再会
アベル王子を隊長に編成された真王討伐隊。
現在北に進行中。
こういうとき家柄が立場を決めるのは仕方ない。
聖剣士でしかも王子を一般兵にするのはどうかと思うし。
問題なのは副隊長。
マナウタ・ミカギ。
何でやねん。
レメクさんで良かったんじゃないかなぁ~?
まあ、相手がドラゴンだからドラゴンを倒せる戦力が必要となると、実際アテにんあるのは俺と親父と聖剣士と花火積んだ狩人くらい・・・結構いるな。
花火の材料が材料だから、実質は狩人はいないと思って貰って。
俺とジャンヌと親父がセットだから、仮にチーム分けが必要になる想定をすると、アベル王子隊長でレメクさん副隊長より、この方がアベル王子&レメクさん組が組みやすい、という理屈みたいだが。
まあ、それ以上に親父が着いて来たことの方が気になるんだけど。
七摘さんが関わってるかも知れないなら俺も行くと言って聞かなかった。
気持ちは分かるし、ぶっちゃけ親父が一番安全だからね。
足がキャタピラの人型装甲車アームローダー。
めっちゃ目立ってる。
もう見られてるし、馬車よりトラックベッドの方が載る荷物多いから乗るように指示した。
大分余裕持って燃料積んでたらしく、聖国往復なら余裕だそうだ。
それ以上はダメらしいけど。
一応聖国には郵便屋を使って先行連絡済み。
前回の仮もある為か大分ウェルカムな返事が返ってきたらしい。
なので気兼ねなくセオリー通り大陸の海岸に沿って進んでいるんだけど、
「遅くないですかね?」
「うーむ・・・」
歩兵を連れている上、天気は大雨。
噴火の後でありがたい話だが、前が見えねえ。
戦力的に真国が超余裕とか思ってくれてれば余裕はあるんだけど、着いたときには聖国滅んでました、では「ワロタ」じゃすまない。
「早速だが隊を分けよう。先行部隊は頼めるかな?」
「了解」
とまあ、当然俺達の方になる。
聖国に顔が知れている上、最悪後続が間に合わなくても俺達の方がまだ戦える。
というか相手が空飛ぶ以上、ぶっちゃけこの戦闘は聖剣士も無駄なんじゃねえかと。
言わないけど。
因みに親父のアームローダーには左手に高速連射電動クロスボウ、右手には絶対違法なドラゴン火薬制のグレネードが搭載されている。
気は進まなかったけど、弾丸は俺が創った花火を親父が改造し、更に俺が技能でコピーしたものだ。
思ってはいけないのかも知れないが、親父1人で余裕じゃね?とか思っていたりする。
ジャンヌ曰く伝説に語られる大魔竜は、勇者が神剣ロンギヌスでぶった斬るものらしい。
どっかで見たなと思って思い出した。
・ユニバースエンド ✕20
材料 = 神剣ロンギヌス
はい、材料になってました。
親父よ、何してくれてんだマジのマジで。
そしてこの世界のどこかにいるかも知れない勇者君。
ウチの親父がすまない。
とはいっても今俺の所持しているライフル弾は4発しかない。
余りの威力にライフルの方が耐えきれず、砲身内部をコーティングするのにも使ったそうだ。
試射なんかもしたそうで球数がそこまで確保出来なかったらしい。
ふーん・・・なんかどうでもいいや、って思いました。
「マナ、先ほどから独りブツブツとどうしました?」
「いえ、何でもないです」
自慢の馬バイアリータークとマレンゴとアームローダー。
先行部隊というには余りに小規模な部隊で聖国までを急ぐ。
600から700kmは距離があるからいうて即日到着とは行かない。
途中モンスターにも襲われるのでなかなかね・・・。
結局聖国に着いたのは王国出発5日後。
お馬ちゃん達は大分頑張ってくれたと思う。
早速壁を通過し、スローンズ侯爵邸に向う。
ここいらはまだ無事なようだ。
物々しい警備がアームローダーを見てあんぐり口を開ける中、ジャンヌが聖剣ちらつかせながらミカエストの先行部隊をアピールしつつ警備隊を突き進む。
「おお、よくぞ参った!!」
迎え入れてくれたのはまさかの聖王さん。
えー・・・あ、カタリナ王女もお久しぶりです。
「昨日帝国・・・いえ真国を名乗る軍が、大魔竜を駆る少年を先頭に王城へと攻め込んで来たのです。敵が竜なればと私とエヴェラール殿で致しましたが、あえなく・・・」
遅かった模様。
そしてやっぱり聖剣士勝てない模様。
「でー、エヴェラールさんは?」
「私と父上を逃す為、城に残り・・・」
知っている人だけに残念だ。
いや、まだ死んだときまったわけではない。
「それで・・・敵の状況は?」
「現在ノーズガブリ城を占拠後、まだ動きを見せていません。大魔竜が西に飛び立ったと報告がありましたので、真王、あるいは部隊長を迎え入れる準備かと」
「じゃあ取り戻すなら今、ってことですか?」
「いえ、残存兵力も決して少なくはないのです。先の戦で減った聖国の武力では流石に・・・」
軍という事は相手は人か・・・俺も勘弁だな・・・
戦力だけ見れば、花火でドカン作戦でいけんことはないのだろうけど。
花火がまさしくインフェルノになってしまう。
「それに真国の軍は明らかに正気を失っていました・・・まるで以前報告にあった」
「魔人サヘラントロプスのように?」
その声は突如、窓の方から聞こえた。
窓淵に寄りかかるよう佇む日本人みたいな黒髪をまっすぐ伸ばした、何故か目を瞑っている黒ドレスの女性。
いたっけこんな人?
屋敷の人かな?
「何者だ!?」
違ったみたい。
さっきまでいなかったもんよね、うん、気のせいじゃなかった。
「ワタクシの名はトゥーリア。真王アークレス様に仕える者です」
「何!?」
「真王は世界の覇権を握るに、そこまで時間を使っていられませんので。ここをいちいち攻めるのも面倒でしてね。」
「ならばさっさと失せるがいい」
「そうは行きません。王は2人も要らないのですから」
言葉と共に開けた目の同行は縦に裂けていた。
「貴様、やる気か!?」
カタリナさんも剣を抜く。
続いて場の皆が武器を抜きながら、聖王とスローンズ侯爵を守る様に囲んでいく。
俺もなんとなくひとまずボウガン用意。
「あら、武器を変えたのかしら、ロビン?」
?
人違いです。
「まあ良いですわ。貴方にはワタクシも多少苦渋を飲まされましたからね。まとめて葬って差し上げますよ」
台詞だけ聞くと厨二こじらせたヤバイ人だが、言葉と同時に身体から吹き出る黒い霧が、そうでもなさそうな空気を演出する。
というか人体から発せられる気体って何かやだね。
臭そう。
と思ってたら次々と人が倒れていく。
これ・・・毒ガスか?
「ワタクシの幻影の前に気を保てる者などいません・・・ドラゴンスレイヤーを除けば。つまりここで動けるのは貴方だけです、ロビン」
「それはどうかな?」
「な!?」
毒ガス女が飛び退くのと、その人影が窓から飛び込み、爪の残影を残したのはほぼ同時だった。
「まさかアナタが来るとは・・・負け犬が」
そしてこの人に俺は見覚えがあった。
いつぞや右腕ぶっ飛ばしたラスボス君である。
・・・気まずい。




