オデットへの思い
スワンには、残してきた恋人がいた。
もう、会えなくなってどれくらいになるかな?
「g星の夜は危険だ!」と外出禁止の命令が出ているが、
スワンはそんな命令など気にもしない。
夜空の星を眺めるのが好きだ、星を眺めているとオデットを思い出す。
ここからも白鳥座がみえる、オデットはあの星座の様に美しかった。
g星の夜は騒々しが、星を眺めていると周りの喧騒は気にならない。
「オデットは今何をしているだろう。」
出発前に僕の思いを伝えたかった。、
しかし、危険な旅だ、生きて帰れる保証などどこにもない。
余計な事を言ってしまえば、彼女を苦しめるだけだ、それもずっと。
「誰かと結婚したかな、オデットはあまりにもきれい過ぎた。」
g星へ出発する前、思いを断ち切るようにスワンは写真も手紙も、
オデットの思い出は全て捨てて来た。
しかし、夜空の星を見ると、オデットへの思いは募るばかりだった。
「思うくらいは僕の自由だ、僕の思いは誰にも邪魔をさせない。」
g星の夜の喧騒はスワンに取っては、音楽を聞いているように心地よかった。
「夜は危険だ、アホらしい。」
スワンは何時もそう思っていた。
g星の植物達は夜活発に動く、動物の背中に乗って食事をする者、
縄張り争いで喧嘩をする者、恋人を奪い合い、殴り合いの喧嘩をする者
愛を語り合うカップル、昼の静けさが嘘のようなg星の夜。
g星の夜を知っているのはスワンだけだった。
昼は気温が高い、根を地面から出して歩き回れば、直ぐに身体が干上がる、
昼に寝て、夜に動く、これがg星の植物達の本当の姿だ、
スワンは早くから、植物達の夜の生態に気づいていたが、黙っていた。
「余計な事を教えれば、ハンク達は何をしでかすか解ったものではない。」
言葉はまだ通じないが、スワンとg星の植物達は既に友達だった。
山ユリに似た植物、ボタン、スミレ、蓮華に似た植物、
石に腰を掛け、夜空を眺めているスワンの、横に座ったり、
膝の上に上がって来たり、一生懸命スワンに何か話しかけてくる。
彼らが何を聞いて欲しいのか、まだ僕には解らない、
「彼らと話ができるようになったら、どれだけ心が安らぐだろう。」
スワンは星座にオデットの面影を追いながら、夜空を見上げていた。
「早く、帰りたい。」
それは叶いそうにないハンクの願いだった。




