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歯磨き粉の完成

家が出来た。


俺の家だ。


敷地をぐるっと木の柵で囲まれたウッドハウス。


明日からの俺の城・・・と思っていたが、まだらしい。


この後清掃が入って家具の運び込みがある。


その後運び込みように空けてある家の壁を閉じて完成。


家具は別途発注しているらしく届くのは明日。


だから住めるのは明後日から。


大丈夫、ここまで来たら一日くらい。


帰ろうとするゴモラさんに、ついでにと犬小屋を作って貰った。


1時間もかからずに出来た。


超速い。


「家の材料が余ってたからな、小さいんだ。こんなもんよ。」


馬車の外側だけなら2時間で作る人だもんね。


俺達は予定通り警備隊に怪我人を引き渡し、犬を預かった。


怪我人は罪状なし。


犬は寂しそうな顔をしていたが、おとなしく着いて来た。


主人を治療することが分かったみたいだ。


まだ子犬なのに賢い。


めっちゃ小型な老犬かもしれないけど。


「家にイタズラするなよ。」


予定通り木柵の内で放し飼い。


帰る途中で洗面器型の入れ物を2つ買って、一方を水入れ、もう一方を餌入れにした。


餌はガルスガルスの肉。


ぶっちゃっけ鶏の肉。


焼いて渡したら、傷が痛むのかゆっくり、しかししっかりと食べた。


傷には薬も塗ったし、早く元気になるといいな。


翌日起きて見に行くと元気に走り回っていた。


獣の生命力ってスゲー。




朝、軽めに犬に餌を与える。


1日2食でいいかな。


これから俺の新しい日課だ。


飼い主が迎えに来るまでは。


期間が短いことを祈る。


因みに飼い主はまだあどけなさの残る少年だった。


生きてはいるようだが目を覚ます気配はなかった。


ケロッと起きて犬を迎えに来てくれると嬉しいが、どうだろう。


足折れてたっぽいし。




ともかく今日は歯磨き粉だ。


ジャンヌが横にしっかりと控えている。


因みにこの世界の歯磨きといえば、木の枝を茹でて叩いてブラシ上にしたもので磨くのが一般的だ。


歯の裏とか磨きにくそうだ。


俺が手持ちの歯ブラシを使っているのをジャンヌが見てから、木の細い板に短く斬った馬の毛をつけたブラシが使われ始めた。


誰が作ったんだ?


