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決意

 マナを部屋に残し、全員は話し合っていた。その会話はこの世界におけるホムンクルスであった。グラディールの世界では人類が魔族の心臓を魔力を生成し蓄えるだけの物とし腹部に植え付けることをホムンクルスとしていた。

「こっちの世界でのホムンクルスか・・・。わからんな、俺はそもそもそう言うのに疎いと言うよりかは、わざわざ人間を使う時点で魔族の威厳が霞む。俺は使いたくは無いな。魔族自身で潰してこそ満足の得られる」

「私は知らないわよ。一言言えるのは魔王軍が落ちぶれたって事だけね」

 二人の返答を聞くと少しため息を吐くグラディール。エーレに目をやるも首を横に振るだけだった。

 そんな中、騎士王とベルがグラディールに会うために喋りながら歩いていたところと鉢合わせする。

「どうしたのみんな?部屋の外で話して?」

 疑問を問いかけるベルに彼女なら知っているはずだと思いホムンクルスの概念について問いかけるために口を開く。

「ホムンクルスって知ってるか?」

「ホムンクルスですね、知ってます。非人道的って言われて行われてないませんが、簡単に言えば魔族の心臓を魔法適性の高い幼子に植えつけて育成して兵器にするって言うあまり気が良く無い物です」

 ホムンクルスについて語るベルにグラディールは感謝の気持ちしかなかった。

「ありがとう」

「気にしないでください。私だって以前お願いしたステータスカードを見させてもらうために来たのですから。これくらいはお安い御用です」

 彼女はそういってステータスカードを受け渡しを促すように右手を差し出した。

「これが我のステータスカードだ」

 グラディールはポケットに手を突っ込み空間保存魔法内からステータスカードを持ち出し、ベルに渡す。

「えっ・・・アレックスなの?嘘でしょ・・・こんなステータスの貴方がどうして?」

 自分を負かした相手がかつての幼なじみだと知る。しかし、それ以上に以前見せてもらった時から何一つ変わってないステータスに驚きを隠せていなかった。

 騎士王もグラディールのステータスカードを見る。全てが子供レベルのステータスに騎士王は検証装置の故障ではなく彼のオーバーすぎた力が計測できていなかったと結論付けた。

「ベル、そして騎士お「ヘレナだ」・・・ヘレナ聞いてくれ。今から重大な事を言う。俺は魔族と人類が共存できるんじゃないかと思っている。それを実現するには君たちの力が必要だ。人類の代表として」

 とても、そうとても長い沈黙が訪れた。この会話は盗聴されないように既にグラディールによって入念に準備されていた。彼らの喋っている事は周囲からは全く別の話をしているように聞こえるようになっていたのである。

「私たちに人類を裏切れって事?」

「いや違う。このまま行ったとしても、魔族と人類に大きな溝ができたまま時が進み、互いが必要以上に疲弊した挙句双方のどちらかが絶滅するまで争い続けるだろう。しかしだ、この争いを望まぬ者も魔族と人類にもいる。なればこそ我々が立ち上がらなくてはいけないのではないのかっと俺は思っている」

「私とベルに人類の指導者になれと言うのか?」

「違う。魔族と人類の指導者となるのは俺だ。ベルとヘレナはそれの手伝いをして欲しいだけだ」

 また長い沈黙が訪れる。

「アレックス、教会のときにした約束覚えてる?」

「魔物がきたら守ってあげるだったな。我にとって魔物は人類も含め愚者を指す。無知は愚かな事だ。知らぬ事を知ろうとしない事も愚かだ。偽の情報を掴まされ踊る愚か者だ。他人を道具としか思わぬ者も愚かだ。だから、我が元で作る統一国家は魔物は絶対に生ませない」

「アレックスにとって魔物はそうなんだね。なら私は約束を守るよ。アレックスに付いていく」

「ベルはそちら側につくのか。知らない事を知ろうとしない事も魔物か・・・。決めた。私も付いていくよ。私は魔物になりたくないからね」

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