表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

ええーっ、男の娘はお風呂でドッキン、変態メイドとかよわい僕

   ◆

職人の技が光る!丁寧な造りの竹かごに戦場を駆け抜けたようにボロボロになったタキシードや下着を放り込みフェイスタオルで男の尊厳を隠しながら『パコーン』と鹿威しの竹筒の音色がひろがる静寂な脱衣所を見渡した。

二十畳の広さには檜造りの豪奢な棚があり、一つ一つにお高い工芸品の雰囲気たっぷりの竹かごがあり、超高級和旅館の脱衣所にいてるようだ。

「ふぶきさまぁ、こちらに浴衣を置くとくですね」

その声は快活さが吹き出るほどのボリュームがある大きな声。

あまりの脱衣室のゴージャスに呆気にとられていた俺の背後から咆哮した声の方向に身体を反転させる。

前を隠して尻隠さず…くるりっと振り向くとちょこちょこと板張りの床を子リスのように可愛らしく動く女の子の姿が。

キラキラとプリズムのように煌めく銀髪のポニーテールに幼さがしっかりしみついている……というか幼いながらもぽや~んとした雰囲気。

左右の瞳の色が赤と紫のオッドアイのメイドさんが浴衣を持ってきて籠に運んでくれた。

『トテトテッ』とすり足で俺の傍に来て、人懐っこいワンちゃんのような満面の笑みを湛える。「もう、初対面から二つに割れた可愛いお尻見せてエロエロですぅ。もう食べたいです。今日より、ふぶきさまぁの専属メイドになりましたぁ。小鈴といいますぅ。誠心誠意お仕えしますぅ❤」

子供っぽく力いっぱいぺこりっと頭を下げた瞬間、遠心力で加速したポニーテールが俺の股間部分を狙い澄ましたように『バシリッ!』と鞭打ち――うぉぉぉぉぉぉぉ!!


――その痛みドアの端っこで足の小指をうったときの10倍は痛いです☠


はらりっと秋の落ち葉の如く、タオルと涙が床に散っていく。

ポニーテールなハードプレイになすすべもなく轟沈してしまう(涙)

痛みの一点突破を許してしまった俺は「あぉぉぉ!」とマイケルのように奇声をあげて悶え苦しみながら虫の息……うずくまってしまう俺を見て、突き出すように窄めた唇に指をあてながら小鈴は『どうしましたかぁ』と小首をかしげる。

何か『はっ!』と気がついたらしく、プルプルと震えて男の尊厳をぴしっ!と指差しながら驚愕に似た面持ちを全面にだしてくる。

「はううぅぅ、ふぶきさまぁ、前にはえてる尻尾が大きくなっています!!大変です、直ぐに注射とシップを持ってきますぅ」

――注射とシップだって!

パタパタと走りだそうとする小鈴。

銀髪が揺れる小鈴の小さな肩をメイド服ごしに強く掴む、「イタっ!セクハラです、小鈴をねーちゃん、良い身体しているなぁ。などと言って手籠にするつもりですね!」と自分の身体を両腕で食い込むほど抱きしめてジト目でこちらをみている。

「ごめん、強く握りすぎた……って、自意識過剰かぁぁぁ!お前、貧乳だろう!ない乳星人だろぉぉ!子供相手に良い身体ですねぇ、などと言う趣味はない!」

と言う俺の叫びを聞いていないように軽く肩すかしして小鈴は『まだ、大きくなってます、エロです。犯罪です。道徳違反のクズです!もう私にお小遣いを渡した後に死んでください』と目をパチクリさせて冷厳光線を浴びせてきやがる。


――この子……天然的に下ネタ星人では?


「心配するな!お前は対象外だから。これは、自然現象」

恥ずかしながら言ってみると、小鈴は両手で口を覆い何かを思いだしたように一歩二歩と後ずさりする。

「それは……もしや、生殖器なのですぅ。最終兵器なエロです、駄目ですぅ!わかりますよぉ、小鈴がキュートで魅力溢れるプリティなのはすっごくわかります……しかし、う~ん、初めて見ました、ちょこっとだけ、そのエッチな皮かぶりな物体をもぎ取ってもいいですか?」

刹那……瞳の色が変わり両肩からどす黒い気炎が上がる。。

きらきらと輝かせた好奇色を宿した瞳、手を『わしわし』しながら『ひひひっ少しだけいじくってやるですぅ♪まったけ狩りですぅ』みたいな犬が道端でカエルを見つけてくわえて遊ぶような雰囲気でジワリジワリと距離を詰めてくる。

後ずさる俺……とる行動は一つ!

