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漁は危険が一杯

衛生環境に難あれど、午前の訓練もなく身体は回復している。


馬車の揺れでケツは悲鳴を上げているが、それ以外は寧ろ快調。


米と思われる存在も知れたところで、この旅にも意味があったと思える。


「さて、行こうか。」


出発してから3日目の早朝。


ゲネサレトに到着。


後はジャックがダンクルちゃん釣り上げてしゅーりょーだ。


帰りの2日?


まあ、そうだけども・・・。


ほら、アレよ。


ドキュメント番組で登山をやるときもフィナーレは山頂で終わる感じ。


・・・現実は甘くないな。




湖は驚きの広さだ。


実際に見たことはないが琵琶湖とか見たらこんな感じかもしれない。


さて、ダンクルちゃんは何処かしら?


そういえば海に本来いる魚なんだっけ・・・。


ってことはここもしかして・・・海水?


ちょっと舐めたら水だった。


何でだよ!!


「おい、余り湖の近くにいると危ないぞ?」


俺の身を案じてくれる我が友、ジャック。


この2日で随分と打ち解けた。


「奴等は陸上の生物にも容赦なく襲ってくる。」


魚かそれ?




さて、今日の俺の仕事を今一度整理しよう。


ジャックが釣るのを待つ、以上。


俺要る?


要らないと今更言われても困るから言わないが。


では、ジャック君。


ささっとおなしゃす。


「3匹・・・だな。」


「何が?」


「ダンクルオステウス。ここから確認出来る数だ。依頼の数とも一致する。」


「・・・?え・・・見えたの?」


「ああ。」


どんな視力だろう。


何か悔しいので俺は文明の利器だ。


俺のターン、コンパウンドボウガンを召喚!!


付属するスコープで敵の影を捕える!!


・・・ぜんっぜんわからん。


あの影のことかな?


・・・もういいや。


「なんだその珍妙な・・・弓?」


「いや、人間の底力に負けた敗北者さ。」


「・・・?」


ま、俺に見える必要ないし、いーもんいーもん。


そこらで不貞寝でもしようかな。


あれ、なんでアグネスさんは俺を見てハンカチ噛んでんの?




遠目に湖を見ながら木の根元で座り込むとジャックが動き出した。


湖のほとりに立ち、背負っていた槍を逆手に持ち、半身に構える。


二股に分かれた槍は、刺さった獲物を逃さないよう刃物にかえしがついている。


口金付近にがっちりと縛り付けられたロープは、槍と一緒にぐるぐると丸められてジャンクの手に握られている。


投げて引っ張るのか。


んー・・・これ、もう銛でいいでしょ。


で、何してるんだろうか?


なんとなく音を出しちゃ行けない雰囲気。


時が止まったかあのような静かな時間が流れる。


そろそろ瞼が落ちそうだ。


お、動くのか?


ジャックは素早く前進したかと思えば思いっきりジャンプ。


高ッ!?


落下の勢いをも足して銛をぶん投げた。


まっすぐに水面へと向う銛。


水しぶきを上げたと思った瞬間、


「はっ!!」


ジャックは気合いのかけ声と共にロープを引っ張る。


ざっぱーーんと音を立て、釣り上げられるでかい魚。


「キャーーーーーー!!ジャック様ーーーーー!!」


「素晴らしいですわ!!」


「ほう、やりますね。」


ドンッとでっかい衝突音を立て、陸に釣り上げられた魚は肩帯までを確かに装甲で覆っていた。


体長・・・多分4m位。


適当な目分量だが。


俺よりちと高いくらいの身長の人間がどうやってこれをやったんだろうか?


「おそらく、技能の槍投げを上手く使っているのでしょう。」


ジャンヌさんの解説開始、っていつの間にこっち来た?


「漁師は槍を投げる場合に限り、筋力、耐久力に強化補正がかかります。その効果は槍が獲物に当たって止まるまで。・・・あれを見て下さい。」


言われて見ると、銛はエラから綺麗に入っている。


「装甲のないエラから貫通させることで技能を持続させ、貫通させた瞬間に強化された身体能力を使って引き上げたのでしょう。」


へー、なるほど。


「技能を知り尽くし、使いこなしているだけでなく、水の中を泳ぐ魚のエラの隙間を通す・・・とんでもない腕ですよ、あの人。」


流石にそれは俺でもわかる。


「農業職でも鍛えれば強くなる・・・マナ、帰ったら覚悟しておきなさい。」


・・・なんで?


