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太郎転生  作者: 中野雅博
1/1

ただの思いつき

ほんまただの悪ふざけみたいな投稿。

気の迷い。

そんな感じ。

出来れば笑って許してほしい。

 俺はしがないニートゲーマーだ。名前は――どうでもいいだろ。

 俺はコンビニに買い物行った帰りにトラックに撥ねられて死んだ。

 そして――


 女神様「ごめんね。死ぬ予定じゃないのに殺しちゃった(てへぺろー)」


 (中略)


 女神様「せっかくだから、ちゃんと転生させてあげます! 準備は良いですかー!?」


 あーハイハイ、そういうやつね?


「とはいえ、転生先はどうなってるんだ?」

「ああ、じゃあまあお試しってことで、こんな場所はどうでしょうかね」


 女神は俺に手をかざすと俺の意識はどこかに飛んでいく。


と、いうわけで俺は転生した。


    ※


 ――なんか妙に息苦しいな。


 目が覚めると周囲が妙にギュッと包まれている。

 そして――なんかめっちゃ匂いがきつい。しかもこれはどこかで嗅いだ覚えがある匂いだ。

 そしてそれ以上に――超ゆれる。

  てか揺れすぎ、おうええええええええええええ――

 

 (以下 暗転)


  パカッ


「おやまあ、何で『桃』の中から赤ん坊が?」


 俺、桃太郎かよ!?

 

 そして俺は桃太郎になり、成長して鬼ヶ島に――


「いやまてや女神」

「あれ? 気に入りませんでした?」


 俺の意識はすぐさま女神のいる光の空間に戻ってきていた。


「当たり前だ。何が悲しくて桃太郎の世界に転生せなならんのだ」

「いやあ、いいじゃないですか桃太郎。日本人ならこの後の展開も全部知っているし、鬼も倒して無双できるし、もてはやされるし、典型的ななろう主人公の理想像では?」

「……確かに」


 この先の攻略本的な物もあるし、仲間もいるし、チヤホヤされること確定な未来もある。困らんことは困らん。

 だけどなあ――


「いや、面白くないだろそれ?」

「ええ~!?」


 何百回だか知らないぐらいには視た物語の世界に行ったところで楽しいことは何もない。退屈な後追い人生で無双して何が楽しいのか。

 大体世界観が桃太郎とか舐めてんのか。


「それなら家で新しいアニメと漫画見てるほうがマシだろ? もうちょっと違うのに転生させろ」

「仕方ないですねぇ、最近の子は我儘で女神ちゃまは辛いですよ」


 と、言うわけで女神は手をかざし、俺は転生した。


    ※


 海、さんさんと輝く太陽、目の前には――


「こらー! 亀逃げるなー!」

「こらこら、子供たち。亀を虐めては――おいこら、ちょっとこいや女神」


 文句を垂れた瞬間、もう俺の意識は女神のいる部屋に戻っている。


「何が悲しゅうて浦島太郎に転生したいと思うんだ?」

「いやあ、だってこれハーレム物ですよ? 男のロマンじゃないですか? 竜宮城で乙姫様やタイやヒラメと舞いダンスりたいとか思いません? YEAH!」

「YEAH……じゃねーわ! だってこの話バッドエンドじゃねーか! 最後俺よぼよぼの老人になるだろが!」

「でもこれ貴方なら哀しい結末知ってるんですから、帰らなきゃいいだけじゃないです?」

「やだわ! 大体竜宮城から出られないままそこで永遠に暮らすんだろ? 飽きるわ!」

「HO! 本当に最近の転生者ときたら、我儘が過ぎますYO……」

「そのノリやめーや! チェンジ!」

「しょうがないですねぇ、じゃあ……」

「あ、言っておくが、マサカリ担いだ半裸男きんたろうはNGな? てか日本昔話からは離れろ、絶対に」

「ふふふ、お任せください。そんな読めるパターンにはしませんよ、では!」


 俺は新たな光に包まれる。そして――


  ※※※


「ジュワッ!」


 そう、俺はビルほどもあるM78星雲あたりから来た巨大な宇宙人の――

 はいだめー! おら、でてこい糞女神!


