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仮面の男

 燃えたぎる炎をまとった城が、密かにあった。フランス王宮のような城に炎がまとう姿である。

 この妖しげな城内で、コソコソと暮らす赤魔(アカマ)が、身に纏った金の仮面を外すときは滅多にない。理由として、信頼を置いている者にしか顔をさらけ出したくないからだ。

 仮面の下には、黒い傷が、左眼を縦に走っている。これは呪いであり、歳を重ねるごとに少し少し傷は広がっていた。


 ことは、四九九八年前に遡る。

 当時、赤魔はそれまで火の国の王としてしたわれていた。それは誰もが思う赤髪がよく映えた美男子であり、この影神界中の人々が、彼に親しみを抱いていた。

 皆、彼を決まってこう呼んだ。『赤魔様』『赤魔王様』と。誰も、彼を国王と呼ぶ者はいなく、心して信頼を抱かれていた。

 しかし、実の妹であるワカ族(神的存在)の女王、水魔(スイマ)が全てを操る神の手により、作られてから赤魔の生活は一変した。

 妹は、デミ族(不完全な神)の王は世に必要ないとして、赤魔の左眼に黒々しい切り傷を入れ込み、その醜い傷に美しい顔が二度と戻れない永遠の呪いをかけた。その通り、赤魔の顔は見る見るうちに黒々しい傷で広がってゆき、美しい顔は、恐ろしく変わり果てた。

 その後は、素顔を隠し、密かに暮らすようになったのだ。


 赤魔は、守護鏡(しゅごかがみ)を逸らすことなく、ひたすら見続けていた。

 鏡の中、映し出されているのは一人の若い娘。彼女は、前向きな表情を浮かべて浅い水面の上をひたすら歩き続けていた。赤魔はこの娘に、ただならぬオーラが纏っていることを感じた。実際、目に見えるわけではないが、感じ取ることが出来る。そのようなオーラを持つ人は始めてみた。……もしかすれば。――赤魔は、ただならぬ予感を感じていた。   

 この時、背中に感じたのは奴の気配だった。

 

 黄色い火を纏った獣、麒麟は凄まじく素早い動きで城に、お使いから帰ってきた。きりりとした目力を赤魔の背に向けている。


「ご苦労。キバにも伝えておいた方がいい」


 奴を感じ取った赤魔は、背中を向けたまま、言ったが、少し背後を振り向いて徐に仮面を外していく。徐々に、黒々しい紋章は現れた。

 仮面を外した影は、真紅色の絨毯にくっきりと映し出されていた。


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