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想いの詩(仮題)

細胞の夢

作者: 浮き雲





傍らにいたのは誰


ここから消えたのは、いつ



ずっと昔


僕らは混沌とした、いのちを持たない有機物だった


太古の地球


水の揺りかごの中で


どれほどの歳月を過ごしたのだろう



なぜ、僕らは生まれたのだろう


誰に尋ねたら教えてくれるのだろう



いのちの誕生が


数えきれないほどの揺らぎの中に生まれた


たったひとつの必然だとしたら


それを偶然と呼ぶのならば


僕らのいのちは、なんと軽いのだろう


いや、重いのだろう




傍らにいたのは誰


ここから消えたのは、いつ



単細胞生物の夢は、融けあう夢


融けあえない代わりに寄り添うことをおぼえた、遠い昔


僕らは、僕であって誰かでもあった



傍らにいたきみが消えたのはいつ


きみは、どこへいったの


それとも、僕が奪ったのだろうか


きみの細胞を・・・



いつ、僕は、僕だけになったのだろう


僕は、本当に僕なのだろうか


消えたいのちの欠片はきみ、それとも僕


だから、いのちはいのちを求めるのかもしれないね




気づいたのは、いつ


触れあっていたのは、いつ



ずっと昔


僕たちは、きっと薄い膜で触れ合っていた


僕たちに言葉はなくても


互いのこころは、互いの中に流れ込んでいった


なぜ、言葉が必要になったのだろう


なぜ、確かめなくてはいけないのだろう


与えあっていた安らぎは、どこへ消えたのだろう


きっと、僕がなくしたものは


僕以外のすべてなのかもしれないね




なにを選んで、なにをなくしたのだろう


どこからきて、どこへいくのだろう




それは、僕らが僕になった頃の夢


僕以外のすべてをなくした、哀しい夢


だから、ひとは


こんなにも、ひとりなのかもしれないね


だから、誰もが


こんなにも愛おしく、誰かを想うのかもしれないね




傍らにいたのは誰


傍らから消えたのは、いつ



そう尋ねながら、きっと、今日を


生きていくのだろうね





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