表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

救出

 奥で悲鳴が聞こえる中、グラディールらは話し合いを続けていた。しかし、流石にうるさいので彼女を引き上げた。

「それでだが、カイザーライヒオーガ救出をいつ行うのかだが、、、」

「あいつの救出が成功したら仲間になってあげる。ただし、救出に失敗したら私を解放してもらうから」

「どうしますか?」

 そうだなぁ、といい少々考え始める。やがて、考えがまとまり口を開いた。

「いいだろう。その賭け乗ってやる」

「そう来なくちゃね」

 その後のグラディールの行動は早かった。フェデリコクロコダイルを素早く捕獲し、クエスト報酬と有り金全てで食料を蓄えベルスコーに向かった。

 ベルスコーは魔法主義国家の名に恥じぬほど他の国より魔法を使った戦いや農業を得意としていた。また、凄腕の魔法使いや賢者などが魔王殲滅連合軍盟主の王政国家シュバルツェンの魔王討伐育成学校から送られてくることがある。よって襲撃を行う場合は準備をしなければならなかった。

 翌日、エーレに彼女の監視を任せ、一人でベルスコーに入国した。

 街内を歩きながら観察していると騎士団並びに魔術師<この国における魔法使いの軍人バージョン>以外立ち入り禁止と書かれた看板を発見した。その場には地下へと続く階段がありそうなハッチがあった。

 では、派手に暴れさせてもらうか。

 グラディールは騎士団が見張る立ち入り禁止区域に足を踏み入れて、見張りを殺した。それを見ていた一般市民らが騒ぎ始め瞬く間に国内全体に広がった。

 ハッチをこじ開け、中に入り最下層を目指し進むグラディール。しかし、簡単にはたどり着くはずがなく、この地下空間は収容所で、多くの罪人が魔法の実験にさせられ、中の牢獄で放置されていた。

 奇妙な生物が薄暗い牢獄で奇声を発しているが、その中でグラディールは正常な人の声を聞いた。耳を澄ませて聞いていると、グラディールの捜索をしているようだった。

 これは、早急に事を終わらせねば帰還できなくなるな。

 迷路のような収容所内を進み階段を発見しては下へ、下へと降りていく。しかし、最下層には多くの騎士らが待っていた。

「貴様、何故人類を裏切り、魔族の味方をする?」

「簡単なことだ。我が新生魔王軍を造るためだ」

 そういい放ち、騎士の鎧の隙間に手を突き刺し、そこから相手の魔力、生命力を吸い取り自身の力に変換していく。その間に騎士らはグラディールを包囲し盾を突き出し、完全防御体制に入った。

「彼らの目を奪え、フィンスター」

 グラディールは一時的に相手の視界が暗黙になる闇魔法を使い、何も見えず、聞こえずの状態になった騎士らの力を吸い尽くした。

 そして、カイザーライヒオーガの場所にたどり着いた。彼の体中には多くの傷跡があり、百戦錬磨の戦士だったことが分かる。

「さあ、ここから抜け出すぞ」

 グラディールはカイザーライヒオーガの鎖を筋肉式で解除し、彼を肩に担いだ。そして、来た道を全速力で走った。

「貴様はあの時の人間か。どうして助けにきた?」

「我はこの世界の魔王を蹂躙し、新たなる魔王軍を再建する魔王だ。今はこの人の体だが、いつかは完全な魔王へと変貌する」

 そうこうしているうちに、階段を駆け上り、壊れたハッチの目の前までやって来た。しかし、その直前でグラディールは立ち止まった。

 大量の魔力反応がハッチ外に多く存在するな。このまま行け蜂の巣だろう。これならどうだ!

「アマテラスよ光を増幅し、敵に災いを降り注がせろ。シュタイガーン・ブリッツ」

 グラディールは最初に何の変哲も無い光る玉を打ち上げた。その玉は一定の距離を進んだ後に停止した。そして、グラディールは最大出力のエネルギー弾をその光る玉に向かって撃つ。

 エネルギー弾は光る玉に吸収された。そして、雨のような感覚でエネルギー弾が降り注いだ。騎士らは盾を構えるがお構いなしに盾ごと体を貫通し街中に被害を拡散した。

 ハッチ周辺に居た騎士らは全滅し、魔術師は少数が致命傷を避け生きながらえていた。ベルスコーは完全に国家としての機能が行えないほど崩壊した。

 その中は歩きながら去るグラディールの姿は生き残った魔術師から幻影の悪魔<トルーク・ビルト・トイフェル>と呼ばれた。

 グラディールはエーレ達と合流し、彼女にカイザーライヒオーガの救助の成功を報告した。

「っち。まぁ、いいわ。今日からよろしく。私の名はエンシェント・フェルディナント・ペンドラゴン。貴方が運んできたのは、カイザー・シュルペンスト・フェイルだから」

「我はグラディール。人の名はアレックス。家名は捨てた。こっちはエーレ。見てのとおり獣人族だ」

 エーレは一礼と共によろしくといった。ペンドラゴンも一礼しこちらこそ、という。

「これからの目標だが、とりあえずは最前線を離れ、内地に向かうぞ。もうあの国家の機能は完全に停止した。情報伝達しようにも最低三ヶ月は掛かる見込みだ。その間になるべく内地へと向かい姿を消すぞ」

毎日が忙しいクソ雑魚ナメクジのまきゆづだよ。俺は鉄火団団長オルガ=イツカだぞ。決して止まるものか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