彼女が消えた
月日が流れショーンは成長し、身体が大きくなった、見るからに逞しくなった
初めて会った時、同い年くらいだった彼女は、今でも背が変わらない。
綺麗な曲線を描いてた身体、幼く見えても、最初から大人の体型をしていた。
艶やかな黒髪はいつも同じ長さ、ショーンは随分伸びている、顔に薄ら髭もあるなのに、彼女の髪は変わらない、少し変だとは思ったことがある。
身体の大きさは少ししか違わなかったのに、随分差がついてしまった。
いまではショーンの肩よりも下に彼女の頭がある、やっぱり変だ?
ショーンには解らないことだが、彼女は日に5回も交尾をしているのに、
今だ妊娠の兆候が全くない。
ショーンは彼女が同じ人間と言う生き物で、女性であることを、解っていない。
何の為に交尾しているのかな解らない、彼女が魅力的だから、交尾すれば子供
ができるから、そんな事は考えない、本能のまま、交尾がしたいからに過ぎない。
何不自由ない生活、最高の快楽を与えてくれる友がいて、
言葉を交わすことはできなくても、ショーンは幸せの絶頂にいた、
幸せな日々に終わりがくるなんて、ショーンは考えもしなかった。
ショーンは来る日も来る日も、彼女との交尾に明け暮れ、幸せと感じていた。
18歳の朝がきた、昨夜の彼女との交尾の余韻が身体に残っている。
目を閉じたまま、彼女の身体を探したが、手ごたえが無かった。
ボンヤリと目を開けた彼の視界に、見慣れた部屋、外の森は無かった。
大好きな鳥の鳴き声も、風の音も聞こえない、木の匂い、土の匂いも消えて
しまった。
ショーンの住む世界は3メートルあまりの白い空間になってしまった。
いつも一緒にいた美しい彼女の姿もない、一人だけになった。
ショックを受け、狼狽え、壁を叩いたが反応は無い、
ありったけの声を張り上げ叫んでみた、同じだった、彼は座り込んでしまった。
1時間ほど経っただろうか、空間に穴が開き始め、人が通れる程の大きさに
なった。穴のずっと奥から、懐かしい鳥の鳴き声がかすかに聞こえる、空腹を
満たしてくれそうな香りが鼻をくすぐる。
きっとこの穴をくぐった先は元の世界だ、疑うことを知らないショーン
はその穴をく奥へと進んで行った。
長い穴の中を抜け、出たところは見慣れた部屋の中だった。
荷物は片づけられ、見慣れない椅子が一脚、部屋の真ん中にあった。
何故か外には出られない、立っていても仕方がないので、手近にあった椅子に
ショーンは座った。首筋を何かが刺したような気がしたが、そのまま深い眠りに
落ちた。




