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Remain there 有りのままで  作者: 一語 大福
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ポテトがあるじゃないか

 サイヤはフィッシュマンから届いたヤシの木の根を調べていた。

鯨の血液成分は簡易検査の通りの成分だ、毒性も無い

スープの代わりに飲むのは嫌がるだろうが、栄養価は高い。

ミネラルも豊富で、十分使える。

 ヤシの木の根は細いが、まるで象の鼻だ。

非常に面白い構造をしている、この根は相当力が強いのではないか?

根の使い道は、鯨の身体から血液を吸うだけではなさそうだ。

伸縮性も非常に高い、2倍には伸ばせそうだ。

 スワンの報告書には「森が動いた」と書いてあったが、

この構造の足を何本も使えば大木でも歩行が可能かもしれん。


 木が歩こうと、食料担当の我々には関係ないが、

血を吸うことと、ホルモンを分泌する以外は、更に研究しないと解明は無理だな。


 分泌物の成分に含まれるホルモンの働きが解らん、未知のホルモンだ、

働きを調べるには時間が足りない。

毒性は特に無い、今までの概念では、植物ホルモンではない、

化学構造は間違いなく動物ホルモンだ、そこまでしか解らない。

クルー達が食べたら、身体に何が起こるか解らん、使うのは無理だ。


 鯨の血液にはほとんどの栄養成分がある、不足するのは炭水化物だけだ、

炭水化物を含む植物が見つかった情報はないし、困ったものだ。

 待てよ、フィッシュマンは依然面白いことを言っていたな、

確か、ネズミの腹を解剖すると、中は柔らかいポテトみたいだとか。


 ネズミは切ると分裂して、数だけ再生するし、悪臭があると言っていた。

鯨はまだ誰も解剖していない、もし、鯨の中がポテトなら、

炭水化物の代用になるんじゃないか?


 大きい鯨は無理だ、50メートル級の子供なら、

アンドロイドで何とかできるのでは、

クルーの食事位なら、1頭で数年分は取れるだろう。


 サイヤはハンク船長に鯨の件で相談にきた。


「いい考えだ、鯨は何かと我々に教えてくれる、早速試してみよう。」

 ハンクは話を聞き終えると、直ぐにアンドロイド部隊に連絡をいれた。


「スタローン隊長、造成工事で忙しいと思うが、至急頼みたいことがある。

できるだけ小さいので良い、鯨を1頭捕まえて、島まで運んでくれ。

鯨は子供で、長さ50メートル、重量は多分500トンくらいだ、

運び終えたら、サイヤに連絡を入れてやってくれ、向かわせるから。」


「了解です、子供と言っても、随分でかい図体ですね。」


「アンドロイドのパワーでは運ぶのに20人は要ります、何とかします。」


 スタローンは先遣隊に鯨を探させ、

発見の連絡が入ると、余裕を見て30人のアンドロイドを送った。


 鯨に銛を打ち込んだ、子供は暫く暴れたが、5分ほどでおとなしくなった。

親が怒らないかと心配したが、昼寝をしているのか?襲ってくる気配はない。


 アンドロイド達は親を刺激しないように、ユックリとワイヤーを引き、

鯨を浮かべたまま、島まで運び、下にネットをくぐらせ、30人で飛行し、

島の平地へ運んだ。


 あくる日の朝、サイヤがやってきて、アンドロイドに分厚い鯨の皮を

裂かせると、中はやや弾力のある、ポテトだった。

 サイヤは鯨の、方々の部位をサンプルとして持ち帰る用意をしながら、

スタローンに指示を出した。


「スタローン隊長、忙しいのに申し訳ないが、鯨が腐っては使えなくなる、

残りは急いで解体し、冷凍保存してくれ。」


「無茶苦茶な注文ばかりですね、船長からも言われてます。

何とかさせていただきます。」


 いい加減にしてくれと言わんばかりのしかめっ面で、

スタローンは部下に鯨の解体を命じた。


 サイヤは急いでサンプルをシャトルに運ばせ、

レッドアローに持ち帰った。


「ハンク船長、これが鯨のポテトです、食べられそうですよ、

早速毒物検査と生理学的安全検査に回します。」


「鯨のポテト、何だそりゃ、何でも良い、食べられさえすれば。」

ハンクはサイヤの言い方が可笑しかったが、内心ホッとしていた。


 3日後サイヤが船長室に報告にやってきた。

「船長、安全検査では特に危険性は無しでした。

ネズミの様に悪臭を出しませんし、再生もしません。

 3日経っても原型を留めています。


 これなら保存もできますし、調理もできそうです。

ただ、未知の成分が複数見つかりました、、

害は無さそうですが、どんな働きがあるのか、全く何かわかりません。」


「サイヤ、食料も少なくなってきている、我々に残された時間は少ない。

多少の事には目をつむろう、今は鯨に頼る以外方法がない、

調理方法や、調理してどうなるか、急いで研究してくれ。」


「了解です、直ぐに研究を開始します。」

サイヤは嬉しかったが・・

「ヤシの木はなぜ、鯨の血だけで、身を食べないのだろう?

ヤシの木が鯨のステーキを食べる訳がないか。」

気にはなったが、サイヤはそれ以上深く考えるのを止めた。


「何かと、鯨さまさまだ。」

ハンクは暫く部屋に飾ってある、鯨の写真をながめていた。


 大きくつまづいていていたが、何もかも順調に動き出してきた。

右手を握りしめたハンクの顔には、自信がみなぎっていた。

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