床に放置されていたタオルを百人一首大会の選手のように高速で拾い上げる、全身の筋肉がバネのように柔らかく躍動すると一瞬のうちに湯けむり漂うお風呂場へ駆け込んだ。

ぽつり……脱衣所に残された小鈴。

『ぷー』と膨れて『溺れたら呼んでくださいぃ。指を指して笑いにいきますですぅ』とSっ気たっぷりの言葉で見送ってくれた。

湯気に覆われた視界だが俺を驚かすには充分な鮮明度だった。

床の白地に美麗な斑紋が彩られている大理石のタイルはヒンヤリと気持ちよい。

視界を覆うように湯けむりはエンドレスにモクモクと漂っている。

高級温泉旅館のような豪奢な風呂場、広さは脱衣所よりも広く、かけ流しのようにお湯が流れ、外界が一望できる全面ガラス張り(マジックミラー)に、百万ドルの夜景を連想させる煌びやかな街並みがとても素敵な開放感を与えてくれる。

鏡やシャンプー・リンス・コンディショナー(どれを見ても高そうな♪)などが棚に並び、シャワーや蛇口・設定温度がボタン一つで出来る液晶画面が一区切りごとの身体を洗うスペースに割り当てられていた。

ふぅ、凄すぎるなぁなどと感嘆しながら俺はゴシゴシと全身を洗い(洗濯機と比べたら天国です♪)そそくさと湯船につかった。


チャポン……


湖面に波紋が広がるように規則正しく湯船が揺らいだ。

「ふぅぅ、生き返る」

けっして死んでいる訳ではないがそんな言葉がついつい出てしまう。

乳酸が固まったような筋肉がほぐれ、身体中をめぐる血流が息を吹き返したように良くなる。

湯船に浮かぶ俺、うつらうつらとする思考は今日一日の情報を脳内小人達が必死に整理してくれている。

あまりにも沢山の突飛過ぎる出来事が起こった……が俺は閻魔小鳥には感謝している。

列車が終着駅までついていたら俺は多分、何かしろの実験台にされて死んでいた。

死人に口なしとは言うが、喋れる事は良い事だ❤

今、生きて湯船にたゆたう事が出来るのは閻魔小鳥のおかげ。

それに……


ガラガラガラ――


湯気を吹き飛ばす滑らかな空気が脱衣所から流れ込んできた。

誰かが扉が開く音……その音は浴室内に響き渡った。

湯船に顔を半分付けてじーっと湯気の先に目を凝らしてみる。

風呂場の扉の方、湯けむりで視界不良の中、人のシルエットが幻想的に浮かび上がる。

誰かが入ってきた事はわかった……はっ!もしや、ド級のエロ魔神小鈴では!

