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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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鯨の食品が配られた

 g星に持ってきた食料が全て底を突き、

レッドアローはいよいよ自給自足の時代に入った。


 サイヤ達が研究に研究を重ねた食品の数々が、それぞれの研究所にも配られ、

レッドアローに残っているクルー達も口に入れる日がやってきた。


 地球から持ってきた食品は保存性を重視していたため、味はもうひとつだった。

アンドロイド以外の人間、異星人と言うべきか、

彼らは期待と不安を込めて、テーブルの食物を口に運んだ。


「美味い、驚いた、こんな美味しい食事は久しぶりだ。」

クルーも地上の研究者達も大喜びで食べた。


 クルーの絶賛を浴びて、サイヤはニコニコしていたが、

喜びは本心では無かった。


「クルー全員の排泄物を徹底的に調べるのを忘れるな。

レッドアローの船内は全員、排便後身体を医療スキャンさせろ。」

サイヤはレッドアローの医学分析担当へ指示を出すの忘れなかった。


「毒性はなにも発見できていないが、

鯨の肉に含まれていた正体不明のミクロな物体が気になる、

無事、便と一緒に体外へ出ていれば良いのだが。」


 サイヤは満足してもらった喜びより、不安で仕方が無かった。

「万一あの物体が何かの変化や毒性を発揮したら、レッドアローは終わりだ。

口に入れていないのはハンク船長と私だけ、他に方法が無かったとは言え、

酷い人体実験だ。」


 あくる朝、鯨でできた食品を食べた全員が検便を提出させられた、

地上とレッドアローの船内で検査が始まり、間もなく結果が出た。


「あの物体は排便からたくさん出ています、

医療スキャンの精密検査の結果ですが、

体内にあの物体は見当たりません、身体に残されてはいません。

身体には残らず、全て無事排泄されたようです。

他の検査項目も、全て検査が終わりましたが、特に異常はありません。」


 その報告を聞いて、サイヤは胸を撫で下ろした。

「良かった、これで私は責任を果たす事ができた。」


 2週間後、新しい食品は評判が良く、栄養価も高くて、

以前にも増してクルーや研究者達は元気になったようだ。


 鯨を食べ始めてから3週間が過ぎた、

島では小さな食品の生産ラインだけが順調に稼働しているが、

植物の移植が上手くいかず、他の計画は全て中断したままだった。


 手持無沙汰なアンドロイド兵士たちは、スタローン隊長を見習い、

誰が一番遠くまで石を蹴って飛ばすか、競い合って遊んでいた。


「543メートルです。」


「やった、俺が一番だ。」


「グシャ」、石が粉々になる音がした、「チ、石が砕けちまった。」


「バカだな、力任せに蹴るからだ。」

アンドロイド兵士の笑い声が砂だけの島に響く、島の日常は退屈で、平和だった。


 25日目がやってきた。

「ヴぁ、」

昼食を終え、テーブルから立とうとしたウッヅが、食べた物を吐き出した。


「ウッヅ大丈夫か?」

キムラがウッヅの横から声をかけたが、

声をかけたキムラも食べ物を吐き出し、床に倒れた。


 ウッヅは激しい痙攣を繰り返し、苦しんでいた。

程なく、キムラのチーム全員を同じ症状が襲った。


 キムラの植物研究チームだけではない、

フィッシュマンのチーム全員も痙攣に襲われ、動けない。


 レッドアローの船内では食事が終わり、全員持ち場に戻っていたが、

それぞれの持ち場で、サイヤを含む全員が苦痛に顔歪め、

激しい痙攣に襲われていた。


何も知らないのは船長室のハンクとアンドロイド達だけだった。

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