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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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長老を見つけろ

 スワンがいたフィッシュマン研究所も同じような状態だった。

入り口ドアは開いたまま、研究を続けていた状態で放置されていた。

床にスワンのネームが入った衣類を見つけ、オデットは床に座りこんだ。

古びてボロボロになったスワンの服を抱きしめながらオデットは、


「痛かったでしょうね、苦しかったでしょうね、こんな事になって、

でも、身体が無いんですから、スワンは生きています、何処かで。」


「ここはキムラ研究所と同じです、行方不明者の手がかりはありません、

研究資料は無事残っています、全て持ち帰りましょう。」


 ニュクスは言い、研究所の資材を運んだ古いコンテナに詰め込み、

ミネルウァが背負ってシャトルへ持ち帰った。


 その夜、今後の計画に付いて4人で打ち合わせを行った。


「どうする、行方不明者の手がかりは何も見つからん。」


 ハンクが切り出した。


「ハンク、貴方が夜に草花の友人と会いに行った時、

草花から「長老に聞けば何か解る」と言られたと仰いませんでした、

長老とはどんな姿をしているのですか?」


 ミネルウァがハンクに聞き返した。


「長老が誰で、どんな格好かは解らん、そこまでは教えてくれなかった。」


 ハンクが言うと


「彼らは昼間寝ていますから、夜に行きましょう、夜ならきっと見つかります。」


 ミネルウァが言った。


「夜は危険だ、事件は全部夜に起きている。」


「私も行きます、夜ならスワンに会えるかも知れません。」


 オデットが身を乗り出して言った。


「待ってください、オデットさんは安全が確認できてからです。

私達は自分の身は守れても、オデットさんまで守れる保証はできません。

 長老を探しましょう、場合によっては樹に成った研究員がいる可能性もあります。

夜は私とミネルウァの二人で行きます。」


 ニュクスがオデットを制して言った。


「それが良い、俺やオデットさんは足手まといになるだけだ、二人に任せよう。」


 ハンクはニュクスに同意した。


「ハンクの友達である草花は寿命が短いですから、草類は長老ではありません、

50年以上生きているとすれば研究所の周りの大きな樹木と見るのが妥当です、

明日の夜、私とミネルウァで樹木を中心に調べましょう。」


 明夜、ニュクス達は最も樹木が多かったフィッシュマン研究所へと飛んだ。


「木たちを脅かさないように、ゆっくり近づきましょう。」


 ニュクスがミネルウァに言った。


「了解、さすがに昼間とは大違いで賑やかですね。」


 ミネルウァが返事した。


 ニュクスが高さ30mくらいの樹木に近づくと、いきなり枝がニュクスを

襲ってきた、危うくニュクスは太い枝に叩き落されるところだった。

 ミネルウァが木の後ろへ回り蹴飛ばすと、木は倒れ、枝が何本か折れた。

枝を折られた木は苦痛でのたうち回っていた。

 2人は危険を感じ、少し上へ逃れた。


「私が連中の気を引き付けておくから、何か方法を考えて。」


 と言い残し、ミネルウァは木の中へ降りて行った。


 無数の木がミネルウァに襲い掛かってきたが、ミネルウァの動きがすばやすぎて

捉えることができない、触れる事さえできない。


「こいつらは敵だ、殺せ、殺せ!」


 ニュクスは木たちが叫んでいるのが聞こえた。

やはり、言葉を使っている、この連中は案外知能が高い。

木たちは必死でミネルウァを追いかけ回すが、手に負えない。


「こいつ、逃げ足が速いぞ、虫みたいなやつだ。」


 と、木が言っているのがニュクスには聞こえる。


 ミネルウァは木たちに必要以上に危害を加えるつもりはない、

話を聞くためにやって来たのが解っている。

 この程度でミネルウァは疲れないが、木たちはミネルウァに振り回され、

フラフラ、枝を膝に付いたり、地面に座り込んだり、最初の元気が無くなった。


「お疲れ様、怪我をしたのが一人で済んだだけ、ありがたいと思いなさい。」


 ニュクスが木たちの心に語り掛けた、木たちは驚いてニュクスを見た。


「ええ、貴方たちの話は聞こえています、

私達は争うために来たのではありません。危害を加えたりもしません。

 教えて欲しいことが有って来ただけです、乱暴な事はしないでください。

どなたか、50年前に外から来た人たちがどうなったか知りませんか、

あの白い建物にいた人達です、私達は彼らの消息が知りたいだけです。」


 樹木の間から樹高百メートル程の木が乗り出してきてニュクスを見た。


「本当に俺たちを燃やしたりしないんだな、あそこの連中は我々に

随分ひどいことをした、燃やさない証拠はあるか?」


 巨木が聞いて来た。


「ご覧のとおり、私たちは何も持っていません、燃やしたりできません。」


 ミネルウァがニュクスに寄って来た。


「話す気になったようですね。」


 ミネルウァがニュクスに言うと、


「ええ、話してくれそうです。」


「貴方が言うように、50年前奇妙な事があった、

あの箱からこの辺りでは見かけない木や草が何本かでてきた、

多分海岩の近くの木や草だろう、何本かは程なく死に、

何本かは暫くして遠くへ飛んで行った、海に行ったんじゃないか。

死んだのは近くに転がっていたがな、腐って跡形も無くなった。

それくらいしか知らないが、それで良いか。」


 木はニュクスに話してくれた。



「ええ、ありがとう、木が飛んで行った方角はわかりますか?」


「あちらの方だ。」


 巨木は太い枝で方角を差した。


「東ですね、ありがとう。」


 それだけ聞いて、ニュクスはミネルウァとシャトルへ向かった。


「ニュクス、あれでは手がかりにならないでしょう?」


 ミネルウァが言うと、ニュクスは、


「そんなことはないです、生き残った者がここにいないのは確かです。

海に行ったとは、鯨を探しに行ったのではないですか、

この事件は何かと鯨に深い関係があります、鯨を探しましょう。」


 彼らを食べた樹なのか、彼らが樹に変わったのか解らないが、

鯨の体液に含まれていたホルモンの働きで樹になったのなら、

飛んで行った木は鯨と共生している、

鯨を求めて海へ行くのは理に適っているとニュクスは思った。

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