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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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スワン、君の講義を聞かせてくれ

 ハンクがサイヤに指示を出していた食料の研究は順調に進んでいた。

ポテトに似た鯨の肉に含まれている謎の物体は、依然として未解明のままだ、

肉にこびり付いている物体は簡単に取り除くことができない。

謎の物体の正体は不明だが、毒性は特に見つからない。

 地球から動物を連れてきていないので、

生体を使った食品の安全試験はできないが、

「あの物体は、小さなスイカの種と思えば良いのでは、

心配しなくても、排便で体外に出てしまうだろう。」


 研究を急がされていたサイヤは、

小さな事に気を配ることがおろそかになっていた。


「ポテトと思えば、色んな調理方法がある、焼けばステーキの代用にもなる。

鯨の血液は赤くない、どちらかと言えば緑色だ、

青汁か野菜ジュースと考えれば飲めないことはない、あとは味付けだ。

鯨の使い道は多く、他の部位からも食品に加工できるものが数多く見つかった。」


 サイヤの報告を受け、ハンスは少し目の前の霞が晴れるのを感じた。


「食料の件は何とか解決できそうだな、

残りが完全に無くなるまでには十分間に合う。

サイヤ、行けそうな物から食品の加工を始めてくれ。」


 懸案だった食料の問題に目途がつくと、

ハンスは島を何とかできないかと考え始めた。


 我々の手には負えない、何をやってもダメだ。

またスワンの力を借りるか? ハンクは思い悩んでいた。


 奴は怒るだろうな、キムラと同じで戦争や虐殺めいた事が大嫌いだからなぁ、

しかし、スワンなら何か解決策を考えるかも、普通じゃないからな、変人だし。

 悩んでいても前に進まん、取りあえず、謝ってスワンに来てもらおう。

ハンスはスワンに連絡をいれ、島に来てもらうことにした。


 島にはスワンが先に到着していた、20分ほど経ってから、ハンスが到着した。


「待たせたな、わざわざ遠くまで申し訳ない。」


「それは構いませんが、ハンス船長は私の講義が聞きたくて、

呼び出したのですか。」


「そうだ、君の熱い講義を聞くために島へ来た。

見てくれ、この島を、知っての通り、ガンマ線バーストを使ったら

島が再生できなくなった、木も草も1本も生えない。


 放射能があるわけではないし、原因が全く解らない、我々の手に負えない。

君なら何か考えがあるかと来てもらった。」


「酷いことをやりましたね、船長のおっしゃる通り、

根本的な原因は、ガンマ線バーストバーストにありますが、

 植物が生えない原因はガンマ線バーストではありません。

今日は私の講義をゆっくり聞く気持ちはありますか?」


「お願いする。」


「船長、この島の状態は何処かと似ていると思いませんか?」


「ワシにはサッパリ解らん。」


「地球です。

地球の砂漠は簡単に緑化ができません、

 6度目の大量絶滅が起こる前、ホモサピエンスが絶頂期の地球は

毎年6万平方キロの面積が砂漠化していきました。


 二酸化炭素による地球温暖化で植物が消えたのでしょうか?

そんなことはありません。


 最初の光合成をする植物(藍藻)が誕生したした、

32億年前の地球では、大気中の二酸化炭素濃度はまだ数十%ありましたが、

21世紀には0.03%まで減っています。


 植物が酸素を作りましたが、21世紀の地球は植物には息苦しい状態でした。

逆に動物は植物のお陰で誕生し、酸素で息ができ、植物を食べて生きられます。


 この星の二酸化炭素は地球より高濃度、酸素は地球よりずっと少ない、

つまり、動物にも植物にも平等と言うか、地球より安定した状態です。


 岩石の調査からこの星では2億年前に大規模な火山活動があり、

星は再び高濃度の二酸化炭素に覆われました、200年くらい続いたようです。

 火山ガスと高濃度の二酸化炭素、少ない酸素、環境の激変で、動物たちは 

その期間に95%前後が絶滅されたと推定できます。

 

 仮説に過ぎませんが、植物は更に進化し、動物は低酸素で脳に変調をきたし

現在の特異な生物になったのではないかと、私は考えています。


 そこで、本題ですが、この島になぜ植物が育たないか?

結論を先に言いますと、それは植物だけを島に持ってきたからです。

植物は動物の体液を吸って生きています、

また、動物は何かを植物に返しています、それは例の鯨が良い例です。


 この星の植物と動物は、お互い強い共存関係で結ばれています。

動物がいないと植物は生きられない、植物もまた同じです。


 動物と植物はそれぞれ自分と相性の良い、共存相手が何種類かいます。

動物と植物の両方がいないと、この星の生態系が成り立たないのです。」


「なるほど、良く解った、

植えたい植物と、その共存相手を一緒に連れてくれば来れば良いだけか。」


「いいえ、物事はそれ程単純ではありません。

植物と動物の関係は我々が考えるより、はるかに複雑です。」


「植物と動物の両方を連れてくれば、彼らは島の再生を始めるでしょう、

我々のコントロールの効かない処で・・」


「いずれにしても、この星は我々の思い通りにできないということか、

ありがとう、君の意見を参考に考えてみるよ。」


「前の様な、無茶なことはしないでください。」

そう言い残して、スワンは島を後にした。

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