表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深海に咲く花  作者: 小柳晴
6/9

5話

その後のクラスメイトの自己紹介は、正直頭に入らなかった。拍手はした。しなかったら何か感じ悪い気がするし。

 全員の自己紹介が終わったところで担任の先生が話し始めた。

「はい、じゃあクラスの係や委員会を決めたい。黒板に係と委員会を書いていくから、やりたい係とかがあれば手を上げてくれ」

 去年は確か面倒くさくて仕事が少なそうな係にしたんだっけな。放課後は部活もあるし、あまり大変そうなことはしたくないというのが本音だ。

 だが今年はクラスに彼女がいる。係や委員会は基本男女一人ずつ。これは更に近づけるチャンスだ。 なんとしてでも彼女が立候補したところに俺も行こう。

「蓮、係どうすんの。やっぱあんまり仕事ないやついく?」

「いや、俺が進む道はもう決まってる」

「え、なにやんの」

「・・・いや、それはまだわかんない」

「なんだよそれ。ていうか、今日の蓮何か変」

 そんな会話をしていたとき、彼女の手が上がった。その姿を見て反射的に俺も手を上げた。

「お、じゃあ保健委員は決定でいいな」

 保健委員会の欄に彼女と俺の名前が書かれていく。

「保健委員会?そんなんやりたかったのかよ。てか、委員会とか入ったら放課後の部活遅れるじゃん」

「うるさいな、いいんだよ。俺は保健委員やりたいって一年の頃から思ってたんだよ」

「嘘つけよ」

「嘘じゃねえよ」

 そんな文句を言われつつも、彼女と同じ委員会に所属できたことがたまらなく嬉しかった。

「じゃあ委員会と係はこれで決定だな。委員会に入った人は、明日の放課後に早速委員会の集まりがある。頼んだぞ」

 明日開かれるという委員会のそれぞれ集まる教室を聞いて、その日は解散になった。

 帰り道、同じ部活の奴たちに委員会に入ったことについて散々文句を言われたり、質問攻めにあったりした。委員会に入った理由や、なぜ保健委員なのかと。

 その理由が全て一人の女の子に近づきたいから、ということは恥ずかしくて言えなかった。

 明日の放課後が、たまらなく楽しみだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