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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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g星の夜は騒々しい

 赤色矮星グリーゼ581gに着陸してから6ヶ月が過ぎた。

価値の高い希少資源はまだ何も見つかっていない。ダイヤモンドの原石だけは、

あちこちにゴロゴロ転がっている。直径30センチを超すダイヤモンドもある。


 21世紀の人類なら、ダイヤモンドが見つかれば狂喜して喜ぶだろうが、31

世紀では、チラチラ光るだけの、下らない炭素同位体に興味を持つ者はいない。

 元はと言えば、ダイヤモンドは白色矮星が爆発して飛び散った星の破片、

白色矮星が有った場所に近い星には幾らでも落ちている。

 星系移動が可能になってからは、ダイヤモンドは方々の星で発見され、装飾品と

しての価値を完全に失った、今では真珠の方が遥かに値段が高い。


 資源調査隊は上空からの資源・精密スキャンを続けている。

技術が進歩しても地下資源の調査は簡単ではない、膨大な時間と人手がかかる。

ある程度の目星が付けば、場所を特定し、地上と連携して宇宙線などを使った

別角度のスキャンを実施する、資源が見つかれば、次はボーリング調査になる。


 実際資源が見つかっても、簡単に持ち出すことはできない。

この星は重力が大きく、重量物を母船に輸送する手段が確立できていない。

今回は取りあえず調査だけで良いことになっている。


 フィッシュマンらの生物学調査チームの活動は順調だ、g星の大型動物の空からの調査はほぼ終えた。今後は中型、小型、顕微鏡レベルの動物が対象になる。

1年後には陸上の動植物を実際捕まえ、解剖、あるいは細胞レベルの調査を行う。


 6度目の大量絶滅を迎えるまでの21世紀初頭地球には、約800万種の動物と

約30万種の植物、約65万種の菌類、約4万種の原生動物が住んでいた。

 単純推計に過ぎないが、6ヶ月の調査で、赤色矮星グリーゼ581gには、

約100万種の動物と、約1000万種の植物、約200万種の菌類、2万種の

原生動物が生息していると思われる。

 地球とでは動物と植物の割合が逆転している、遺伝学的には、植物を中心に進化してきた星のようだ。


 この星は昼間は静かだが、夜はたまらなく騒がしい、昼間は大人しい植物たちが

実は夜行性で、夜になると活発に動き回る。 

 調査隊は18時を過ぎると調査活動を止めることになっているので、夜間の

調査は行われていない、騒音の原因を掴んではいないが、それでも実に騒がしい。

ただ、調査隊のキャンプ地で生物に危害を加えられた報告はまだ入っていない。


「あの騒がしいの追い払ってはいけませんか?」


 菌類が専門のカミロは線が細く、神経質な性格、あの騒音が気になって、気になって仕方がない、アンドロイドなので睡眠不足になるようなことはないが、

イライラして、研究に集中できない。


「余計なことをするな、放っておけ!」


 調査隊長のエバンスはアンドロイドが何を言っていると、相手にもしてくれない。

  

「クソ、イライラする」


カミロは夜間の騒音が気になってどうしようもない、パニックを起こしそうだ。


「ウルサイ、我慢ならん!」


 9ヶ月目の夜、カミロは火炎放射器を持ち出し、夜間に一人、無断で出ていった。

朝になってもカミロは戻って来なかった。調査隊が3日間、上空と地上から周辺

を隈なく捜索したが、カミロの身体や持ち物の痕跡は全く見つからなかった。

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