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1-18 スターなら知ってるはず

 明里はうーんと唸り、手を組んで難しい顔をした。

「名前がその人の性格に影響しちゃうんだとすればさ、名前って侮れないね」

「そうだな。こうなりたいっていう理想を名前に込める事は大事かも」

 ピカーンと閃いたらしい明里は瞳孔を開けて手を上げた。

「仙台栄五! 仙台栄五がいいと思う!」

「なんだそれ? 僕がどうして仙台を名乗らなきゃいけないんだよ」

「えっと、わたしでもいい。わたしがいいの! だって名前で夢を叶えられるんでしょ? 頑張れば仙台牛食べられるようになるかもしれないじゃない!」

 目をキラキラさせた明里は仙台牛のすごさについて語ってくれた。

 なんでも全国で唯一最高品質のA5ランクのみを出荷する最高級のブランド牛らしく、死ぬ前に一度は食べておきたいそうだ。そんなようなことを五分くらい熱心に早口で話してきたけれど内容は全く入ってこなかった。ただ明里の肉に対する愛情はラブマギカ以上というのはわかった。

「そんな芸名はやめておけ。明里は仙台牛の名を背負えるほどの人間になれるか?」

「む、むむ無理無理無理! 恐れ多いどころじゃないよ!」

 首と手をぶんぶんと振って拒絶するなんて、明里にとって仙台牛はどれだけ神格化されているのだろうか。ちょっと想像がつかない。ブランド牛信仰恐るべし。

「やっぱり本名が一番なのかな? わたしは自分に名前を付けられるほど、まだ自分……っていうか自分のラブマギカに似合った名前がわからないよ」

「それもそうだな。僕もわからない。こうなりたいっていう理想はあるけれど」

「それってもしかして」

「「ツバキさん」」

 僕らは声を合わせて言った。お互いに予想通りでつい笑ってしまう。

「ふふ、そうだよね。じゃあさ、ツバキさんの名前に似てるっていうか、連想できるものがいいかも」

「例えば?」

「喜咲ツバキだから、小喜咲ツバキとか、未咲ツバキとか……あとツバキ子もいいかも」

「なんだか物まね芸人みたいになっちゃうよ」

「本当だ。わたしたちは物まねしたいわけじゃないもんね」

「じゃあさ、ヒントだけでも貰おうか? ツバキさんの芸名がどうやってつけられたか」

 僕はスマホを取り出して画面を明里に見せた。

「もしかして……ツバキさんの電話番号?」

「電話番号っていうか、学校内のラブマギカはSNSで連絡先の共有がされているんだ。入学が決まっているからこのSNSのアプリをゲットできたわけ」

 明里はスマホもケータイも持っていないから、このアプリの存在は知らないのだろう。

「じゃあきいてみるよ。ツバキさんはどうやって芸名を考えたか」

 明里はうんうんとうれしそうな表情で首を振る。できれば僕もそうやって笑ってみたいけれど、大スターに電話をかけるという緊張でそんな余裕はない。言いだしっぺなのに明里に電話を掛けさせるなんて最低だし。

 五コールしてもツバキさんはでないので、仕事で忙しいのかもしれないと思い電話を切ると、すぐにツバキさんから返信があった。

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