第6話 家族
花と実の2人に呼ばれ、僕も食事場に向かうことにした。道中こんな会話をした。
花「それで、お兄ちゃんは能力が発動できるようになったの?」
僕「ま、まぁ。今いいところまで行ってるよ...ハハハ」
実「お兄さん、なんか嘘くさい」
僕「ほ、本当だよ!本当!」
僕は思わず見栄を張ってしまった。僕の霞んだ瞳は相変わらずである。
実「でも、本で読んだことがある。能力は家族の中で似ることがあるって」
僕「そうなのか?じゃあ僕の能力もすごいだろうな。花は時間停止、実は...?」
そのまま流れで聞き出そうとしたのだが、
実「私は...秘密。お兄さん相手でも言えないことがある...」
まぁ、そう簡単に教えてはくれないよなー
花「ねぇ、私たちのパパとママは?どんな能力を使ってたんだろう?」
実「確かに気になる。能力発現のヒントになるかも」
花「お兄ちゃんとか覚えてないの?」
僕「僕だって覚えてないよ。どんな人だったかも知らない」
花「そっかー...じゃあ令さんは!?令さんならきっとわかるよ!ずっとここで働いてるらしいし!」
実「賛成。この後みんなで聞いてみよう」
と、言うことで食事場に着いた僕たちはご飯を食べ始める、ある程度時間が経った頃に、両親のことを聞いた。
僕「ねぇ、令さん。質問があるだけどいい?」
令さん「はい。答えられる範囲なら答えますよ」
僕「僕たちのお父さんとお母さんはどんな人だったの?」
令さん「それはまた、どうしてですか?」
花「私たち、自分の親について何も知らないし」
実「...だから知りたくなった。お兄さんの能力発現の助けになるかもだし」
令さん「なるほど。わかりました。...どこから話しましょうか」
そうして令さんは僕たちの両親について話し始めた。
令さん「まず最初に、あなた方のお父様、お母様はすでに...お亡くなりになっています」
令さん「お二人はあなた方が生まれてすぐに発生した未曾有の大災害によって、自らを犠牲に皆さんの避難を助けたのです。」
僕たちがお父さんとお母さんに会ったことがなかった理由はそのようなものだった。
僕たちだって薄々気づいていたのかもしれない。一度も会ったことがない、話したこともない。そんなことが普通あるのだろうか。
令さんから事実を聞いて何かに納得したような気がした。
僕「そう...ですか。お父さんとお母さんは生前どんな人だってんですか?」
令さん「お二人はとても優しい方々でした。どんな人にも優しく接し、困っている人がいれば助け、救う。そんな人たちでした。皆を守れるだけの実力を持っていた...私の憧れでもありました。
お二人の詳しい能力は分かりませんが、どちらも"時間"に関係する能力だったと思います。」
実「時間に関係か...」
花「私の能力と同じね!それに実力も高かったなんて!やっぱり私には才能があるのよ!」
僕「確かに花の能力は才能の塊だ。じゃあ僕と実の身体能力も親の遺伝なのかな?」
令さん「多分、そうだと思います。きっと能力もすごいものが発現すると思いますよ」
お父さんとお母さんの能力。"時間"。僕は能力発現のための大きなヒントを手に入れたのだった。
続く
キャラクター紹介
神星 樹 シンセイ イツキ
真たちの父。詳しい能力は不明。約10年前の未曾有の大災害によって皆を庇い死亡
神星 桜 シンセイ サクラ
真たちの母。詳しい能力は不明。樹と同じく約10年前に死亡。




