「二百文字」も積もれば塵となる

王位戦

「どうやら木俣迷人、この王位戦を最後に引退するらしいですね？」

「フン、遅すぎるわ」

「おっと迷人、ここで投了しました。開局より、ものの五分と経っていません」

「最後にして、ようやく投了を覚えたか」

「あ、カメラに近づきました。何か言うつもりでしょうか？」

「お馬鹿め、最後まで」

「わたくし木俣は、これにて棋士より足を洗う所存です」

「せいせいするわ」

　そして翌週のテレビ対局。

――のうのうと読み上げ係の席にいる。