忽然と消えた兵士
研究内容が多すぎ、仮設の研究所では手狭になってきた。
ハンクは警護と建設を兼ねる、兵士に研究所の建設を命じた。
マッチョで筋肉が自慢のアーノルドは50名の部下を従え、命令をくだし、
建設予定地として承認を受けていたg008大地へ
レッドアローから重機を次々に運び出していった。
g008大地は海岸まで約10キロメートル、見晴らしが良く、
樹木に囲まれ、環境として申し分ない。
地下には水脈があり、水も十分確保できる。
大型機の着陸場と海岸までの道路を作れば申し分のない研究所兼基地となる、
懸案になっている食料の製造工場も作らなくてはならない。
アーノルドの士気にも力が入る。
重機が樹木を勢いよくなぎ倒し、道を作っている。
レッドアローの重機は恐ろしく力が強い、
自分より大きな樹木でも、無人の野を行くようなもの、お構いなしに倒す。
何台もの重機が走り回り、森は見る見る平地に変わって行った。
話し声は樹木が折れる音と、重機のエンジン音にかき消され、
何を言っているかサッパリ解らない。
最初の航空機発着場は4時間で完成した、
今は海岸線に向けた道路を作る工事に取り掛かっている。
「夕方までに整地は完了できる。
明日は建設資材をレッドアローから下ろし、
建物の建設にかかろう。」
隊員達は火を起こし、夕食を済ませると、
めいめいポケットから取り出したボールを地面に投げた、
一人用のテントが勝手に開き、隊員は中に入って、疲れた体を休めた。
「研究所は3日もあれば完成する、今日は窮屈だが、あと少しの我慢だ
3日後にはバスで身体も洗える。」
とアーノルドは周りで休んでいる隊員のテントに聞こえる大声で話した。
隊員達は疲れていて、すぐ寝入ってしまったが、
アーノルドはまだ工程のチェックをしていた。
変だな、フィッシュマンから「夜は騒々しくて眠れない。」と聞いていたが、
静かだ、不気味なほど物音がしない、この辺りには動物がいないのかな?
この状態なら安全だ、警備兵は3人もいれば十分だろう。
さすがのアーノルドも今日は疲れている、睡魔にさそわれ22時に眠りについた。
午前2時、警備兵は4時間交代、交代してから既に3時間が過ぎている。
「何事もない、退屈すぎる、眠くて適わん。」
他の2人は石に腰を掛け、座ったまま船を漕いでいる、熟睡だ。
警備班長のロイドも腰を掛けていた石の上でうたた寝を始めた。
既に陽は高く上がっている、ハンクの時計は午前11時を差している。
「まだアーノルドと連絡を取れないのか、
今日は建設資材を運ぶ予定だろう、
あの筋肉バカはいったい何時までのん気に寝ているのだ。」
「アーノルド隊長だけではありません、兵士全員連絡が取れません。
通信機も反応がありません、切っているのでしょうか?」
「フィッシュマンに連絡を取れ、あそこには反重力飛行スーツを置いてある。
あの場所からマッハ5で飛べば、2時間もあれば行けるだろう。
フィシュマンのメンバーから誰か見に行かせろ。」