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1-5 いざ、ラブマギカ

「誠もツバキさんみたいになるの?」

 そんな夢物語を真剣に聞いてくる明里に僕はつい笑ってしまう。

「まさか。そうなれれば理想だけれど。学校に通える年齢のラブマギカは学校の広告塔として芸能活動をすることができるんだ。というより学校から色々な支援を受けられるからほとんどのラブマギカはそうしているけれど。僕は都心部にある聖爛中学ってツバキさんも通う学校のラブマギカになるため、試験を受けるだけだよ」

「女装してまで女の子らしいアイドルになりたいんだ。なんだかおもしろいね」

 明里は嫌みなく、僕の目指す道を楽しみといった好奇心を含ませて言った。

「そう。きっと面白い。茨の道だろうけれど、僕はそれに耐えられるほどにアイドルが好きだという自信もあるんだ。だから明里にもその楽しさを知ってもらえればなって思ったから誘ったんだ」

「まだ気が早いよ。魔法も使えないし……それにわたしはこの店のお手伝いがあるし。これでも商店街の看板娘として頼られてるんだよ。みんなに声かけてもらって頼ってもらってうれしいし楽しいんだ」

 両手を広げたり振り回したりとよくわからない身振り手振りをしながら明里は楽しそうに言う。

「そうか。明里は明里で楽しいことがあるんだ。でも一度くらい感じてくれないかな、僕がのめりこんだラブマギカの世界に」

「どういうこと?」

「お手伝いを中断してツバキさんのライブを観に行こうってことさ」

「えっ、でもでもでもさ。からあげ売らないとだし」

 明里はもじもじしてからあげと僕の顔を忙しく見つめる。明らかに迷いが見て取れる。

「行きたいか行きたくないかどっち?」

「それは……興味あるかな。だって誠の事だし」

「じゃあおばさんに僕から言ってみるよ。ちょっと待ってて」

「あっ、ちょっと! ここはわたしの店じゃないよ! 親戚のお店なんだ」

「大丈夫だって、わかってくれるよ」

 止めようとする明里の声を無視して僕は店の中に入って、親戚の人に明里を連れていっていいか聞くことにした。

 慣れない街での付き添い、久々で偶然の再開、それにツバキさんのおかげで通行人が多く売り上げが良かったこともあって、親戚の人は快く送り出してくれた。ただしからあげワンパック購入が条件だったけれど。

 明里が着替えの間、店の前でからあげを食べていると一つ食べ終えたくらいで明里が戻ってきた。

「何か忘れもの?」

 明里の服装はエプロンを脱いだだけで学校のジャージのままだった。

「えっ、違うよ。早くいかないとライブ終わっちゃうからこの格好で行くよ」

「嘘だ。十四時からだろ」

 僕はスマホを取り出して時間を確認する。十三時過ぎだから歩いても時間には間に合うはずだ。

「えっ? でもポスターには十三時からって」

 明里は自分の店の壁に貼られたポスターを指さす。それはツバキさんのイベント告知ポスターで、開始日時が書かれていて、僕は血の気が引いた。

「本当だ。どうして間違ったんだろ」

「やばいね。間に合うかな」

 終了時間は書いていない。内容はトーク&ライブショー。こういうイベントの場合、トークが二十分から三十分で、二曲ほど披露して終わることが多い。間に合うかどうかは行ってみなくてはわからない。

「明里、急ごう。一曲くらいは聞けるかも」

「わかった! 競争だね」

 時間を間違った僕に文句も言わず、明里はノリノリで僕を横切ってダッシュしていく。こういう前向きなところはアイドルに向いている。もし恋愛魔法が使えなくても明里はアイドルを目指せばいいのに。

 そうは思っても簡単に思い通りにならないし、明里自身にやる気がなければ輝けるわけがない。明里が商店街のアイドルで満足しているなら、僕はそれを応援するまでだ。

 僕は遠くなっていく明里に追いつくためダッシュした。

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