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第一章 行キツク先ハ08

―Lui Side ―

落下して行くスミレと青年兵を見た瞬間、心臓が止まるかと思った。

追いかけていく青年兵を見て、どんな状態でも命を張って対象を守ろうとする行為に満足した。

ただ、満足を上回る怒りがそれを全て無かったことにする。

舌打ちをして窓に足をかければ、もう1人の青年兵が青ざめた顔で「おやめ下さい!」と止めた。



「離せ!!」


「陛下、どうぞ落ちついて下さい!!」



怒りに任せて青年兵を殴り倒せば、本棚に撃ちつけられて動かなくなった。もう一度窓から身を乗り出した時、俺は信じられない光景を見る。



「……馬鹿な」



遥か下の方、豆粒くらいの大きさのスミレの背中から美しいステンドグラスの様な蝶の羽が生え、風圧に耐えきれず千切れて血飛沫を上げた。

そうしてそのまま2人は湖へと落ちる。



「……あいつ、は……」



ヒラヒラと舞う千切れた羽は、パッとはじけて空中に消えた。

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