第13話 GWの予定
お待たせしました。そろそろストックが無くなってきました・・・。
「ごちそうさま。今日も美味しかった」
「ふふ、お粗末様でした」
莉緒ちゃんは幸せそうな笑顔を浮かべている。大した事は言ってないはずだけど、喜んでもらっている分悪い気はしなかった。
莉緒ちゃんが食器を片付けて洗い物をしている間に俺は風呂掃除をし始める。莉緒ちゃんは風呂掃除を含めて全ての家事をすると言ってくれたけどそれは負担が大きすぎるし、もし甘えてしまうと莉緒ちゃんが居なくなった時にだめになってしまいそうだったので固辞した。
ちなみに洗濯物は莉緒ちゃんが担当する事になった。女性物の下着を触ったりするのは気が引けるし、何より莉緒ちゃんが触ってほしくないだろう。ただ男物の下着を触るのは抵抗があるのではと思って別々に洗濯する事も提案したけど、こちらは電気代と水道代が勿体ないという事であえなく却下となった。
しばらくすると風呂掃除が終わり、風呂を沸かすスイッチを押すとリビングへと戻る。莉緒ちゃんはすでに食器の片付けを終えており、リビングのソファーに座ってテレビを観ていた。
「あと15分くらいで風呂が沸くから先に入って良いよ」
「ありがとうございます。あの、弘人さん・・・」
「うん?どうした?」
莉緒ちゃんの表情を見るとどこか緊張している様子だ。一体何だろうか?
「え、えと、GWは何か予定がありますか?」
莉緒ちゃんの質問を聞いて少し肩の力が抜ける。何か重要な話でもするのかと思っていたけど、特に大した事ではなくて安心した。
ただ、なぜ緊張していたのかは分からなかったけど。
「いくつか仕事が入ってる。手帳で予定を見るからちょっと待って」
俺は仕事用のカバンから手帳を取り出して予定を確認する。連休中は製造現場の設備が停止するため、設備関係の工事をする絶好のタイミングとなるのだ。当然ながら案件が多ければ連休中全て出勤という事もあり得る。
「今のところ1日、3日、4日は出勤する予定かな」
「5連休のうち3日間も仕事なのですか・・・。お疲れ様です」
「連休に出勤はもう慣れたけどね。それで、どうしたのかな?」
「弘人さんとどこか出掛けたいなと思ったのですけど・・・」
どこか暗い表情で言い淀む莉緒ちゃん。きっと俺が仕事で疲れているだろうから無理に誘えないとでも思ったのだろう。
他人に対して気を遣える優しい心の持ち主でとても良い子なんだけど、少々自分の気持ちに我慢をする傾向があるみたいだ。
「良いよ、どこか出掛けようか」
俺がそう答えると、莉緒ちゃんの表情がぱあっと明るくなる。
「えっ、良いんですか!?」
「もちろん。といってもあまり遠出はできないけど」
「えへへ、やった!」
普段は少し大人びている莉緒ちゃんだけど、時折見せる笑顔は年相応の無邪気さがある。性格も良くて可愛いとなると学校でモテるのも当然だと思う。
「どこか行きたいところはある?」
俺が聞くと、莉緒ちゃんの表情がハッとする。
「あそこも行きたいし、こっちも行きたいし・・・、むむむ、これは悩みどころです!」
「はは、GWまでまだ少し時間もあるからじっくり考えると良いよ」
「はいっ、そうします!」
莉緒ちゃんが元気に答えたところで俺はふと気付く。
「そういえば誠也のやつは帰ってこないのかな?」
確かGWはいつもだと誠也が莉緒ちゃんを旅行に連れて行ってたはず。毎年どんな事があっても絶対に休暇を確保すると意気込んでいたからな・・・。
「さっきお父さんから電話が掛かってきましたけど、どうも仕事が忙しすぎて帰って来れないみたいです」
苦笑気味に莉緒ちゃんが答える。どうやら上司にも相当掛け合ったらしいけど休暇は確保出来なかったようだ。
まあ突然出張しなければならない程に仕事が切迫しているのであれば予想できた事ではある。これは誠也のやつ相当に凹んでいるのが容易に想像出来るな。
そうなると、次に誠也が言う事もなんとなく分かる。
「もしかして誠也のことだから俺にどこか遊びに連れて行ってもらえとか言われたんじゃないか?」
「ふふ、当たりです。(・・・でも本当は私が弘人さんと一緒に遊びに行きたいから聞いちゃったのですけどっ)」
当たりと言った割になぜかモジモジする莉緒ちゃん。誠也が何か余計な事でも言ったのだろうか。
「出掛けられる日は2日か5日だけどどうする?」
「・・・え、えっと、両方はダメですか?」
上目遣いにおずおずと聞いてくる。どこかあざとさを感じさせるけど、莉緒ちゃんの可愛さもあって破壊力は抜群である。
同年代の男子ならイチコロだろうな、きっと。
「いや、両方でも大丈夫だけど、友達と遊びに行かなくて良いの?」
「友達とは別の日に約束していますので心配いりませんよ」
どうやらしっかり予定を入れていたらしい。俺に気を遣わずに楽しんでほしいものだ。
「よ~し、今からGWが楽しみになってきました。これで勉強も頑張れます!」
「そういえば5月下旬に中間テストがあるって言ってたね」
中間テストという響きが懐かしいと思ってしまう。もう20年近く前の話だから当然といえば当然である。
「もし勉強で分からないところがあったら教えてもらえませんか?」
「う~ん、さすがに高校の内容はあまり覚えてないから教えられる事は少ないよ。友達に教えてもらった方が良いと思うけど」
社会に出ると高校で習った内容の大半は使わなくなる。俺の場合でも電気関係や物理、数学はよく使うけど、英語は海外メーカーと打ち合わせする時くらいにしか使わないし、それ以外となるとさっぱりである。
「では弘人さんに教えてもらえそうな内容があったら聞きますね」
なぜ頑なに俺に聞こうとするのかは不思議だけど、莉緒ちゃんの力になれるのならと思って頷く。
「ありがとうございます!」
嬉しそうに微笑む莉緒ちゃんはこの後もずっと上機嫌なままであったので良しとしよう。
お読みいただきありがとうございます。
昨日は新作カードでダン○ちが発売されました。買う予定はありませんが、イベントが多いイメージがあります。