たな決意を胸に私は帰路へと着くのでした。
[??視点]
「ん〜、今年も帰ってこなかったか〜」
予想はしてたけど、残念な気持ちである事に変わりはない。
最近会えていないし、そろそろ突撃でもしよっかな~。よし、そうしよう!
あはは、待っててね!
いつもお読みいただきありがとうございます。
今回で2章は終わりですがいかがだったでしょうか。
1章よりも短いですが、書きたかった内容はある程度入れられたと思っています。
次も読みたいと思えるような展開になっていると良いのですが。
まだまだ手探りではありますが、引き続き本作品を楽しんでいただけると幸いです。




