会議
「で、独立するのはいいんだけど現状で独立した所で拠点はどうするの?あなたについてくるのは少数派だ。いくらお前や私らが強かろうと数で押され疲弊したら終わりだ。多くの人や魔族から支持をどうやって得るのだ?」
ヘレナが次々と問題点を喋っていく。グラディールは大体の問題の解決策の考案を終了させていた。彼自身も何もかもが初めてで、このような二つの勢力が戦争中で尚且つこの二つの勢力の共存を望んでの独立。グラディールはとにかく現状を楽しもうとしていた。
「とにかく、注目を集める事だ。我の知名度を上げる。次が重要だ魔族や魔物を徹底的に不殺を行う。魔族は力の差を見せ付けると、よく記憶する生き物だからな。我の力を証明できれば君らと行動しても怪しまれないだろう。拠点についても目処はある」
「不殺ね怪しまれそうだけど、あんたならうまくやれそうよね。それと、力の証明をするなら一年以内にしろよ。私たちは今年で修業が終わるから。知名度はその後でもあげれるから」
問題点を一つ一つ潰しながら話していると、グラディールの部屋の扉が開かれた。扉をみると申し訳なさそうにグラディールを見上げるマナだった。
「すいません、お話の最中でしたか?」
「気にするな、「ちょっと待ってアレックス!?誰この子?」」
マナとグラディールの間に入るベル。その表情は犯罪者をみるような目であった。
「奴らのホムンクルスだ。今はもうただの人だが、記憶が無いようだから俺が預かっている。それでだが、用事はなんだマナ?」
マナは空腹を抑えるように腹部を押さえながら、少し恥ずかしそうに口を開くのだった。
「お腹が空きました。何か食べるものはありませんか?」
ヘレナが腰にチェーンで付けている銀時計に目をやると、時刻が既に午後8時ぐらいになっていた。今日はイベントが盛り沢山だったのと、この真剣な会話で意外と空腹感が出なかったが、急な空腹感が全員を襲った。
「折角だからみんなで食事なんかどう?こんな会話は外ではできないけど、それにアレックス「グラディールと呼べ」・・・それが人に物を頼む態度?昔は可愛かったのに今じゃこんな私よりも身長が高くなって。そのことは追々で、みんなでご飯を食べましょ」
ベルはグラディールとマナの腕をひっぱり、寮の外へと向かって歩き出した。その後ろにみんなが付いてくる。
外食かと思いきやベルに引っ張られて到着した場所は食堂だった。理由は安くて、美味しくて、量が多いからだった。
「で、なんでアレックスはグラディールなんて名乗ってるの?別にアレックスっていい名前じゃない。両親泣いちゃうよ?」
「それは私の前世の名前がグラディールだったからだ。別にこれといった理由はない。それにしても、今日のヘレナの動き方は凄かったな。戦術家としての才はある」
「何回斬りつけても直ぐに再生するあんたがおかしい。勝ち目が無いじゃんそんなの。今度勝負するときは十回斬りつけたら私の勝ちだからな」