第24話 GW2日目4
お待たせしました。今回は短めです。
涼風を出た後、俺と莉緒ちゃんは再びショッピングモール内を歩き始める。
「何か見たい物とかある?」
基本的にショッピングモールに来る事はほとんどないので、ここは莉緒ちゃん優先で見て回ろうと思っていたけど・・・。
「そうですね・・・、食器がもう少し欲しいのと、洗剤ももうすぐ切れそうですから・・・」
「ち、ちょっと待った!」
「え?どうかしましたか?」
俺が慌てて止めると、莉緒ちゃんが不思議そうな表情で首を傾げる。
いや、そうじゃない!と思わず口に出しそうになる。
そりゃ莉緒ちゃんの見たい物である事に間違いはないだろうけど、俺が求めていた答えとは違うんだ。
そういえば莉緒ちゃんは昔からあまり物欲が無かった事を思い出す。
今はそうではないけど、昔は誠也の収入が少なくて常にギリギリの生活を強いられていた。それでも誠也は莉緒ちゃんを不自由にさせたくなくて(溺愛していたというのもあるが)、莉緒ちゃんの欲しがった物はできる限り買ってあげようとしていた。
しかしその家庭環境を子供ながらに察したのか分からないけど、莉緒ちゃんは欲しい物をほとんど言わなかったのだ。
俺も欲しい物を聞いたんだけど、
『お兄ちゃんと遊べれば良いの!』
と笑顔で返されたので、時間を見つけては莉緒ちゃんと遊ぶようにしていた。本当にこれで良いのかと思ったけど、誠也からはかなり感謝されたので間違いではなかったのだろう。
話が少し逸れてしまったけど、ここで直接欲しいものを聞いたとしても望んだ答えは返ってきそうにないと感じていた。
「それは帰りにスーパーでも寄って買おうか。そうだな、とりあえず本屋にでも行こう」
「良いですね!行きましょう!」
莉緒ちゃんが喜んでくれた事に安心しつつ、しばらく歩くと本屋に到着した。
ショッピングモールに店を構えるだけあってかなり規模は大きい。
「わぁ、いっぱい種類があります!」
漫画やラノベのコーナーに着くと莉緒ちゃんが嬉しそうな声を上げる。
「何か気になってる作品ってある?」
「そうですね・・・あ、この作品は前から気になっています」
莉緒ちゃんが手に取ったのは最近WEB小説サイトでかなりの人気が出てきた異世界転生ものである。
交通事故に遭ってから女神が現れて戦闘系のチート能力を授けるというところまでは定番だけど、主人公は戦う事が嫌いで転生後はスローライフを楽しむといった内容である。
特に料理に関する描写がリアルと評判で飯テロ作品とも言われている。
「WEB版は読んでいるのですけど、書籍版は途中から展開が違うみたいなんです」
WEB版から書籍化される際に展開が変わるのはよくある事だけど、好きな作品であれば違う展開になっているのが気になるのも当然である。
「じゃあ買ってみるか」
「えっ、ですが・・・」
「実はちょっと読んでみたかったんだ」
興味があるのは本当だけど、どちらかというと莉緒ちゃんが読みたい作品を買ってあげたいという気持ちの方が大きい。
言うなれば日頃お世話になっているお礼といったところである。ただしお礼と言って買おうとしても莉緒ちゃんが気を遣って断るだろうと予想している。
苦し紛れな理由付けかもしれないけど、こういう形の方がまだ受け入れてくれそうだと思ったのだ。
俺は棚にあった3巻分を手に取ってレジへ持っていき購入する。
「あの、ありがとうございます」
「ん?俺が読みたいから買っただけだよ」
「ふふ、それてもですっ」
莉緒ちゃんは俺の腕にがっちりと抱きついてくる。
「ど、どうしたんだ?」
「えへへ、何でもありません!」
莉緒ちゃんは満面の笑顔を浮かべながら、俺の腕を引っ張りながら歩き始める。
その後ショッピングモールを歩き回っている間も、帰りにスーパーへ寄って買い物をしている時も終始上機嫌な莉緒ちゃんであった。
お読みいただきありがとうございます。
気付いたらゴールデンウィークが近付いていました。本編の時期に近づいてきましたが、周回遅れ感があります。




