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紋章都市ラビュリントス *第四巻構想中  作者: 創作
第二幕_地続世界『ラビリンス』

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十九記_捜索隊結成

 「やっぱ、街中にはいねぇか」

 大和の正門の前に集ったのは私を含め、『武器屋』の傑と香織、岩谷さんとそのパーティメンバー六名。行方不明届を冒険者組合に提出しているので朝になれば、正式な捜索隊が派遣されるが——そんなもの待ってはいられない。この場にいるのは私の我儘に付き合ってくれる心優しい人たちだ。

 「シャーロットちゃん、疑ってるわけじゃねえんだが、一応ギルドカード見せてもらってもいいか」

 私は促されるままに、それを懐から取り出す。


  シャーロット・ローレンス(16)

  冒険者ランク:325

  主兵装:細剣、円盾

  戦闘能力:C、斥候:D、索敵:B、作戦立案:S、協調性:S

  冒険者ランクが規定値を超えているため、中層探索可。

  日本冒険者組合「大和支部」支部長/堀田裕作『印』


 「マジか。十六でこの評価値。紋章バグってんじゃねぇだろうな。シャーロットちゃん化け物だぜ…」

 大方予想していた反応だった。実際のところ十六歳でこの数値だったら、英雄級だ。しかし、私は『騎士の紋章/ジョージ・シュナイダー作』。仕える主によって能力は変動する。それに生まれた年代から考えると私はとうに四百歳を超えている。戦闘経験は熟練の戦士の数段上だ。

 「あんたらは驚かないんだな」

 岩谷さんのパーティーメンバーの一人から『武器屋』の姉弟に声がかかる。私はその言葉に心がざわついた。

 …まずい

 「まーね、この子たちの武器のメンテとか装備の更新とかはうちらがやってんだ。私もあんたらみたいに初めて見た時は驚いたけどね」

 香織は息をするように嘘をつく。疑われるような間もない自然な問答をしてみせた。

 …助かった

 私という存在、正確にはジョージの作った『四騎士』の紋章、それにまつわる各スート十二の紋章。それらは人工紋章ながら、『物質化』した紋章の能力を大きく凌駕する。多くが時を経て失われているものの現存するものにはかなりの値がついている。

 …せめて新さまが冒険者として一人前になるまではこの秘密を守り抜かなくては

 冒険者というのはけったいなもので然るべきものが強力な紋章を持っていることにはなんら疑問を持たないが、そうでない時——新人が実力に見合わない紋章を所有しているときなど——は執拗に絡んでくるのだ。だから、この秘密は彼が冒険者として認められるまでは守らねばならない。

 …今のところは順調。おそらく三ヶ月後には冒険者スコア70は超えてくるはず

 「シャーロット、シャーロット!大丈夫」

 気づくと香織が私の肩に手をかけて、心配そうに見つめていた。

 「ええ、大丈夫です」

 「あの子のこと気になるのは分かるけど、これから探索よ。気を引き締めて」

 その言葉で思考を今に引き戻し、改めて戦力を確認する。

 傑と香織は上級探索者に類するスコア500オーバー。岩谷さんたちも拠点が一層にあるだけで皆400近くはある。聞いたところによると「住み心地がいいから大和にいる」だけで主戦場は中層域の中部(六〜八層)らしい。呑兵衛の姿からは想像もつかないが、実力は冒険者全体の平均以上だ。

 「シャーロットちゃん、少年の持ち物なんかあるか?」

 私は、自身の『回収の紋章』から彼のカードホルダーを取り出す。その中から着古したパーカーを具現化させて、岩谷さんに渡した。

 すると彼も自身のホルダーからカードを取り出し、その中へとパーカーを取り込んだ。

 …追跡の紋章

 ただ一瞥したところ、人工紋章のようだった。仮にそうなら、使用回数は一回。決して安くないものを使ってくれたことに心から感謝する。

 すると彼の手元の紋章が光の粒を放ち、ラビリンスの構造をもつ立体構造のミニマップとして収束した。

 「やっぱりな」

 その紋章の周りに皆が群がる。

 紋章が指し示したのは上層:六層目。どうやら移動しているようで新さまを示す光点は動き続けていた。

 …六層の平均スコアは120。彼に対応できる難度ではない

 新さまの冒険者スコアは高く見積もっても40程度。今の彼には危険が過ぎる。一刻も早く助けに向かわなければ。

 「おいおい。なんだよこれ…」

 立体マップを見ていた岩谷さんのパーティーメンバーが声を上げた。

 「確かここって、霧の森じゃなかったか」

 それを聞いた岩谷さんが六層のマップを取り出して照合する。

 「まいったなあ、これじゃ地図が役に立たねぇ。追跡の紋章で大まかな位置が特定出来るくらいだぜ」

 …六層で霧の森…『saltus(サルトゥス) nebula(ネブラ)纏白樹海(てんびゃくじゅかい)』か

 まず間違いないだろう。同じような木が連なり、濃霧から自身の立ち位置が分からなくなる魔の森。それゆえに未だ全容が解明されておらず、上層域にも関わらず上級冒険者でも手を焼く難所とされていた。

 「まあ、とりあえず。近くまで行ってみるか。そうすりゃ、紋章の確度が上がるはずだ」

 「そうね、まずは行ってみないと始まらないわよね」

 香織の言葉に全員が頷く。

 その場で皆の使用武器や得意分野の確認を行い、私たちは上層域:六層『纏白樹海』へと出発した。

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