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1-15 合格通知

「失礼します」

 ノックして理事長室に入ると、そこには面接をしてくれた三人、土井隆マネージャー、毛利亜紀トレーナー、そして向井プロデューサーが座っていた。

「まずは合格おめでとう」

 向井プロデューサーは優しさをにじませた凛とした声で言った。僕は反射的に頭を下げる。

「はい、ありがとうございます」

「見事としか言いようがないわ。男子だけれど満場一致で合格。筆記は満点、実技は二位だったけれど総合ではダントツ、というかツバキ以来の点数よ。きっと逸材がそろった一年生達の良い刺激になってくれると信じているわ」

「はい、そうなれるようにがんばります」

「ところで……もう一人の合格者がいないんだけれど」

「あか……光崎は店の手伝いがあるから先に帰りました」

 ふっと向井プロデューサーは笑う。

「さすが実技で入学時のツバキ以上の評価を取った大物は違うわね」

「比べるのはどうなんでしょうかね」

 背後から声がしたので振り返ると、そこにはツバキさんの姿があった。驚きすぎて声も出ず、じっと見つめてしまう。

「何見てるのよ……文句あるの?」

「いいいいえ、ありません。すみません」

「ふん。向井さん、とにかく、光崎と比べるのは我慢できません。私は入試、あの子は編入。半月以上も差があるわ」

 メディアにでているツバキさんはお淑やかで上品な雰囲気が強い。けれど今はただのわがままで負けず嫌いな、どこにでもいる中学生に見える。

「そうね、悪かったわ」

「わかっていればいいのよ。そして女装のあんた! あんたもだからね。私は入試、あんたは編入。その差をわかっておきなさい!」

 そもそも肩を並べようなんて思ってもいないんだけれど。

 でも誰にでも負けたくないというこの性格が芸能界で成功する秘訣なのかもしれない。

「わかっています。まだ僕なんて星にもなれていない大気中の塵。恒星のツバキさんとは比べるまでもありません」

「わかっていればいいのよ」

「でも、あと一年で、ツバキさんのような恒星になってみせます。いや、それ以上のスターに」

 ツバキさんは鼻で笑ってから、小ばかにするように小さなため息をついた。

「あんたじゃ無理よ。でも光崎と組めば面白いかも」

 ロボット以下の完全な棒読みでツバキさんは言ってから部屋を後にした。

「すまない佐々木」

 トレーナーの毛利さんが頭を下げる。

「いえ、大丈夫です。僕こそ生意気を言いました」

「それくらい気が強くなくちゃやっていけないわよ、芸能界なんて。あれでもツバキは褒めてるのよ、ますます期待しちゃうわ。初登校は三学期だからだけどがんばりましょう」

「はい。激励の言葉のためにわざわざ招いていただいてありがとうございました」

 やっと夢を始めることができる。

 憧れのラブマギカ達のいるこの学園生活はきっとファンキーな毎日に違いない。

 きっと僕が想像している以上につらいことや悲しいこと、その逆の楽しいことや嬉しいことも待っている。その期待に震えてしまう。

「さっそく入学までの宿題を言い渡そうかしら」

 プロデューサー直々の宿題とはどんなものなのだろうか。不安と期待が入れ混じる。

「芸名を考えてきてちょうだい」

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