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1-12 聖爛中学編入試験 筆記&面接編

 来る十二月十三日。ついに聖爛中学の編入試験が行われた。

 そのお昼。筆記試験を終えた僕は、昼休みに体育館でその結果を見て唖然とした。

「うわー。すごいね、さすが誠」

 唖然としたのは僕が百二十人中一位の結果だったからではない。隣で無邪気に喜ぶ明里の結果のせいだ。

「わたしはべべだね。へへっ」

 照れくさそうに笑っているが、ただ恥ずかしいだけということがわからないのだろうか。

「笑ってる場合じゃないよ! せっかくの恋愛魔法が台無しじゃないか! まさか誰でもできる筆記試験でこの結果だとやる気がないと思われるよ」

「そんなこと言われてもついつい恋愛魔法ばっかしちゃうんだもん」

 のほほんというかマイペースというか、声を荒げた僕が馬鹿に思えてくる。

「ま、もう結果が出たんだから仕方ないか。午後からの面接と実技で挽回できればいいんだ。ラブマギカに知識は要らないといえばアレだけど、抜群なパフォーマンス見せれば大丈夫なはず」

 そう言いながらも、この結果で暁ひかりを押しのけられる可能性は絶望的になったのはわかっている。あとは本当に奇跡を願うしかない。暁ひかり以上のライブパフォーマンスを見せるという奇跡しか。

「はい、準備できたよ。早く食べよーよ」

 明里はお肉屋さんで作ってもらったとんかつ、コロッケ、メンチカツ、からあげ、エビフライが入ったお弁当を広げてくれた。冷えていてサクッとはしていないけれど味はいいのでついつい箸が進む。

 これは午後の決戦に向けていい腹ごしらえが出来そうだ。

 体育館内に作られた簡易食事スペースで弁当を食べ、二十分もすると体育館内のアナウンスで名前が呼ばれた。いよいよ集団面接が始まる。

 

 案内された部屋は会議室ような場所だった。

 僕と明里は同じタイミングで呼ばれたので一緒に部屋に入る。他にも三人の受験生がついてくる。

 五つの椅子が置かれ、その正面には三人の大人がいた。

 左に座る冴えない男はこの間僕にまんまと痴漢をしてしまった土井、中央に座る綺麗な女性はプロデューサーで元グラビアモデルの向井さん、右の女性はトレーナーで元恋愛魔法使いの毛利さんだ。

 決まった通りのあいさつを済ませ、席に着く。明里もここはしっかりと覚えてきたようで問題ない。

 質問内容も難しい内容はなく、ついに最後の質問、きっとこれが面接官へのアピールポイントとなる質問だろう。

「あなたはどうしてラブマギカになりたいのでしょうか?」

 向井プロデューサーが凛とした口調で言うと、部屋は急に張り詰めた雰囲気になる。

 他の受験生たちもここが大事だとわかっているのだろう。

「昔からアイドルになるのが夢でした」

「恋愛魔法で芸能活動を行えるなんてドキドキする」

「ツバキさんに憧れていたから」

 などと凡庸な答えを返す受験生たち。

「佐々木さん、あなたはどうかしら?」 

 向井プロデューサーの視線が鋭い気がするのは緊張からだろうか。僕は小さく息を吐く。

「はい。僕はラブマギカが好き、ツバキさんへの憧れももちろんあります。けれどそれよりももっと強い思いがあります。それはラブマギカ界を変えたい、ということです。テレビに出ることで世間に恋愛魔法を広めた春日あさひさんのように、僕はラブマギカを広めたいです。僕なりのやり方で、このラブマギカ界を盛り上げたいです」

「なるほどね。ありがとう」

 向井プロデューサーはニヤリと笑う。

 その笑みはきっと僕を男と知っての笑みだろう。

「次、光崎明里さん」

 呼ばれたというのに明里はボーっと僕ら受験生の方を見るだけだった。

「おい、明里よばれてるぞ」

 僕の声でやっと気づいたのか、顔をキョロキョロと動かし、勢いよく立ち上がって頭を下げた。

「すみません、頭空っぽでした」

 トレーナの毛利さんは優しく笑う。

「大丈夫よ、落ち着いて答えてください」

「はい。わたしがラブマギカになりたいのは、えっと……えっと。商店街を盛り上げるためって、それもそうだけど恋愛魔法が使えるから?」

 明里は僕の方を向いて首をかしげる。おいおい僕に聞いてどうするんだよ。せめて面接官の方を向いてくれよ。

 毛利さんは土井に対して冷たい笑みを浮かべた。

「土井さんは面白い人を推薦しましたね、向井プロデューサー」

「そうね。実技試験が楽しみだわ」

 戦々恐々としながら笑ってごまかすしかできない土井に、ごめんなさい、こんなポンコツを連れてきてと心の中で僕は謝罪した。

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