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第15話 空き部屋の整理2

お待たせしました。引越し後の整理って大変ですよね・・・。

「そろそろ再開しようか」


 昼食を終えて少し休憩していたが、時計を見ると13時30分になりそうだったので莉緒ちゃんに声を掛ける。


「そうですね、続きをやりましょう!」


 再び空き部屋へと入って整理を再開する。やはりというべきか2人でやると作業の進みが良い。

 1人だけだと中々の苦行を感じる作業も2人だと時折手に取った本の話題で盛り上がったりしてやる気が削がれないのだ。


 しばらくするとかなり整理されたので、莉緒ちゃんは元々あった棚へと本を収め始める。そうなると床面のスペースも徐々に空いてくるので、俺は買ってきた棚の組み立てを始める事にした。

 段ボール箱から棚の部材を取り出し、取扱説明書を見ながら慎重に組み立てていく。慣れない作業をしているので怪我だけはしないように注意しないと。


「よし、出来た」


 少し時間は掛かってしまったけど、1つ目の棚を組み立て終える。買った棚は全て同じ種類なので次からはもう少し早く組み立てられるだろう。

 莉緒ちゃんの方へ視線を向けると、棚にはかなりの本が収められていた。しかもシリーズごとだけでなく出版社や作者名ごとにも分けていて、かなり見やすく整理されている。俺だったらここまで細かく分けなかったはずなのですごくありがたい。


「きれいに揃えてくれてありがとう。とても見やすいよ」

「いえ、私の性分ですので。それに私も見たい本がいっぱいあるので、揃えた方が見つけやすいですし」


 照れたように笑みを浮かべる莉緒ちゃん。自分の欲も入っての行動なので少し恥ずかしいのかもしれない。何とも見ていて微笑ましい。


「こっちは棚を1つ組み立てたから置いておくよ。これでかなり入れられるはず」

「ありがとうございます。あっ!?」


 莉緒ちゃんが床にあった本につまづいてぐらりとバランスを崩してしまう。


「莉緒ちゃん!」


 俺は慌てて駆け寄って莉緒ちゃんを抱き留める。

 良かった、間に合った・・・


「大丈夫か?」

「は、はい・・・」


 なぜか目を逸らして答える莉緒ちゃん。しかも顔が真っ赤になっているような気がする。


「あ、あの、もう大丈夫ですので、そろそろ離してもらえると・・・」

「あ、ああごめん」


 そういえば抱き留めたままだった事に気付く。俺が莉緒ちゃんを離すと「あっ・・・」と残念そうな声が聞こえた気がするけどきっと気のせいだろう。

 作業を再開した時はなんだか変な雰囲気が流れてしまっていたけど、しばらく黙々と作業していると元の雰囲気に戻ってきたので良かった。


「弘人さん、CDとかはどうしますか?」

「それならCDを収納するケースを買ってきたからそこに入れて欲しい」

「分かりました」


 最近だと音楽関係はネットからのダウンロードが主流となっていて、CDの売り上げがかなり落ちてきているけど、個人的には色々な特典が付いてきたりもするので新曲が発売したらCDを買う事が多い。


 莉緒ちゃんは引き続き本やCDの整理と収納、俺も引き続き棚の組み立てを行っていたけど、棚の組み立てが終わったら莉緒ちゃんと同じく整理と収納を行っていった。

 そのおかげもあってか随分と片付いてきたけど、一日で全てを終わらせるのは厳しいかもしれない。改めて相当に買い込んでいたのだと痛感した。

 何せフィルム包装を解いていない本すら結構ある。明らかに無駄な買い物をしてそうな物もあって少々反省である。

 その後も作業をひたすら進め続けていたけど、いつの間にか窓から入ってくる光が橙色になっている事に気付く。


「そろそろ日が暮れそうだ」

「もうそんな時間ですか。何だかあっという間に時間が過ぎちゃいましたね」

「やっぱり全部は終わらなかったか・・・」

「ですが生活出来るスペースは充分に出来ていますよ?テーブルも置けましたし」


 莉緒ちゃんの言うように床には段ボール箱がいくつか残っているものの、部屋として使える状態にはなっていた。ちなみに衣装ケースはクローゼットの中に入れられたので部屋を圧迫する事は無い。

 あとは埃が少し溜まっていたので、掃除機をかければ床面はたちまち綺麗になっていった。


「よし、これなら布団もどうにか敷けそうだね」


 これでようやく別々に寝られると思っていたけど、莉緒ちゃんはなぜか首を傾げる。


「え?私は引き続き弘人さんの部屋で寝るつもりですけど」

「いやいやいや、今までは寝る場所が無かったからそうしてたけど、部屋が空いたから別々の方が」

「私は一緒が良いです。それとも、一緒に寝るのは嫌ですか・・・?」


 瞳を潤ませながら上目遣いに見つめてくる莉緒ちゃん。


 う~ん、そんな表情をされると断りにくくなってしまう。何というかつくづく莉緒ちゃんに対して甘い気がする。

 だからといって別に疚しい気持ちがある訳じゃない。どちらかといえば子供に対する親の目線に近いと思っている。


「い、嫌じゃないよ。だから一緒に寝よう」

「やったっ。言質は取りましたよ!」


 結局俺は折れてしまったけど、莉緒ちゃんの喜ぶ顔が見れて良かったと思う辺りはやはりだめなのかもしれない。


「では今から夕食の準備、と言いたいところですけど食材が無いのでまずは買い物に行きたいです」

「じゃあ車を出すよ」

「よろしくお願いします!・・・ふふ、弘人さんとお買い物♪」


 上機嫌な様子の莉緒ちゃんを見ながら、俺は買い物へ出かける準備を始めるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

いよいよ今年も残すところあと1ヶ月となりました。仕事がどんどん忙しくなってきていますが、どうにか書ける時間を確保したいです。

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