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1-16 レッツネーミング!

「芸名が宿題って聞いたときにはなーんだって拍子抜けしたけれど……」

「案外浮かばないね」

 聖爛中学の合格を聞いた日から二日後。僕は明里と、明里の働く商店街にある喫茶店にいた。今日はさらにマスターの視線が痛い。飲み物に雑巾汁が入れられていないのか不安になる。

 集まった理由はもちろん芸名を考えるためだ。

 一人で考え込んでも決まらないという明里の呼び出しを受けて、学校が終わってからすぐに来たので今日は女装じゃない。だからマスターの視線がこの間より鋭いのだろう。

「誠は前からラブマギカになりたかったんでしょ? どんな芸名にするつもり。ヒントになればいいなって」

「そりゃ決めていたよ。ラブマギカとしての僕は男の僕じゃない。だからこそ名前は強い意味を持つ」

 新たな世界には新たな自分が必要。その為の呼び名は恋愛魔法に目覚めてからの数か月間、ずっと考えていた。とびきり可愛くってアイドルらしい完璧な名前。

「ラブンチェリー・魔子・マギカ」

 明里は首をかしげるだけでリアクションがない。僕の芸名を初めて聞けたと言うに残念なやつだ。

「もしかして聞こえてなかったか? ラブんちぇ――」

「それって本気なの?」

 そんな質問をされて本気と言えるわけがない。

「いやあ。……じょうだん、かな」

「ちょっとわたしは真剣なんだか誠もちゃんとしてよ」

「わかったわかった。ごめん」

「で、本当の芸名は?」

「へ?」

「芸名。考えていたんでしょ?」

 考えてはいたけれどお前がなかったことにしたんだよ! とは言えず僕は紅茶を口に含んで少し考える時間を作る。そして適当にあしらう方法を見つけた。

「あれだ。僕が言うと明里の考えにブレがあるかもしれない」

「そのブレが欲しんだよー」

「ああ、もういい! すみませんでした! 真剣に考えて出た答えがラブンチェリー・魔子・マギカでした!」

 そういった瞬間、びくりと肩を震え、氷菓のように固い表情で言った。

「いいんじゃないかな。うん、ラプンツエル・魔子・マジカ」

「今さら遅いしその反応みればダメだってわかるって。それに名前微妙に間違ってる!」

 童話の登場人物が混じってるし、僕のネーミングセンスにマジかって本音が出てしまっている。

 明里はばれたかーと朗らかに笑う。むしろその反応でごまかそうと思っていたことに驚く。

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