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不変と恋の戦争物語  作者: 萩原慎二
春恋編
8/41

Another story1 恋する牡丹の小さな決心

前回のあらすじ川柳

      皐月はね

       デレる速度は

          最速です(なんだこれ)


牡丹視点のお話です。

私、鬼灯牡丹は昔から気が弱かった。

自分から意見が言えず、人の言われるがままに動いていた。

体も小さいし、声も小さい。運動もできないし勉強もそこそこ。取り柄もない私は、常に人の影に隠れているだけだった。


その日も、放課後の教室の隅っこで本を読んでいた。

「ねーあんた、一人で寂しくないの?」

そんなときに、急に一人の女子が話しかけてきた。

私と同じぐらい体は小さいが、声が大きく自分の意見もハッキリ言える。そう、皐月ちゃんです。


「別に………寂しくなんかないですよ」

「うわ!声ちっさあんた!」

はじめの頃は声が小さいことを茶化された。でも、悔しくは無かった。だって事実なのだから。


「そう言うあなたこそ、なんで一人なんですか?いつもの人達と一緒じゃないんですか?」

「ああ、いつもの奴らなら皆休みよ。インフルエンザかかっちゃった」

5人くらいがインフルエンザ………それは大丈夫なのだろうか。

「というか、なんで私達のこと知ってんの?もしかして、いっつも見てたの?」

皐月ちゃんは意地悪そうに笑う。だからか私はムッときてしまった。

「別に………あなたには関係ないですよ」


我ながらひどい言い方をしたと思う。誤魔化すためとは言っても、もう少しマシな方法があっただろうに。

「なにそれ?変なの」

そう言って皐月ちゃんは笑う。何が面白いのだろう、私には理解ができない。


「さーつーきーちゃーん遊ぼ!」


どこからか声が飛んでくる。

「うーん!今行く!」

皐月ちゃんはどっこいしょと腰を上げ、グッと伸びをする。

「あんた、名前は?」

「…………へ?」

「な・ま・え。なんて言うの?」

一瞬戸惑った。今まで名前を聞かれた経験などあまりなかったから。


「牡丹………鬼灯牡丹です」

「鬼灯?変な名字。それじゃ、また明日!」

そう言って皐月ちゃんはかけていく。

「そっちこそ………変な名字ですよ………七竃皐月って」

私は人の名前を覚えるのは得意で、『七竃』なんて聞いたことがなかったからよく覚えていた。

私はまた一人になって、仕方がなく帰宅した。



次の日。私はまた教室の隅っこで本を読んでいる。

今日はインフルエンザで休んでいた人達も何人か来たから、皐月ちゃんは来ないだろうと思っていた。

「やっぱり。また一人で本読んでんのね」

私は驚いた。そして、なぜまた皐月ちゃんが来たのかわからなかった。

「今日ね、他の皆一応って言って帰っちゃったのよ。だから暇だったの」


そう言って皐月ちゃんは私の隣の席に座る。

「…………私といたら。もっとつまらないですよ」

何故かわからないが、そう言ってしまった。皐月ちゃんは驚いているのか大きく口を開いて。

「あんた何言ってんの?」

「………え?」


皐月ちゃんは『何だこいつ』という目で私を見ている。

「………だって、私と居ても面白いことできないし。運動もできないし………一緒にいていいことなんてありませんよ」

何故か私は皐月ちゃんに正直に話してしまった。久しぶりに学校の人と話したからか、理由はわからない。

「…………やっぱりあんた、バカじゃないの?」

「………へぇ?」

バカと言われ、流石に私も腹が立ってくる。


「別に、私が誰と居たって私の勝手でしょ?それに………わたしは……仲良くなりたかったし………」

最後の方はゴニョゴニョ言っていたが、私にはバッチリ聞こえた。

それを聞いて皐月ちゃんの顔も、私の顔も赤くなるのがわかる。


「………わたしでも、いいんですか?」

「………うん。むしろ、おねがい………します」

「ふふ………なんて敬語なんですか?」

急に敬語になった皐月ちゃんに、私の方が笑ってしまう。

「う!うるさいわね!あんたも本ばっか読んでないで遊ぶわよ!」

そう言って皐月ちゃんは私の手をとって走り出す。

「あわわ!?皐月ちゃん、引っ張らないで!」

そして、私と皐月ちゃんは目一杯遊んだ。



これが私と皐月ちゃんの出会い。

それからは中学・高校と同じところへ行き、とても仲良くしていた。

今考えれば、もともと皐月ちゃんは私と話したかったんだと思う。

二人で文化研究部に入って、いろいろな人に出会った。

笑顔が素敵でよく話す茜さん。

優しくて母性あふれるお胸の楓さん。

かっこよくて頼りになるけど性格が曲がった正木先輩。

頭が良くてしっかり者の梓さん。

皆、私の大切な先輩であり、仲良しな友達だ。


けど、この前皐月ちゃんと喧嘩をして悟った。

皐月ちゃんも、正木さんが好きなんだ。

私は正木さんが好きなのを自覚している。

だから皐月ちゃんにバカにされていたとき無性に腹がたった。

でも、そのときに気がついた。

皐月ちゃんは、自覚してないけど正木さんが好きなんだって。

それからは、気持ちがモヤモヤしてた。

皐月ちゃんの恋を応援したい。けど、私の恋は枯らしたくはない。


気持ちがグチャグチャなときに、私と正木さんとで街へ遊びに行った。

勢いで誘ってしまい、少し後悔していた。

どうしよう。と考えていたが、正木さんに頭を撫でられてどうでもよくなった。

いや、決心した。

『自分に正直に生きよう』そう思った。

皐月ちゃんが自分の気持ちに気づいたとしても、この恋をおろそかにはしない。

皐月ちゃんや茜さん。楓さんや梓さんが立ちはだかっても、倒してみせる。

そう決心した。


皐月ちゃんの先を越し、頭を撫でてもらえる権利を獲得して喜んでいた。

しかしその幸せもすぐに動揺に変わった。

皐月ちゃんも、頭を撫でてもらえる権利を獲得したのだ。

けど、まだ同じ土俵に立ったばかりだ。

先にスタートした分私の方がまだ有利だ。

しかし、それもすぐに同じになる。

だから、私は正木さんへの恋の攻撃は止めない。

皐月ちゃんは親友だ。だけど、恋のライバルでもある。

油断はしない。どんなに先を越されても、最終的には私が勝ってみせる。


私はそう決断した。

皐月回終了後の牡丹のストーリーです。

ちょくちょくこういう回を挟んでいこうと思っております。

誤字脱字、感想等も受け付けております。

次回予告川柳

    茜はね

     挑発受けて

        泣いている(予定)

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