それは全くわからない。




陸でまだビチビチと近づくジャックを逆に食ってやるって感じで暴れるダンクルちゃん。


顔が凶悪すぎるだろう。


尾びれが船のプロペラみたいにクルクル回っている。


魚ってあんな動きしたっけ?


モンスターだからアリなのかな。


ゆっくりと円を描くように近づきながらジャックは尾びれの近くに槍を突き立て、ダンクルを踏んづける。


装甲の後ろ側から槍を突き立て、危なげなくトドメをさす。


慣れてらっしゃる。


 


「奴等は賢いとは言わないが、警戒はする。昼と夕方に一匹ずつ仕留める。」


暫く休憩、朝のシーンの再生を見せられて2匹目確保。


「さて、飯にしよう。」


食べさせて貰ったダンクルちゃんの魚肉は確かに美味かった。


白身魚。


鯛に味は近いかな。


塩焼きで食べた。


醤油と白飯が欲しい。


ビールでも可。


因みに肉代はお嬢様が払った。




夕方また再生して終わりかと思ったら、ジャックが動きを止めた。


「なんだ、あの影は?」


何か見つけたのだろうか?


「あれは・・・全員逃げろ!!」


ジャックの叫びと共に盛り上がる水面。


「あれは・・・サルコスクス!!」


ジャンヌも叫んだ。


そして、湖から出てきた巨大な鰐。


口にガッツリダンクルちゃんをかみしめてらっしゃる。


上陸のあと見せつけるように咀嚼。


そしてのそのそとこっちに向ってきた。


「お嬢様、アグネス、急ぎ避難を!!」


「ジャック様、急いでこちらへ!!」


「っしゃあ!!ワタクシの出番ですわ!!」


違うと思う。


しかしデカいな・・・ダンクルちゃんの倍はある。


全力ダッシュで引き上げるジャックは、まあ、大丈夫だろ。


「メイドの土産に見るが良いですわ!!ワタクシの力を!!」


炎の球を創り出し、鰐に向ってぶっ放すお嬢様。


『ギアアアアアアアッ』


お、効いた?・・・っていうか鰐って鳴くんだ。


「ちっ、しぶといですわね。ならこれならどうですの?」


お嬢様次は吹雪っぽい球を創り出した。


ブッパする。


『ギイイイイイッ』


鰐の表情なんぞ分からんが多分オコでいらっしゃる。


短い足でお嬢様に向ってダッシュ・・・意外と早い。


「マナ、行けますか?」


「行けるけど・・・お嬢様の文句はお前が受けろよ?」


「えっ!?」、


まあ、引き金引くだけのお仕事だ。


お嬢様の方に向って走る。


向こうとは距離があるからな、こっちの方が早い。


「なんの!!」


お嬢様も鰐に向って走る。


いやオイ、待て!!


「あんのじゃじゃ馬がぁ!!」


ジャンヌも走る。


多分お嬢様を捕まえに。


「おい、お前ら何してる!?状況分かってるか!?」


「ああ、ジャック様の腕に私の腕が・・・デュフフ。」


カオスだなー。


ジャンヌは俺を華麗に追い抜き、お嬢様にタックルをぶちかまし、そのまま地面にダンクする。


「アブヘッ!?」


相変わらず早いなぁ。


つか俺、息切れしそう。


お嬢様を抱え、しっかりこっちに向って走るジャンヌ。


おかげで鰐がこっちに向ってきた。


「後は任せます。」


すれ違い様にそう言われたが、何か釈然としないのは気のせいだろうか。


ぶっちゃけジャンヌがやれば良くない?みたいな・・・。


考えるのはよそう。


銃を取り出し、構える。


鰐は俺を敵とみたのか、向ってきながら口を開けた。


折角だ。


そこにぶち込もう。


轟音一発。


鰐は歩みを止め、ゆっくりと口を閉じ、そのままもう動くことはなかった。




「おーほっほっほ!!私たちの勝利ね!!」


え、・・・まあ。


高笑いするお嬢様を尻目に馬車に向う。


予想外の出来事はあったが、ダンクルちゃん3匹がいなくなったのだから今日のお仕事は完了だ。


「マナウタ・・・お前一体・・・?」


ジャックが驚愕を顔に貼り付けてこっちを見ていた。


まあ、質問には答えましょう。


「栄えある公爵嬢の護衛様さ。」


ただし、つい先ほどに限り。


つか、毎度答えに困るこの質問、俺は何と答えるべきなのだろうか?


「ニートでーす」とか?・・・それは嫌。



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