表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
9/48

動物の解剖が始まった

 19時から研究者全員を集めたミーティングが行われている。

研究チームの総責任者はエバンス、最初にg星に降り立ったバッハは研究者ではないので、すでにレッドアローへ引き上げている。

事故があった為、調査は中断された、今日もカミロの捜索が優先されている。


「気難しいくて、扱いにくい男だが、彼の頭脳には我々が調べた全惑星の生物学的知識が入っている、何としても探し出せ。」


 今後の調査を考えると、カミロを失う影響は大きい、エバンスは気が気でない。

具体的な提案や報告がなされないまま、雑談に近いミーティングが続く。


「カミロは何処へ行ったのだろう。」


「全く何も見つからない、髪の毛1本残されていないとはどう言うことだ。」


「持ち物が一つも見つからないなんて変すぎます、探しようがありません。

地面の亀裂か、穴に落ちて、地底に行ってしまったのではないですか?」


「それ、案外当たりかも。」


「ふざけるな、冗談言っている場合じゃないぜ!」


「飛行スーツも持ち出していないんだ、遠くに行っている筈がありません。」


「やはり、落とし穴に落ちたんだ、間違いない。今頃地底深くだ。」


「馬鹿野郎、悪い冗談は大概にしろ!」


 エバンスが一括した。


「今日で3日目だ、もう死んでるに決まっている。」


「奴は死なない、偏屈で気が小さいが、奴は人間ではないのだ、あのタイプの

アンドロイドはほぼ無限に動力が続く、切れる心配もない。」


「不味い奴を食べる動物がいる筈がない、口に入れてもきっと吐き出してるぜ。」


「救難信号は出ていないのか。」

 

「信号は全く出ていません、位置情報も確認できません、お手上げです。」


「みんな、足元だ、落とし穴には注意しよう、カミロの荷の前は御免だ。」


「お前はまったく、いい加減にしろ。」

   

 人員を半分に減らし、なおカミロの捜索は続けられていたが、手がかりが見つからず、調査に大幅な遅れが出てきたので、カミロ捜索は10日で打ち切られた。


 行方不明から1ヶ月も経つと、誰もカミロの話をしなくなった。

重要なデータベースを失った損失は大きいが、手がかりが無く探しようがない、

調査の遅れを取り戻すため、各自必死だ、カミロ捜索どころではない。


 その後は何事も無く、平穏な調査の日々が過ぎていった。

相変わらず夜はうるさいが、あの夜以降事件は起きていない、カミロの件は単純

事故として片づけられた、g星が安全であることに変わりはない。


 全員の頑張りで、遅れは殆ど取り戻せた。1年の基礎的調査が終わりを迎える。


 いよいよ第2段階、サンプルを採取し、解剖や細胞レベルの精密調査が始まる。

分析が専門の科学者が待ち望んでいた瞬間がやって来た。この訳の分からない

生命体の真相に迫ることができる。


 フィッシュマンは昨日捕まえてきたネズミくらいの動物を調べている、動物は

大人しくて、置いた場所から殆ど移動しない、触っても、全く抵抗しない、軽く

身体を震わせる程度、逃げないし、暴れないので調査はし易そうに見えた。


「スキャナーで映ってない内臓が気になる、腹部から切開してみよう。」


 助手のスワンはフィッシュマンの指示どおり、メスで腹部を開いてみた。


「肋骨や背骨に似た骨格がありますが、やはり内臓はありません、表皮の下は

筋肉と言うより、どちらかと言うと柔らかいPotato、やや硬めのゼリー、表現は

難しいですが、そのような物質が腹部全体に詰まっています。」


「頭部を開いてみよう。」 


 頭部は固い、スワンは解剖用の鋸を使って頭部の外殻を開いた


「腹部とは随分違いますね、殻の中に組織がぎっしり詰まっています。頭部は他

の惑星の動物と同じように、司令塔でしょうか、内部の構造が相当複雑です。」


「手や足は?」


 スワンはメスで足を縦に切り開いていく、


「骨格や関節があります、特異な構造ですが、筋肉に近い繊維状組織があります。足の裏が面白いですね、伸縮する指が無数にあります。何に使うのでしょうか、

指は繊維組織に繋がり、足の裏から足の付け根まで伸びています。」


 身体の彼方此方を切開し、構造を調べていた、解剖は5時間にも及んだ。


「休憩しよう。」


 フィッシュマンの声を待ちわびていたように、チーム全員が研究室を後にした。

休憩時間が終わり、チームが研究室に戻ると、バラバラになった組織から泡が出

ている。


「腐敗を始めるのが動物の常識、早すぎるが、泡は多分腐敗の前兆なのだろう?」


「大体の構造は解った、慌てることはない、サンプルは幾らでも手に入る、

そのままにして、調べた身体の構造について検討を始めよう。」


 チームは別室に移動してテーブルを囲み、不思議な動物の身体の働きについて

検討会を始めた。


 誰もいない解体テーブルの上ではネズミの遺体が泡を吹いていた、泡は切り取

った身体のパーツ全てに及び、やがて動物の原型が崩れ、どれが頭で、どれが足

だったか、全く見分けがつかなくなった。

 更に1時間たつと、どのパーツからも手や足のような物が生えてきた。

フィッシュマン達がいない処で異変が続いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