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逆転の発想

いざ一人暮らしを始めるとアレが足りない、コレが足りないってならないだろうか?


俺はなった。


現在進行形で。


こうして引っ越しすると出てくるものだ。


食料の確保どうしようとか、薪とかどう用意しようとか。


まあ、お屋敷で使っていたものはジャンヌがいるからなんとかなるだろうと思っている。


甘いかな・・・いや、なんとかならんと詰む。


信じよう。


問題はお屋敷で使っていなかったものだ。


とりまトイレットペーパー。


手持ちが切れると折角引っ越したのにまた葉っぱ生活に逆戻り。


俺のピュアなアスタリスクがかぶれて真っ赤に染まってしまう。


あいにく俺のおケツは3倍の出力など必要としていない。


つーわけで、トイレットペーパーの手配が当面の最重要課題だ。


ぶっちゃけこれは調べている内になんとかなるだろうと思った。


最初若干心折れかけたけども。


ふと、すごーく簡単な手を思いついたのだ。


勿論誰につくらせんだよ、とか課題はあるが、一辺使って貰って気に入ってくれれば、高級志向のお屋敷連中が人員は手配してくれそうな気がする。


トイレットペーパーが作れれば他の紙も作れるしね。


技術提供位しよう。


・・・俺のじゃないけど。


勿論唯の若造が言うことなど気にされまいが、俺はドラゴンスレイヤーだ。


・・・自分で言ってて恥ずかしい。




さて、トイレットペーパーの作り方だが簡単に言うと木や草から紙の素である繊維を取り出し、うすく広げて糊で固めるだけである。


幸いなことにトイレットペーパーに使う糊は澱粉糊。


水に流す上であんまり硬くても行けないからね。


結合力が弱い、と言うのが逆に適している。


澱粉の取り方は、その昔教科書に載っていたほどメジャーだったそうだ。


・・・俺の時代の教科書にも載せてて欲しかった。


この澱粉を茹でれば澱粉糊が出来る。


芋は普通にそこらの商店で売っている。


アカウレとかいうらしい。


屋敷にも腐るほどあるらしいので買い取らせて貰う。


ジャガイモに似ているから使えるだろう。


コイツの皮を剥き、粉みじんに斬った後、更にお屋敷で使っている石臼ですりつぶす。


布・・・俺が最初に来ていたTシャツを犠牲にした。


この布に入れて水を入れた鍋の上でもみほぐす。


暫く放置すると、底に澱粉が溜まっている。


後は水を捨てては入れて捨てては入れてを繰り返せば、底に澱粉がへばりついている。


こそぎ落して水を再度入れ、混ぜ合わせて熱すればできあがり。




問題だったのは紙の素である繊維。


これに繊維と糊を会わせたものを流し込み、紙すきで平らにして乾かせば、糊が繊維同士を合わせて紙が完成する。


調べて泣かされたのが、この繊維を作る工程だ。


砕いて茹でて洗浄してなんやかんや。


途中で出てきたアルカリ云々で頭を抱え、家庭で作る場合重曹でって下りでタブレットを投げそうになった。


重曹・・・いい加減にしてくれ・・・。


で、代わりのものがないかどうかを考えている内に再生紙の作り方のサイトに到着。


いや、紙がない世界で再生もクソもあるかいなって思ったところで閃いたわけだ。


トイレットペーパーの糊成分溶かしちゃえば残るの繊維じゃん・・・って。


思い出して欲しい。


ウジェーヌの材料入手方法。


一回素材として技能に認識させれば、抽出可能なのだ。


つまり、トイレットペーパーを茹でて溶かし、糊成分を捨ててしまえば残るのは繊維。


これを技能に習得させれば繊維ガンガン作れんじゃね?って話である。


つまり作戦はこうだ。


トイレットペーパーを茹でて繊維と糊を分離する。


網にこれを投げれば残ったのは繊維だけ。


この繊維と糊をウジェーヌを渡す。


で、トイレットペーパーも渡す。


素材、完成品が揃えば調合の出番だ。


薬剤師有能すぎる。


1日で終わる簡単なお仕事。


余裕っち♪




「無理だねぇ・・・。これは・・・。」


無理だった・・・って何でだよ!?


「まず調合に必要な使()()って言う部分。厳密には身体に何某かの影響を与えさせるって意味なんだけど・・・ただ拭くだけじゃねぇ・・・。」


おー、まい、がっ!!


「それに、調合出来るのは液体だけなんだよ。」


おー、しっと!!


「まあ、この澱粉糊とかいうやつなら、なんとかなると思うけどねぇ。」


糊だけ貰ってもね。


いや、糊が出来るなら糊だけでも任せよう。


「繊維の抽出は?」


「この白いのかい?私も加工職人じゃないから分からないけど、多分大丈夫じゃないかい?」


ふむ・・・となると。


「一応当たって貰えますか?」


「いいよ。アンタには儲けさせて貰ってるからねぇ。」


いえいえ、こちらこそいつも目の保養をさせて貰ってます。


また来まーす。


・・・ジャンヌ、睨むな。




さて、どうしようか?


今一度タブレットで技能を見るが、紙すきに適している技能が見当たらない。


普通にピンチなんじゃないだろうか。


何か手はないもんだろうか。


うーん・・・。


なんか俺一人で考えるのもちょっと限界な気がする。


タブレットで見て知った気になっているが、天職や技能について俺はまだ聞きかじりの初心者だ。


ここは紙すきを作って、一旦やってみせて意見を貰う方向でどうだろうか。


幸いにも横には有能侍女・・・侍女なのか今?


ともかくジャンヌがいるわけだし。


親父が良くほうれん草が大事だと言っていた。


報告、連絡、相談のことであって緑黄色野菜の栄養分のことではない。


今は相談が必要なときだ。


よし。


帰る前にゴモラさんの所に寄って木の枠を2つと釘を8つほど用意して貰った。


帰ってジャガイモを絞った元Tシャツを切って木枠にハサミ、釘を打つべし打つべし。


残っていた糊と水を入れた鍋の中に入れ、上から元トイレットペーパーだった繊維をじゃっぱん。


鍋の中で揺らしながら平らに慣らす。


むずいな。


まあ、上手くやればこうなるよ、ってサンプルはあるからな。


確かに同じものですね、ってりかいしてもらえれば良いだろう。


「明日には出来ていると思う。」


うまくいけばいいな。


「そうですか・・・ですが、明日はジャックさんの所にお嬢様とアグネスが行く日です。」


「・・・あ。」


そういえば、俺行かないといけないんだっけ?


「ただまあ、今の作業を見る限り、少なくとも私の知る範囲では、使える技能はないかと・・・。」


おー、ふぁっきんじーざす。


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