そのような猜疑心は杞憂に終わる。

「ふーちゃん、うちも一緒にはいるけん」

その声にかーっと耳まで赤くなった俺の拍動が早鐘のように速度をあげる。

この間延びした声とスレンダーなシルエット❤の主は間違えなく閻魔小鳥。

ゆったりとした足取りの小鳥は身体を洗うスペースに入りゆっくりと身体を入念に洗い始めた。

大興奮!思春期の主張のように色々な期待を込めて❤胸の鼓動が更に音速を超えたように鳴り響く。

魅力溢れる現状……パンパンっと頬を叩いた俺は頭を冷やす為に冷水をかぶる。

幻想的に湯気に映しだされたシルエットは女神ミューズのような気品と美しさ、蠱惑的に感じ取れる。

今、心の中の理性の天使と本能の悪魔が討論をしはじめる……ああっ、瞬殺で本能がかってしまった。

だって、健全な青年ならやはり……おっぱいは見たい♪

ぼんやりとした湯けむりの中、少しずつ小鳥のスレンダーなシルエットが近づいてくる。

『ちゃぽり』と湯に波紋が広がると一糸まとわぬ姿の小鳥はドキドキと鼓動が早鐘のように鳴り響く俺の傍らに寄り添うように身体を寄せてきた。

秘かな想いと欲望が入り混じる俺、やはり胸がドキドキして恥ずかしい……逆上せてないのに顔が真っ赤だ。

ちらりっと瞳を動かし見ると、きめ細やかで透き通るほどの白い肌がほんのり朱色に染まりその柔らかな肌がすり寄せるように背中に寄り掛かってくる。

「ふふっ、うちね、ふーちゃんに告白せんといけん事があるねん」

甘い吐息と共に耳元で囁く妖艶な言霊。

添えるように肩に顎を乗せてつぶらな唇からペロっと舌をだし無邪気に微笑む。


――うぉぉぉぉぉ、俺の背中に貧弱だけどおっぱいが当たってる♪……だがしかし、背中に何か異物が……?


『ベットじゃなくて❤もう、襲いたい!』などと欲望がほとばしるリピド―を俺は道徳心&理性の全勢力で必死に噴き上がりそうな欲望を押さえながらコクリっと小鳥に相槌を打つ。

「実は……うち、男の娘やねん」

小鳥は躊躇いもなくさらりっと言葉を紡ぐ。

恐らく小鳥の言葉は爆弾発言だろう……しかし、俺の下半身の爆弾を押さえるのに全力でろくに話も聞かずに真っ赤な血色の良い顔で相槌をうつ。

そんな俺を見て、花が開いたような照れているような眩しい笑顔で小鳥は語り始める。

「あれぇ?あんまり、おどろかへんやん……ふーちゃん、もしかしてそっちの方なん」

夜明けの太陽のように、にぱっと燦々とした笑顔を浮かべ、頬に両手を添えると黒水晶のような透き通った瞳で俺を覗きこむ。

――男の娘ってなに?そっちの方って?

思考が数秒遅れで小鳥の言葉を租借し始める。

向き直ろうと俺はクルリッと反転すると俺の右手に不思議な棒を掴んでしまう。

「ああっ~」

頬が朱色に染まっている小鳥から艶めかしい嬌声が漏れる……ってこれっておちんちんやん!

謎の物体Xから俺はすぐに手を離すとモーゼの如く湯を掻き分けて、どどっと浴槽の壁際の端っこまで後退する。

間違えない、あれは男性の……一瞬、俺の思考はフリーズ仕掛ける。

目の前には大きな黒瞳に端正な顔立ちの和の美少女そのものが両手を胸元であわせて、うっとりとトロンとした瞳をこちらに向けている。

「うち、精一杯尽くすから……うちの身体は全てふーちゃんのものやから……だから……」

儚げな雰囲気がにじみ出ている、小鳥は何も隠そうとせず一歩一歩湯船を掻き分けて俺に近づく。

「す、すまん、のぼせた。先に上がる!」

俺はしどろもどろに言い放つとあまりのショックに冷静な判断が出来ないまま立ち上がる。

立ちあがった俺の男の尊厳を見た小鳥は「きゃっ!」と小さく悲鳴をあげた。そして俺は心で「きぁぁぁぁぁぁぁ!」と悲鳴を上げている☠

ばしゃっと湯船に津波を起こして逃げ出すように慌ててドアを開けて脱衣所へ。

壁際に向ってイチゴ味ポッキーを食べながら幸せそうに体育座りをしていた小鈴がこちらに気がつく。

「ひびきさまぁ、御早いですね。早すぎると小鈴を満足させられませんですよ♪はい、タオルですぅ」

ニヤリと笑う小鈴――誰がひびきやねん!こいつわざと言い間違えてやがる。

俺の着替えがある籠の前で幸せそうな顔から一転、恨み節を謳いながら体育座りをして待っていた小鈴がすっと立ち上がりタオルを取り、俺の身体を拭こうとするが、直ぐに取り上げて自分で拭く。

