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天職と技能

ここが公爵家でなければ、外に飛び出していたところだが、俺は悶々とした気持ちでここにいた。


ここの生活がこの世界ではそれでもマシだと理解したから。


ひとまず天職システムのおかげで就職口に困ることはないらしいが、俺は結構苦労するらしい。


というのも俺の天職、狩人はこの世界では下級職、つまり底辺に位置するようだ。


騎士職、商業職、工業職、農業職に転職は分類され、この順番でランキングされる。


狩人は農業職で、就職しても稼ぎは乏しいまま終わるのが普通なんだとか。


その為、公爵のツテを頼った方が良い、というのがジャンヌの意見だ。


だからここで我慢しているわけだが・・・うーん。


攻めて風呂とトイレは外で自分のを使わせてらえるようにお願いするのは失礼だろうか?


相手が貴族だから下手なことするとロクでもない結果になりそうだ。


「というか天職ってそんなきっちり分類分けできてるのか?」


どれともとれないような天職が出てきたらどうするんだろうか?


「ええ、与えられる天職は決まっていますから。今ではほとんどの天職がどのような技能を持っているかも整理されていますよ。」


「へえ。」


「この屋敷にも確か書物がありますが、ご覧になります?」


暇つぶしにどうだろうってことかな。


実際やることがないからな。


マジで鬱になりそうだ。


折角の提案に乗るとしよう。


まあ、人の技能なんぞ知ったところで何だって話ではあるが。




案内された部屋で、羊皮紙製のその本との出会いは、後々思えば運命だったのかもしれない。


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天職と先天技能の一覧


<<騎士職>>

聖剣士  = 聖剣解放 剣撃強化 身体強化 聖剣召喚

軍師   = 天気予報 鳥の目 

戦士   = 斬撃強化 刺突強化 盾捌き 体力上昇

魔導師  = 魔力保持 魔法球変換 魔法球射出 属性付与『四元』

暗殺者  = 剣格納 敏捷上昇 暗視 気配隠蔽

僧侶   = 治療 浄化 祈祷

格闘家  = 腕力上昇 脚力上昇 打撃強化 敏捷強化


<<商業職>>

商人   = 高速計算 物品鑑定 投影 商品固定

奴隷商人 = 高速計算 罪人隷属 罪状鑑定 隷属受渡

運送屋  = 樽作り 樽詰め 状態保存 持久力上昇 

郵便屋  = 操鳥 地図記憶 住所即解 持久力上昇

占い師  = 魔力保持 魔力拡散 属性付与『探知』


<<工業職>>

加工職人 = 素材鑑定 素材解体 素材抽出 

発酵職人 = 精霊制御 精霊培養 精霊格納 発酵促進

料理人  = 食材分析 包丁捌き 焼き加減 冷却 

薬剤師  = 調合 効能鑑定 薬格納 素材格納

大工職人 = 目測 鋸捌き 鉋捌き 釘作り 釘格納

鍛冶職人 = 熱耐性 研ぎ名人 鎚捌き 武器鑑定

裁縫職人 = 洗浄 糸紡ぎ 布織 針捌き

陶芸職人 = 熱耐性 粘土作り 粘土捌き 素材格納

硝子職人 = 熱耐性 硝子作り 肺活量上昇 素材格納 

音楽家  = 声量拡張 絶対音感 楽器作り 楽器格納

美術家  = 筆作り 塗料作り 筆格納 塗料格納

彫刻家  = 目測 ノミ捌き 鎚捌き 


<<農業職>>

農耕士  = 均等種蒔き 虫除け 草根刈り 脱穀

農牧士  = 産卵促進 乳搾り 無痛毛刈り 状態確認

鉱業士  = 暗視 体力上昇 鎚格納 素材格納

狩人   = 狙撃 矢作り 弓矢格納 素材格納

漁師   = 槍投げ 早泳ぎ 船格納 素材格納 

木樵   = 乾燥伐採 木登り 斧格納 素材格納

駆除士  = 毒耐性 毒作り 毒格納 毒噴射 素材格納

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間抜けにも只我慢だけしていた俺は、このときはまだ、この頁の有効性に気付いてなかった。


魔導師とかを見て、あ、やっぱり魔法あるんだって思っただけだ。


その本には天職についての補足や解説が他の頁に書いてあった。


ちなみに著者は恨みでもあんのかって位、狩人はボロクソに書かれていた。


騎士職とは違った場や敵を得意とする漁師や木樵、駆除士と違い、基本騎士職が倒せる地上の相手しか倒せない。


戦闘力が騎士職と比べると低く、強力なモンスターには敵わないので結局騎士職頼りになる。


精々鳥を効率的に撃てる位が取り柄だが、農牧師がいる場所ならガルスガルスが養殖されているので鶏肉には困らない。


天職の底辺、害鳥駆除が関の山。


要約するとこんな感じ。


ほーう。


鬱を通り越して、躁になりそう。




夜、ベッドで寝ながらどうしようもない答えを探している。


俺はドラゴンを倒せるだけの底辺職。


ドラゴンのいない場所では役にたたない。


それなのに、俺はこの世界の生活に誰よりも満足できないのだ。


上を知った者は下に戻れない。


泣きそうだマジで。


仮にここを出て、車の持ち物でちょっとの期間取り戻した生活水準も物資がなくなれば終わりだ。


ならばいっそ早くここに慣れるべきだろう。


調味料?


作り方なんて知らないし、作る設備も技能もない。


石けん、シャンプー、リンス?


言うに及ばず。


トイレットペーパーもあと2ロールと使いかけが1ロール。


紙が作れる世界なら羊皮紙なんて使ってないだろう。


あの本の言うことは腹は立つが、ごもっともだ。


俺の天職、狩人。


正にゴミジョブだよ。


少なくとも俺にとっては。


せめて他の天職だったら、一つくらい解決できたかもしれない。


・・・?


他の天職だったら・・・。


待て待て待て待て。


そうだよ、他の天職だったら可能かもしれない。


何も俺が作ることはないじゃないか。


作らせるんだ。


どうやって?


そもそも作り方は?


醤油が欲しいでできるならもう作っているはずだ。


おそらく俺の技能と一緒で何らかの縛りがどの技能にもあるだろう。


一回は登録しないとダメとか。


車には調味料も洗剤も一通りある。


あれ・・・これ、いけるんじゃね?


知識はどうする・・・そうだ、ある!!


あるじゃないかイサギリ工業が誇るスーパー容量食いアプリ、ディクションが!!


行ける!!


行けるって!!


よし、じゃあどうやって作らせる?


対価だ。


金だ。


どうやって稼ぐ?


ドラゴンを倒せる狩人が稼ぐためにはどうしたら良い?


まだ、具体案が固まったわけじゃない。


この世界の社会形態しらないし。


でも、ほぼほぼやるべき事は分かって居る


大丈夫。


希望が見えてきた。


親父、俺、頑張るよ!!



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