初レース本番
音と同時に全員が全力でスタートダッシュを行う。
スタートダッシュが得意だった自分は一気に2位までのぼりつめた。が、すぐに力つきどんどんと順位を落としていった。
走っているうちに1人、また1人と自分を抜かしていく。ついに友人にも抜かされてしまった自分は、(やっぱり練習走行でとばすんじゃなかった~(泣))とかなり後悔していた・・・
第1コーナーにつくまでに、友人を含めて15人ほどに抜かれたようだった。順位などとうにあきらめていた自分は、 自分のペースを守りタイムを重視した走りに移行し、レースを楽しむことを考えていた。まわりを見ると、どうやら実力がばらけているようで、各選手はかなりばらけ、自分の付近30メートル以内には誰もいなくなった。
普通、この広いコース上で、近くに友人も、家族も、ましてや他の選手でさえもいないというのは少なからず孤独と不安を感じるものであるが、この時は全くと言っていいほど感じることはなかった。楽しんでいたからである。そして、自分は第3コーナーへとインベタの走行ラインをとり快調に走っていった。
第3コーナー後の下り坂で時速40キロを出し、そのまま第4コーナーの途中からこのコース初の登り坂に突入する。登り坂では、後々の体力を考えてできるだけ体力を使わないようにし、速度は12キロに抑えた。この登り坂でまたかなりの人数に抜かれた。やはり、練習走行の疲れが効いている。足が全然回らない。
第5コーナーのヘアピンをインベタで抜け、再び30キロまで加速しようとした。だが、足の疲れのせいで25キロも出なかった。「まずい・・・最後の登り坂、上りきれるかなぁ」と不安がよぎる。ここでまた数台にぬかれた。
そして、最後の登り坂にきた。最短距離のラインで走ることを意識しつつ、力を振り絞る。リアのギアを変え足にかかる負荷を軽くする。足がかなりきつい。登り始めのところには、ギアが落ちてしまった人がいた。たぶん、前ギアをインナー(1速)に入れようとして失敗したのだろう。次の2連ヘアピンのところでインナーに落とそうとしていた自分はその光景をみて、その考えをやめた。
2連ヘアピンを抜け、ホームストレートに出る。ここまでの登りですでに数台に抜かれていた自分は、最下位にはなるまいとラストスパートをする。足が疲れて速度が上がらず、時速15キロを保ったままゴールした。
ゴールに着きピットに入ると、親と友人、友人の親が待っていた。疲れていた自分と友人は、そのままコントロールタワーの下のコンクリートに寝転がった。レースで熱くなった体に、秋の風とコンクリートの冷たさは心地よかった。
しばらくの談笑の後、順位表を見にいった。自分の結果は20代後半だった。友人は10位前後という好成績だった。
センサーとゼッケンを返し、順位の証明書や参加賞をもらったあと、僕らはそのままコースをあとにして、昼ご飯を食べにいった。
次回はレストランでのハプニングを描きます。