表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

祖父の杖は魔法の杖

私の覚えている限りの事であり、印象深かった事である。

祖父の杖は魔法の杖



 私の祖父の片足は、義足だ。

今は、九段坂の、しょうけい館という所に、展示されているらしい。


 その為、何時も外出する時は、杖をついて居た。

それも、節が有り、木を曲げた様な、お伽噺の魔法使いが持っているような杖だ。


 それを、私は良く、魔法が使えるんじゃないかと、振り回したりもしていた。

空を飛べるんじゃないかと、跨ったりも。それで怒られたりもした。


 それでも、私にとって、祖父の杖は、魔法の杖で有った。

そう思えるだけのモノでも、有った。




 それには、訳が有る。

私は、足に障害が有る。

長距離を走ったり、移動したりする事が出来ない。

転びやすく、怪我をし易い。

さらに、その怪我が酷くなる事が多い。

その為、あまり外で遊ぶ事が出来ないで居た。




 ある時、祖父と共に叔父の家へ行った時、近くに大きな公園が有った、そこへ皆で出かけた。

祖父は、一人離れた枯れ草が茂る所で、私を呼んだ。


 何事か判らぬまま、そばに行くと、付いて来いと、言われた。

訳が解らぬまま、付いて行く。


 そのまま、枯れ草を突きながら、ゆっくりと進む。

何故そうするのかが、分からなかった。

分からないで居ると、祖父は、杖の先を見ていろと言う。


 言われるまま、見ていた。

杖で突かれた先で、黒いモノが動いた、飛びだした!


 もう一度やるから、今度は捕まえてみろ。

そう言われ、私は素手で捕まえた!


 訳も解らず、手の中で暴れまわるそれを、必死に抑え、覗き込んだ。

エンマ蟋蟀コオロギだった!

その時は、名前はまだ解らず、それが何なのか判らないまま、私は興奮していた!


 まだまだ居るから、もう一度と言われ。

私は両手一杯になるまで捕まえた!


 その後、ビニール袋に入れ替え、父に見せ、名前を知った。

それを瓶に詰め、蓋に穴をあけ、飼い始めた。

最後は裏庭に逃がした、時折、その子孫の音色が、今も偶に聞こえる。



 それから、私にとって、祖父の杖は魔法の杖となった。

突けば、何某か発見できる。魔法の杖に。

私にとって、祖父は魔法使いらしくないが、魔法使いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