これぞ奇跡の大円団! 改めてえんま家へようこその巻
ついにフィナーレを迎えました。
これも皆さまのおかげです。
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見上げれば見上げるほど大きな屋敷だ。
五体満足に復元された俺の身体……俺の魂と肉体の所有権は現在、閻魔大王の管轄下にある。
そして執行された刑を受ける為に再び、この場所に戻ってきた。
昨日のように見覚えがある屋敷である……空に浮かぶ島、閻魔本家の館の門前で俺は茶色い旅行鞄を置いてゆっくり背のびをした。
これから百年の刑期を過ごす……って何て理不尽なと多少なりとも憤りを感じながらも……帰るところもない俺……素直に生きよう♪
閻魔大王から預かったスペアキーで門を開けて中に入ろうとすると「むー」言う叫び声と共に流星の如く高速移動してきた物体が胸元に飛び込んできた。
薄ピンクの柔らかな髪にグリグリメガネ……何だかほっとする俺がいた。
「お兄様です♪本物です。時間がありません!奴らがきます、一秒でも早く、私と再婚しましょう♪」
――はいっ?
内容が飲み込めない俺の手を素早く掴み愛の逃避行が如く走りだそうとした刹那……
進路を塞ぐように神々しく輝く金髪の髪を『ふぁっ』とかきあげてプルルンとおっぱいを揺らして悠然に仁王立ちする。
「帰ってくる事……信じてずっと待っていました……さぁ、私と挙式を上げましょう」
手を前に広げて、信じ切った蒼い双眸で俺を見るミカエル……も、もしや……あの茶封筒の効力では(驚)
ピンクの髪を靡かせて『くるりっ』と踵を返して俺と共に逃げようとしたひよりは苦虫を噛んだように「むー!」と唸りながら相好が曇る。
それには俺もビックリした。
大と小の小鳥が二人いる……まるで姉妹のような。
「ふーちゃん。生きてたんやね♪うち……うち……嬉しすぎて……」
ナイアガラの滝のように滂沱の涙を流す小鳥にもう一人のチビ小鳥が背伸びをしてよしよしと頭を撫ぜる。
「お兄様……私はお兄様の愛のおかげで悟りました……絶対に私達はお兄様に結婚します」
――ふぇぇぇ、お兄様って、こいつ、オリジナルか!!しかもお買い得みたいに二人で一セットって♪
視線が鋭くなるひより……ぐっと俺の手を強く握り『閻魔家のはぐれメタル』の異名を見せつけるように正面突破の構えを見せたが……その足が止まる。
ひよりの視線の先には閻魔凛が「ヤッホー、ふぶきちゃん。おっ久!」と赤髪メガネっ子座敷わらしのヒナナを肩に乗せてこっちを見ている。
「ふぶきちゃん、ちゃんと責任とってよ。私の大切な赤髪部隊長のヒナナちゃんの初恋の相手になったんだから♪責任とらないと私からビックなお仕置きプレゼントするよ」
閻魔凛の肩で頬を真っ赤にしてイヤンイヤンと恥ずかしがっているヒナナ……いったいどうしたと言うのだ(涙)
突然、俺の服の据えが強く引っ張られた。
視線を落とすと振り仰ぐオッドアイの瞳をキラキラと輝かせた小鈴がにぱぁと喜色満面の笑みを湛えて俺の首に腕を絡めて抱きついてきた……ひ、ひより……『バキボキ』って音が、手を強く握りしめすぎですよぉぉぉ☠
「もう、ふぶきさまぁ、皆を虜にしてエッチなんですから❤ふぶきさまぁは執事として赴任された身……という事は私と同じ部屋になるのです。そして、お互いに裸で抱き合った親密な関係♪もう、子作りしかないです♪」
無邪気な中にオーバーキルなみの爆弾発言!……ああっ、回りの皆から刺さるような視線がぁぁぁ、悪意が無いだけに小鈴……天然は勘弁してくれぇぇぇ。
こんな状況でも……いやこんな状況だから、今、とても幸せなのかもしれない……俺の人生で信じられる仲間が出来た。
これから百年間の刑期を過ごす……閻魔家……どんなストーリーが体験できるのか考えるだけで胸がドキドキする。
不思議と笑みが零れる俺は空を見上げた……果てしなくスカイブルーが続く空……今この場に居る事に感謝した。
大切な仲間達に巡り合えた事を心から感謝していた。
ご声援いただきありがとうございました。
えんま家の人々、これにてフィナーレですが新作、たんぽぽ荘も頑張っております。
今後共、ご声援お願いします。