――あっ、物凄くジト目で見てくるの巻き。

着替える最中にジ―っとおチンチンに視線を集めて退屈そうに俺を見る小鈴に問いかけてみた。

「小鈴、ちょっと突飛な事を聞く」

ふんわりとしたメイド服をパンパンとこきみよくはたいた小鈴はがぶり寄りながら振り仰ぎ「もう♪子作りや告白するなら早くしてくださいぃ❤なんですかぁ」といやんいやんっと頬に手を当てて、ど素人ぽい演技で何でも答えますよぉみたいな笑みを浮かべる。

「閻魔小鳥は……男……だよな」

おそるおそる訪ねた俺に小鈴はあっけらかんとコクリっと頷き「はい!小鳥様は閻魔家の嫡子であらせられますぅ」と自信満々に答える。

まさに弱り目にたたり目☠

はっ!なるほど……婚約者候補のミカエルが女性なのか理解したでござる……ってえぇぇぇぇ!

男と男……禁断の世界へようこそ❤

嫌です、お尻はいやです(涙)

咲き誇る禁断の薔薇でいっぱいになった思考回路がショートしてしまうぅぅぅ。

ふらふらと浴衣を着ると『薔薇はいやぁ』と口ずさみ夢遊病のように夢うつつで脱衣所の『ザ・風呂』と粋な文字で書いてあるのれんをくぐった。

痴ほう症の爺様のように長いローカを徘徊しはじめる。

フカフカの絨毯が敷き詰められたローカはホテルのように客室用ドアが左右一定間隔で並んでいる。

時より『ふふふっ』と逝ってしまっているように鉛色のどんよりとした言葉がポロリっと零れている。

「もう、ふぶきさまぁ♪小鈴の部屋はちがうですぅぅ。はっ、もしかしてお外での青姦ですかぁ!もう、変態激エロです。野外プレイだなんてぇぇ。」

楽しげにメイド服のスカートをひらひらさせてひょこひょことついてくる小鈴は激エロ妄想驀進中(涙)

ふぅ、と軽く嘆息した俺は軽く髪をかきあげた、不思議な既視感が脳裏を駆け抜ける。

不意に立ち止まったふぶきのお尻に『うへへぇ』と残念な言葉を吐いていた小鈴がポンっとぶつかると、妄想の世界から無事帰還❤キョロキョロと回りを見渡す。

血の気が引いたようにムンクの叫びさながらのリアクション!瞬く間に小鈴は焦った雰囲気が爆発する。

「ここはまずいです。ふぶさまぁの今日の晩御飯カレー味のうんこよりもまずいです!」

――うぉぉぉ、そんなのくえるかぁぁぁ!

そわそわと妙に慌てる小鈴……あっバタバタして裾踏んでこけてる、直ぐに立ち上がり、パンパンとメイド服をはたく涙目の小鈴。

「あまりウロウロされますと危険ですぅ、早く、部屋に帰るべきですぅ」とパタパタとメイド服をはたきスピードをあげて全力でジェスチャーアピール。

慌てる小鈴をみていると何だか俺は悪戯心を含んでしまい、わざと歩きはじめる。

小さなローカを渡ると突然、耐えきれなくなった小鈴が俺の浴衣の裾をもって訴えてきた。

「はううぅ~ふぶき様、駄目ですぅ。しまったですぅ。完全にひより様のテリトリーです。お化けな館へ来てしまいましたぁ、ふ、不法侵入です、帰ったら小鈴が子の作りかたを教えてあげるので、素直に直ぐにかえるですぅ」

電動マッサージ機のようにぶるぶると震えながら小鈴はパタパタと全身ゼスチャーで更に訴えてくる。

ぽむっ!

俺は意味もなく、慌てふためく小鈴の柔らかな銀髪に手を乗せてよしよしと愛でてみる。

『はうぅぅ』と極楽浄土に行きそうなほど瞳がとろ~ん。

撫ぜられる事が弱点では?腰から崩れるようにヘナヘナペタンっとしゃがみ込んでしまった。

ニッ!と笑みを浮かべた俺は壁面に背をつけようにした刹那……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ。

壁面が蜃気楼のように消滅する。

慣性に任せるようにローカの真ん中に倒れ込むと、突如出現した真っ黒く大きな落とし穴にホールインワン♪……落ちてしまいました(涙)。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