「気に入りませんか、ウルト〇マンタロウ? チートでいま流行の正体隠してる系主人公!」

「著作権的にまずいのはもっとNGだ馬鹿!」


 そして俺は新たな光のようなモザイクに即包まれ――


  ※※※


 ここは大阪、巨大な太陽をモチーフにしたモニュメントを前に――

「芸術は爆発だー! じゃねえええええええええええええええええええ!」

「素晴らしいですよね、岡本太郎」

「うるせえ! 何が悲しくて偏屈芸術家に成りたいと思うんだ!?」

「ええ~? 後世に残る芸術家じゃないですか。その地位も名声も思いのままですよ?」

「俺はそっち方面をやりたいと思ったことは露ほどもねえ! やりたくないことを押し付けるな馬鹿!」

「馬鹿とは心外な。何も持っていない貴方に先ほどから素晴らしい未来を提供し続けてるというのに」

「そもそも仕上がった人の人生を押し付けるな! 俺は普通に日本で優雅に暮らしてたいわ!」

「岡本太郎だって日本人じゃないです?」

「うるせえな! 俺は人の人生に相乗りしたいわけじゃねえの! ……てかお前! いい加減気付いたが、太郎にしか転生してねえだろこれ!」

「あら、今更気付いたんですか? そうです、私は『タロウの女神』。すべてのタロウを統べるもの――」

「かっこよく言ったつもりか? つまり、タロウにしか転生させられない――ってことか?」

「その通りですね、はい、観念しましたか?」


――太郎にしか転生出来ない。


 一瞬ふざけんな、と思った俺だったが……。


「――なあ、太郎ならなんでもなれるのか?」

「ええまあ」

「それこそ、年代時空、関係なく?」

「はい。やっぱり岡本太郎になります?」

「ならねえよ! ……じゃあ、一つ頼みがある」

「ほい、ではどうぞ?」


 俺の意識は再び光に包まれる。そして――


     ※


「なあ、賢太郎」

 

 砂だらけの俺は兄の後ろをゆっくりとついていく。


「……何、にいちゃん?」

「兄ちゃんはな、いつだって、お前の味方だよ」


 俺が同級生にいじめられてるのを見かねた兄が、公園で砂だらけで泣いていた俺を探して見つけ、手を引いて帰る際中だった。

 兄はかっこよくて、強かった。

 スポーツマンで成績優秀、まさにできすぎ君だ。


「強くなりたいなら、強くしてやる。でも――お前が望まないなら、今のままでもなんとかしてやりたい。賢太郎は――優しいからな」

「……」

 

 本当に優しいのは兄だった。俺のことを思いやりながら、最善を尽くそうと常にしてくれていた。俺が望まないならそれ以上踏み込まないし、でも――絶対に見捨てようともしなかった。


「これから何があっても――お前の傍を絶対に離れないから」


 俯き答えない俺に、兄は立ち止まり、屈んで俺の手を強く握る。


「――嘘吐き」

「え?」


 俺は――その手を無理やり振り払うと、思いっきり兄に向けて、タックルした。

 その時だった。

信号無視したトラックがハンドルを急に切って、突っ込んできたのは。


「――ちゃんと生きろよ、俺より」


 俺の身体は――きれいに、空中に舞った。


     ※


「――満足ですか?」

「ああ」

 

 俺の意識は女神の前に戻っている。


「お兄さんの代わりに死ぬとか、美談ですねえ~……あ、すいません」


 俺が物凄く睨んでいるのを見て、女神は頭を下げる。


「――これでいいんだよ。大体、兄が生き残らなかったからその後の俺は針のむしろになったんだ。『お前が死ねばよかったのに』。今でも年百ぐらいで言われてるわ」

「うわあ……それは、そう思いたくもなりますねえ……いや、すいません」


 俺が露骨に舌打ちしたので、女神は再び謝る。


「でも良いんですか? アニメや漫画、見たいんでしょう?」


 前世のことを思い出す。

 兄が俺を突き飛ばし、その身体がトラックに撥ねられ宙を舞う姿を。


「読みたい漫画の先が読めないのは嫌だけど――その分は兄貴に読んでもらうわ」


 不公平は嫌だ。俺は結局その後の人生を無駄に費やした。出来る兄が何かするはずだった時間を、全部無為に使い込んだ。なら――その分は返さないと。


「さて、じゃあ大人しく死ぬことにするわ。俺は天国と地獄、どっちに行ったらいい?」


 これでもう思い残すこともない、と思って女神にそう言うと、奴はキョトン、とした顔をしていた。


「え? できませんよ?」

「はあ?」

「だって私、転生させる女神ですもの。完全なる死は元より取り扱っておりませんし」

「――じゃあ、どうすんだよ?」

「お望みの太郎が出るまで――このままではないですかねえ?」

「――もしや、それまでお前と」

「はい! 末永くお付き合いお願いしますね!」


 今すぐ、イキリ〇太郎かスマ〇太郎あたりにしてくれ、と言い掛けて――そういや正式名称じゃないと気付く。頼む! 一時的かWEB版だけ主人公の名前を置換してくれ! と俺はさくしゃに祈った。


   完





ただ思いついただけの短編。

ただしブクマがまかり間違って200件超えたらこの設定のまま続きを描きます(何

なので短編ではなく連載投稿になってます。

まあ超えないでしょうけどね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 次は「山田太郎」あたりは如何かな?
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