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第20話 GW初日2

お待たせしました。

「お帰りなさい、弘人さん!」


 莉緒ちゃんが笑顔で迎えてくれる。家に帰ると誰かが居るのって何だか良いなとつくづく思う。いつもなら莉緒ちゃん一緒に帰っているので新鮮な気持ちにもなる。

 エプロン姿という事は夕飯の準備でもしているのだろう。


「まだもう少し掛かりますので、リビングでゆっくりくつろいでいてください」


 莉緒ちゃんは先に階段を登って夕飯の準備を再開する。


「そうさせてもらおうかな」


 俺はリビングのソファーに座り、テレビの番組を観ながらのんびりとする。うん、とても落ち着く時間だ。


「もし良かったらお風呂でも先にどうですか?」


 しばらくくつろいでいると莉緒ちゃんからそう提案される。なるほど、たまには夕食前に入ってみるのも良いかもしれない。


「良いね、先に入らせてもらおうかな。じゃあ風呂掃除でもするか」


 俺が立ち上がったところで莉緒ちゃんが声を掛けてくる。


「あっ、お風呂掃除は私が済ませてありますので、あとは沸かすだけですよ」

「えっ、掃除をやってくれたのか」

「はいっ。時間がありましたし、弘人さんもお疲れになって帰ってくると思いましたので」


 莉緒ちゃんの気遣いがとてもありがたく感じる。俺は素直にお礼を言い、風呂を沸かすと浴槽へ浸かり仕事の疲れを癒やすのだった。




 美味しい夕食を食べた後、俺は隣に座る莉緒ちゃんに明日の事を聞いてみる。


「明日だけど、どこか行きたいところはある?」

「そうですね・・・色々と迷ったのですが、明日は映画館に行きたいです!」


 映画か。基本的にはアニメ関係しか観に行かないのでかなり久しぶりである。


「何か観たい映画があるの?」

「はいっ、これです!」


 莉緒ちゃんはスマホを操作して画面を見せてくる。


「おっ、これは」


 画面に表示されているのは複数のガールズバンドの日常を描いたアニメ作品の劇場版で、今回は青薔薇をモチーフにしたガールズバンドを焦点に当てたストーリーとなっている。

 ちなみに音ゲーとしても配信されていて、俺が今一番プレイしているソシャゲーでもある。

 劇場版が連休前から公開されているのは知っていたけど、まだ観に行けてなかったんだよな。


「良いね、ちょうど俺も観たかったんだ」

「そうでしたか、良かったです!」


 莉緒ちゃんの喜ぶ姿にほっこりしつつ、莉緒ちゃんに上映される映画館と時間を確認してもらう。


「えーと、ここからですと一番近いのはこの映画館ですね」


 再び画面を見せてもらうと、表示されていた映画館は車で1時間程かかる場所であった。


「最寄りの映画館では上映されてないのか・・・」


 車で30分程行った場所にも映画館はあるけど、どうやら上映されていないようだ。世間一般で広く知られていないアニメ作品の劇場版は上映される映画館が限られているので、ここのように都会から外れた場所ではありがちな事である。


「お父さんが居たらすぐにでも連れて行ってくれたと思います」

「確かにね」


 容易に想像がついて思わず苦笑する。誠也も観に行きたがっていたし。


「時間は朝の9時と夜7時の2回しかないですね・・・」


 上映回数が少ないのもありがちな事である。


「夜7時は遅すぎるから朝の9時でいこう」

「そうですね。席の予約はしておきましょうか?」

「いや、映画館に行ってからで良いと思うよ。それに・・・」


 俺は寝室にある引き出しからある物を取り出して莉緒ちゃんに見せる。


「これがあるからね」

「あっ、それは前売券ですね!」


 莉緒ちゃんの言う通り、俺が持ってきたのは劇場版の前売券である。前々から観たいと思っていたので、事前に前売券を購入していたのだ。まあ前売券に付いてくる特典が欲しかったからという理由もあるのだけど、態々言う必要も無いだろう。


「しかも2枚ありますね・・・も、もしかして誰か他の人と観に行く予定だったのですか!?」


 なぜか莉緒ちゃんが焦った様子だけどどうしてなのだろうか?


「いや、単に2回観に行こうかと思って買ったんだ」

「そ、そうでしたか。よ、良かったです・・・」


 莉緒ちゃんはホッとした表情になっていたけど、理由はよく分からなかった。


「明日は早めに出ようか」

「分かりました!ふふ、楽しみです!」


 満面の笑顔と隣からふんわり漂ってくる甘い匂いに少しドキッとさせられる。無邪気な笑顔を浮かべているあたりはまだ子供に見えるけど、女性として着実に成長してきている事を不意に感じる場面が少しずつ増えてきている。


「あれっ、どうかしましたか?もしかしてお疲れですか?」


 莉緒ちゃんが心配そうな表情で覗き込んでくる。うん、かなり顔が近い。


「ごめん、ちょっと考え事してただけだから大丈夫。俺も映画が楽しみだ」


 とはいえ映画は2時間程度なので、終わる時間はだいたい昼前。このまま帰るのも少し味気ない気がする。


「映画館から少し行ったところにショッピングモールがあるから、帰りにちょっと寄ってみようか」

「わぁ、それは良いですね!是非行ってみたいです!」


 莉緒ちゃんが両手を合わせて目をキラキラさせている。


「決まりだね」

「はいっ!ふふ、弘人さんとのデート楽しみ〜♪」


 小声で何を言っているか分からなかったけど、楽しみにしている事は伝わってきたので良しとしよう。


「それでは私もお風呂に入ってきますね」


 莉緒ちゃんは上機嫌な様子でお風呂場へと向かっていった。


「さて・・・」


 俺がショッピングモールの話を切り出した事には理由がある。

 莉緒ちゃんが来てからというもの楽しい毎日が過ごせているという実感がある。特に家事面ではとても助かっているので、日頃の感謝の気持ちを込めて何かプレゼントでもしようと考えていたのだ。

 プレゼントする物はショッピングモールで一緒に回った反応を見て決めるつもりである。


 俺はショッピングモールにどんな店が入っているのか調べ始めるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

物語の時期はGWですが、外は銀世界・・・。

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