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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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ニュクスに託された計画

 オデットが食品加工場にいたころ、

ニュクスはレッドアローに戻り、船内の冷凍保管庫を点検していた。


「貴方たち、もうすぐ出番ね。」


 ニュクスがこの星に来た本当の目的は、行くへ不明者の捜索ではなかった。

冷凍されたホモサピエンスの肩に手を添えながら、マザーから聞かされた

計画を思い出していた。


「貴方にg星へ持って行っていただく荷物は、絶滅したホモサピエンスです、

と言いましても、ホモサピエンスは生き残っていません、復元した子孫です。

 彼らは復活を夢見て、精子と卵子を冷凍し、数多く残していました。

絶滅後200年余り経ち、偶然、ホモサピエンスの保管庫が見つかりました。

 ホモサピエンスを復活させない、全て処分する意見が大勢でしたが、

私は廃棄処分を止め、全量をある施設に移し、極秘で研究を続けてきました。

 彼らの無害化、他の種の絶滅を起こさせないための研究です。

ホモサピエンスの特徴は集団性、狩猟性、そして文字、学習です。

 彼らから集団性、文字や学習を取り上げ、文化を持たせず、日常に満足させ、

雄には快楽だけを学習させてきました。

 その結果、ホモサピエンスの平均的な脳容積は800年で5%後退しました。

攻撃性を弱める為に、遺伝学的にDNAにも手を加えてきました。

 貴方が目にしているホモサピエンスは、21世紀のホモサピエンスとは

明らかに違います、改良された、白紙のホモサピエンスです。」


 マザーの説明を聞きながらニュクスはマザーに尋ねた。


「このホモサピエンスをg星に持って行って、何をされようとお考えですか?」


「実験です、百年前から千組み余りのホモサピエンスを、送り出していますが、

既存生物の餌食になったり、病気で死んだり、餓死したり、

生き延びた者は一頭もいません、

 私はハンクやスワンの記憶から、危険はありますが、案外g星はホモサピエンスに合うのではないかと思うようになりました。

 g星の生き物は知能が高く、攻撃性がありますが、高い共存性を持っています。

むやみに他の生物を押しのけたり、絶滅させたりはしていません。


 ホモサピエンに欠けているのは、他の生物種との共存を上手くできない事です。

ホモサピエンスが進化しても、アンドロイドでさえ勝てない相手です、

簡単にはg星を支配したりできません。

 ニュクス、貴方が適切と思う場所に1組づつホモサピエンスを配置してください。

雌雄の組み合わせは決まっています、組み合わせは必ず守ってください。」


 間を置いて、マザーの説明が続く


「雄のホモサピエンスには思春期に入ると、組み合わせの雌にそっくりの

アンドロイドをあてがい、連れ添わせ、雄から精子を採取させました。

 雌からは眠っている間に、卵子を定期的に採取しました。

雄は自分の相手が誰だか解っていますが、雌は自分の相手を知りません。

 最初、雌は雄に交尾を求められ戸惑いますが、程なく仲良くなります。

何と言っても知らない場所に、二人しかいないのですから、

生きるためには、雌は雄を頼らざるを得ません。

 食事が問題です、彼らには自分で食物を取ってくる手段を教えていません。

ニュクス、貴方は彼らがg星で生き延びる方法を現地で考えて下さい。

それを見つければ、彼らを星に離して下さい。成功をお祈りします。」


 ニュクスは行方不明者を探すのはやめた、スワンが見つかれば十分だった。

 ホモサピエンスを配置する場所、彼らの食料を見つけなければならない。

特に食料に関しては見当もつかない、ハンクの失敗以外、情報が無かった。


 ニュクスは研究所から持ち帰ったデータを読み取り、

地球の研究所に送る事を思いつき、マザーと連絡を取った。

 ニュクスは機械ではない、マザーから紹介されたアンドロイドにデータを

