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68.胡散臭い本

(この本たちは……最初の段階で選別した出版元不明の本……)


出版元が判明している、先ほど読んだ本よりもはるかに多い量の本が本棚にはまだ残されている。まだ午後が残っていて、今まで読んだ本が全て意味がなかったとなれば残りの本に目を通すという選択肢になるだろう。


しかし。


いざその本を目の前にすると、やはり読む気はあまり起きない。


『完全解説‼︎光魔法のあれこれ~これで誰でも神官に!~』

『実録 神殿の歴史~神殿はこうして生まれた~』

『伝記 初代聖女』


(胡散臭い……誰でも神官に、って)


それでも休暇期間中、まだ自由なイリアスと違いそれなりの行動の拘束を受けているシャルロッテにできる調べる方法は、この神殿の書庫のみだ。


その中のこの分野に絞って読んでみたが、有力なヒントが得られなかったとすれば、残る選択肢は一つ。


(ま、タイトルで本の内容が決まるわけじゃないわよね、思い込みは良くないわ)


意を決して本棚に残った本を手に取り、テーブルの上に積んでいく。

正式な本と比べ、本の厚さはそれぞれかなり違い、薄いものが多い。今までのものは内容が薄い割には中身は意味がない内容がつらつらと並べられていたが、この薄さならば楽に読めるだろう。



積んだ本に手を伸ばし、とりあえず目についた手頃なサイズの本の表紙を開く。

公式の書物ではないためか、本の紙は今までの本よりも少しざらついている。所々分厚かったり薄かったりとムラがあるのを見る限り、この本はあまり裕福でない人が書いた、またはかなり昔の本である可能性が高いだろう。


一縷の望みをかけて、ページに目を走らせた。




*ー*ー*ー*ー


「……ちゃん。……じょ……ちゃん。お嬢ちゃん!」



意識の隅で聞こえた声に反応したのは、何回目に呼ばれた頃だろうか。気づけば窓の外がオレンジ色に染まり、すぐ横にミルザさんがいた。


「えっ……あ、もうこんな時間……」


「これは随分集中していたみたいだね」


ミルザさんが机の上に散乱した本を見て笑いながら言った。


「すみません、すぐに片付け……」


「いいよ。お嬢ちゃん、聖女選定の候補者だろう?この時期にここに来る子はそれくらいしかないからね。確か明日まで休暇と聞いているけど、お嬢ちゃん、明日もここに来る予定かい?」


「はい。休暇中は精一杯調べ物をしようと思っています」


「それじゃあ尚更だね。その机の本、たくさん開いているけど、それぞれの関連性ごとに分けているだろう?それなら明日までそのままの方がいいよ」


「いいんですか……?」


「もちろんだ。何せ、人が来ないからね」


ニコッと笑い、ミルザさんはシャルロッテの肩に手を置いた。


「何をしているかは知らないが、がんばってね」


そう一言いうと、閉館の準備を始めに去っていった。



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