1-4 ラブマギカ?
恋愛魔法の学説の一つとして、恋愛に対してコンプレックスや弱点があるほど恋愛魔法を発生する可能性が高いという。だから勉強も運動も美的センスもなく不細工だけど、好かれたいって人だとかなり可能性は高くなる。
そういう点では人を惹きつける魅力があって容姿も整っている明里は恋愛弱者とは遠い存在だから、発生する可能性は常識的に考えれば低いのだろう。
「光らないね……本当に勘で僕ってわかったんだね」
「勘って言うか匂いだね。じゃ、このボール返すね」
犬みたいにくんくんと嗅ぐ仕草をしてから明里はボールを差し出した。
「あっ、そのボールはあげるよ。再会の記念とあと、もし恋愛魔法が使える日が来たら教えて」
「どうして?」
「実は僕、ラブマギカのある学校の編入試験を受けるんだ。さっき青は希少色って言っただろ。だから男の僕でも女装をすることで特別に許可をもらえたんだ。だからもしラブマギカになって明里が恋愛魔法に目覚めれば、僕の行く学校においでよ。明里はアイドルとしての素質は十分あって、そこに恋愛魔法が加われば、ツバキさんに迫る存在になるかもしれない」
「わ、わたしが……ラブマギカ?」
明里はきょとんとして、ボーっとしたように口にした。
自分にそれだけの可能性があると信じられないんだろう。
明里は自己評価が極端に低い。選ばれた容姿と優れた能力を持っているのに、特別なんて思っていないところがある。そこが明里のいいところであって、悪いところでもあるんだろうけれど。
「ねね、誠」
「なに? 明里」
「ラブマギカって何かな?」
前年度の流行語大賞に選ばれたラブマギカを知らないとは、明里はとことん世間離れしている。
こういうところも小さいころから変わっていないようだ。
流行のおもちゃや芸能人、アニメの事も何も知らずネズミのテーマパークすら知らなかった。家にテレビがないと言っていたからそれも仕方ないことかもしれないけれど。
「さすが明里だね。世間離れっぷりが変わってなくてびっくりしたよ。ラブマギカは恋愛魔法を使ってアイドル、芸人、俳優なんかをする芸能人のことを言うんだ。今日この町にくるツバキさんはラブマギカ界のスター中のスターなんだ」
「ツバキさんは知ってるよ」
自慢げに言う明里だけれど、ツバキさんは月九ドラマの主演、全国ドームツアー、テレビに引っ張りだこ、ファッション雑誌の専属モデルもしているから、むしろ一般的な中学生なら知ってて当然のこと。
「誠もツバキさんみたいになるの?」