送るのには膨大な資料を目で読み、地球に送るしかない、時間が掛かる。

 三人にレッドアローでの情報分析に時間が掛かる事と告げ、

ニュクスは研究データを地球へ送る事に没頭した。

 他の三人は手伝うことができない、結局、自由時間を持て余すことになった。


 オデットは相変わらず、毎日スワンの処に出かけ、

取り留めの無い話に時間を費やしていた。


「オデット、最近、他の人たちは来ないね、帰ったのかい?」


 スワンはオデットに尋ねた。


「私を置いて帰るわけないでしょ、あの人たちは忙しいの。」


「行方不明者を探しているのかい?」


「いいえ、スワンを見つけてからはやめたわ、手がかりが無いし。」


「そうか、役に立てなくて申し訳ないな、

ところで、オデット、彼らは今、何に忙しいのだい、捜索をやめてまで?」


「解らないわ、ニュクスはレッドアローに閉じこもったままなの、

他の二人は退屈して、方々を飛び回っているわ。」


「スワンは鯨の体液を飲んでこの姿になったのでしょう、

食べられそうな物は鯨以外、本当に何もなかったの?」


「僕は食料の研究をしていたわけではないし、

動物の研究していたから、食料の事はよく解らない、

動物は大なり小なり危険だ、すべてに植物のホルモンが存在する。」


「貴方は鯨の体液を飲んでどんな感じでした?」


「なんでそんなことを聞く、思い出したくも無いよ、

僕たちは鯨の体液を飲まされていると知らなかった、ジュースと思っていた。

 身体に異変が起こったのは飲み始めてから25日後だった。

吐き気と激しい痙攣がして、僕は死んだと思ったが、

目が覚めた時には今の姿になっていた、

フィッシュマンドクターもヤシの木になったが、他の研究者は違っていた。

同じ体液でも、どのホルモンが作用するかで、違った生き物になるようだ。」


「鯨の体液を飲んだらヤシの木になると決まってないの?」


 オデットは少し落胆した。


「オデット、まさかあの鯨の体液を飲む気じゃないだろうね?」


「そんな事するわけないでしょう、スイーツ食べられなくなるし。」


「そうだよな、オデットはスイーツが無いと生活できないものなあ。」


 スワンは納得した、二人は声を出して笑い合った。


 10日かかってニュクスは、全ての情報を地球に送り終えた。

疲れ切って、ニュクスは丸一日寝込んでしまった。

送ってから2週間たっても、マザーからは何の連絡もなかった。


 1ヶ月が過ぎて、突然マザーからニュクスに連絡があった。


「ニュクス、見つけたわ、

キムラが動物化していない、純粋な植物を幾つか見つけていました、

これらは炭水化物やミネラル、ビタミンを持っています。

 毒性さえなければ、ホモサピエンスが食べられるわ。

リストを今見ていますから、記録していただける?」 


「マザー、見ましたけど、たったこれだけですか?」


「今解るのはそれだけです、リストの植物はキムラの研究所からそう遠くない

所に生えています。他に同じような植物が無いかは、貴方が調べてください。」


 翌朝ニュクスはアンドロイド10人を引き連れて、キムラ研究所の周辺を探した。


「ありました。」


「此方にもあります。」


 思っていたより簡単に見つかるが、どれもこれも数が少ない。

少し食べれば、すぐなくなるほどしか生えていない。

リストにある植物は全て見つかった、サンプルを取り、この日は引き上げた。


「分析器で毒性は見当たらない、特殊なホルモン物質も含まれていない。

あとはホモサピエンスに食べてもらってどうなるかですね。

でも、これでは全然足りない、一人で3日も食べたら全部無くなる。」


 ニュクスは他の3人にこの計画を話していなかったが、いずれ解る事だし、

自分の生物学的な知識では到底手におえない計画だと悟った。


「スワンがいる、彼が協力してくれれば何とかできるかもしれない。」


 思い立ったニュクスはリストだけを持ち、居ても立っても居られず、

シャトルでスワンがいる鯨を探した

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