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六話「邪教団と戦おう」

「よぉおおおおおうこそ! 我らがロンドボトム城へぇえええええ!!」


「なんだ!? 新手の狂人か!?」

「一体、他にどんな狂人がいるんですかね……」


 四人はエントランスホールに突入した。

 二階へと続く階段。だだっ広い広間。埃だらけのシャンデリア。

 周囲を照らすのは壁にかけられた幾つかの蝋燭。

 そしてそんな空間に十数人の、ローブをかぶった者たち。

 彼らの最奥に立っている男が叫んでいた。

 着用しているのは黒いスーツと他のものと同じローブ。

 神を腰まで無造作に伸ばしており、その顔の全容を伺え知ることは出来ない。

 しかし頬は病人のようにやせ細っている。だというのに、

 身長は人の二倍ほどはあり、筋骨隆々。

 骨と筋肉だけで出来ているような人間だった。


「おまえら、何者だ!」


 クロードが叫ぶ。


「おやぁ? 普通なら侵入者たるぅ、貴方達がぁ、先に名乗るべきではぁ? でぇえええええすが答えましょぉおおおおおう!! 我こそは四竜教団、四司教の一人にして、”東竜”の位を授かりしもの! ディザァアアアアアアト・ライブラリッ」


 名乗り終えるまでにクロードが駆け出した。

 ローブの集団を足場にして、名乗り上げた男の顎に飛び蹴りを食らわす。

 男はよろめき、その隙にクロードは背中のバッグから黒羽のカトラスを取り出し、斬りかかる――!

 ――瞬間、男がのけぞりながら、クロードの顔を掴んだ。

 男は、そのままクロードもろとも、右腕を背後の地面に叩きつけたッ!


「ガハッ――!!」

「おや、この感触ぅ。どうやら我と同じぃ、岩石族のぉ、ようですねぇ。いやはやご同郷が居るとは嬉しい限りぃ……ですがぁ」

 男はクロードを掴んだまま、右方向に回転し、そして再び地面にクロードを叩きつけるッ!

「人がっ! 名乗り上げてるときにっ!! 何切りかかってきてんだお前っ! 頭っ! おかしいんじゃないのかっ!? ええっ!? 両親に何を習ってきたっ!? この狂人! 狂人めぇええええええ!!」


 ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、とクロードを地面に叩きつける男。


 そしてクロードの顔面を地面に擦り付けたまま、男は更に右回転し、エントランスホールの中央めがけて、クロードを投げ捨てた。

 中央を通り越し、正面玄関の上、窓を突き破り、クロードは外に飛び出した。

 それを見て、男はふぅううううううううう、と大きなため息をつき、顔を撫でる。


「我はデザート・ライブラリと申します……。皆さん、よろしくお願いします……」


 そう言うと、デザートは背中のローブから、身の丈ほどの大きさはあろうかという巨大な銀の鎚――メイスを取り出した。


「クロちゃん!!」


 シビルはクロードを追いかけて、エントランスホールの正面玄関から出ようとする。

 その背後からデザートは飛びかかり、メイスを思い切り振り下ろした。

 デザートのメイスによって圧し割れる床。

 シビルはとっさに飛び出したエレナに抱えられ、助かった。


「大丈夫ですか、シビルさん!」

「え、ああ……、うん」


 エリナに抱えられたシビルは解放されると、急いで立ち上がろうとする。

 そうこうしている合間にデザートは再びメイスを持ち上げ、斃れている二人に向けてメイスを振りかぶった。


「チッ――!」


 アンガスが腰のショートソードを地面に突き刺す。すると地面は突起状に盛り上がり、波紋のようにデザートに向かっていく。


形状変化ヴァリアントですかぁあああああああッ!」


 デザートは跳躍し、天井のシャンデリアに着陸する。さながら猿のような動きだ。

 形状変化ヴァリアントの魔術はその名の通り、物体の形状を変化させる魔術だ。

 アンガスは形状変化ヴァリアントに卓越していた。


「シビルさん、アンガスさん、私がクロードさんを治療してきます! ここは任せました!」

「了解」

「わ、わかったよ」


 エリナは立ち上がり、エントランスホールから出ていく。

 クロードが外に飛んでいったたためだ。


「おやぁ? 分散でぇすか? 外にはドラゴンの群れが居ますしぃ。更に四司教の一人がぁ、向かいましたがぁ?」

「後の二人はどこに居るんだよ」


 アンガスの問いに、デザートは上を指差す。


「上でぇ、絶賛研究中ですよぉ、姫を材料にして、完全なる竜を生み出すためにね……」

「なるほど、呼んでくるべきだと思うがね。なんせ実質二対一だ」


 アンガスがシビルの腕を掴み、立ち上がらせる。


「大丈夫かね、シビルくん」

「ええ、問題ないです……。クロちゃんは……、アレぐらいなら無事かな、多分……」

「聞き捨てなりませんねぇ。ココには我以外にぃ、多くの信徒がぁ、いるのですがぁ? 絆の力を見せてやろうではありませんかぁ! みなさァン!!」


 デザートがローブ集団に激励のようなことを言うが、ローブ集団は無言のままだ。

 全員が全員、怪しげなナイフを逆手に構えている。

 アンガスは鞘から抜いたショートソードを片手に構え、迎撃姿勢を取る。

 シビルは懐から、片端が菱形になった楔を数本取り出した。


「よし、いくぞ……!」


 シビルの楔がふわりと宙に浮く。念動力テレキネシスの力だ。

 今ここに邪教団と即席パーティーの戦いが始まろうとしていた……。


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