ともかく、作業開始。




歯磨き粉に期待する効果とは何か。


期待する効果を求めて材料は入れられる。


これを抑えられるかどうかで検索出来るかどうかが変わる、というのが今回の一番の収穫かも知れない。


歯磨き粉であれば、「汚れを落し」、「虫歯を予防する」、が主。


この両方を重曹は持っているから、どのサイトでも重曹って出てくる。


汚れを落すには研磨剤が、虫歯を予防するにはアルカリ性で在ることが重要だから。


口の中の菌はアルカリに弱いんだって。


へー。


アルカリといえば石けんでも使いました。


そう、木の灰の上澄み液。


昔の人はどうやって知ったのか、使っていたそうです。


どうやって知ったのだろうか。


歯磨き粉の歴史で検索して漸く辿り着いた重曹の代替え。


歴史って大事。


いやいや、じゃあ汚れを落すにはってところで別の研磨剤を足すことになる。


この研磨剤があるべきかないべきかは結構色んな意見が並んでいてどっちやねん?ってなった。


入っていると汚れは落ちるが歯を傷つける。


なければ汚れは落ちにくいが、頑張ればブラシで落ちる。


・・・若干入れとく方向で。


迷ったときは間を取る。


ディスイズ大和魂。


ちなみに研磨剤は塩を選択。


他にないから。


さて、灰汁を煮詰めてても市販の歯磨き粉のようなクリーム状にはならない。


なのでコレを煮詰め凝縮したアルカリ成分と研磨剤をクリーム状のものに混ぜるわけです。


採用したのはココナッツクリーム。


そう、昨日飲んでたパームを使う。


からの内側に白いのが固まってたから多分ココナッツだ、あれ。


生で飲んだことがないから知らんけど。


これをジャンヌに手伝って貰おう。


ココナッツと水を合わせて沸騰するまで似て、布で越す。


越した水気を冷却するとクリームが浮いてくる。


大量に作ると時間がかかるので、ウジェーヌさんに渡す分が最悪作れれば良い。


こういう加工も加工職人の素材抽出にかかれば瞬殺だそうだ。


勿論、加工職人も実物を見ておく必要があるので、一度渡す必要があるが。


そうやって抽出した材料を調合でバンバン混ぜ込んでいるらしい。


既に石けん、シャンプー、リンスは量産され、屋敷にも届いていると言う、


というわけで余り量を作るメリットがない。


速度重視で。


そも歯磨き粉なんてそんな1回で使わないしね。


出来上がったココナッツクリームを灰汁液に入れ、混ぜてまた沸騰させる。


ついでに拾ったミント擬きのラミエールを洗って叩いてぶっ込む。


香り付けに花ビラもぶっ込む


エキスが混ざれば葉っぱは要らないので取り出す。


葉っぱで入れているサイトがなかったのでどれくらい入れれば良いか分からなかったので多めで。


ダメならウジェーヌさんに調整して貰おう。


一応調合は自動で行われるが、発動前に本人の意思で分量の加減も出来るそうだ。


完成品があって材料さえ分かってしまえば、後はかなり丸投げでいいっぽい。


さて灰汁+ココナッツクリーム+ミントは灰汁、余殃は水に溶けている状態だから、熱して水分を飛ばしながら混ぜてやれば、またクリームに戻ってくる。


灰汁のアルカリとミント成分をたっぷり抱えて。


コレに塩となめらかさを出すために植物油を混ぜれば歯磨き粉の完成だ。


明日は家に住む準備をしたいから今日中にメンドい事は片付けたいな。


一応使ってみて、口をゆすいだ後歯を触ってみる。


爽やかすぎて痛いが、効果を実感する。


つか涙が止まらねえ。


ウジェーヌさんが用意してくれたラミエールで事足りた感、半端ない。


余ったラミエールは・・・ウジェーヌさんに寄付で。


必要なとき拾いに行けばいいやって距離だったしね。


モンスターいたけど。




涙を流しながらシャカシャカ歯を磨くジャンヌを急かし、ウジェーヌさんの元へ。


「歯を綺麗にして、虫歯を防ぐ・・・ねえ。いいじゃないか。」


「こちらがそれ用のブラシです。お試しを。」


ジャンヌ、用意が良いな・・・。


「なるほど、木の枝にどうやってつけるのかと思ったけど、これなら・・・。」


「毛の部分は農場から仕入れた馬の毛を使いました。木の間から出ている部分は毛のまま、裏側を裁縫職人に布化させていますので抜けません。それを大工職人に作らせた、穴の空いた木の枝で挟み込んでいます。」


「となると、これを一般に売るためには大工職人と農場経営者と裁縫職人が必要なわけだ。」


「一度作ってしまえば、美術家の筆作りに登録することで量産できます。その点は試し済みですよ。知り合いに売れない絵描きはいませんか?」


「いるねぇ・・・。そう言われちゃうとねぇ・・・って最初から断る選択肢もないけどねぇ。」


「では?」


「量産、引き受けるよ。」


「ありがとう御座います。」


相変わらず俺が口を挟む余地がない。


良いけどね。


「ああ、そうそう、ラミエールは分量が今回多かったんで、次の調合では減らした方が良いですよ。多分技能が最初に提示する量の半分くらいに。」


「ん、そうなのかい?まあ、分かったよ・・・ってこれ、私使わなきゃいけないんだけど・・・。」


「お察しします。」


「・・・。」


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