この世界でのもう1人の私
私は健一さん、イリアス、キョーヤと共に下界へ降りました。
「ここが下界…」
「そういえば、健一さんは今回初めての下界でしたね。どうですか?初めての下界は?」
「早ク仕事シロ」
「少しくらいは良いではないですかイリアス」
もう、いつもいつも厳しいのですからイリアスは。今回はキョーヤも居ますし、大事件にはなっていますがどうにかなるでしょう!謎の根拠と自信で今回ものりきります。
「のんびり観光をしたいとは思うが、そうはいかないようですよ、当主様。」
キョーヤと一緒に後ろを振り返ると、お師匠様の秘書がいるじゃないですか!何で!どうして!
「監視役として、当主様の活動を確認するためでしょう。今回、本当は別の者に任せようという案が出ていたようです。ですが、始めから当主様にしか出来ない仕事だと分かっているので、最後は押しきられてしまったようです。」
うう、怖い。これではせっかくの下界が楽しめない…いや、楽しめる…?お仕事を無事に終わらせたらご褒美に楽しんでも良いのではないのでしょうか!!よし、頑張ってあの怖い秘書さんに確認です。
「あの~教えていただきたい事があるのですが、良いでしょうか?」
「聞かれずとも、顔に出ております。観光は駄目です。そもそも我々は、下界に干渉すること自体禁止行為です。下界の者に姿を見られる度に記憶を消す事になる我々の身にもなってもらいたい。だいだいですね、この下界に行く」
「そこまででよろしいのではないでしょうか。では、任務に向かいましょう当主様。ほら、健一も荷物を持つのを手伝え。」
「ああ。9代目。ここに来られただけで十分だ。気にするな。まずは任務に集中した方が良い。」
「うう…はい。」
「無能ガ、当タリ前ダ」
うう、気を遣われてしまう。皆に気を遣われている。物凄く落ち込んでいます。ですが、はい、集中します。
「あの、秘書さん。つかぬことをお聞きしますが、かなり歩いています。目的地はもう少し先でしょうか?」
「いえ、目標地に座標を合わせて下界に降りました。」
「という事は、誰かに妨害された。というのが確実だ。9代目様に偉そうに言う事は出来ても、結局は無能の集団という事か。」
「健一さん、言いすぎです。」
「いえ、事実を述べているまでです。どうせ、9代目様を引きずり下ろしたいからこういう手にはまったのではないか?」
「健一さん!」
駄目です、何故私の代わりにそこまでして怒るなんて。私はそれを望んでいません。健一さん達にご迷惑がかかってしまう。
「そうだね、此方としても今の君達は信用出来ないのは事実だ。当主様も、健一も充分役目を果たしている。それなのにこうまで妨害が酷いと、ちょっと僕も我慢が出来なくなるかな。君なら知っているよね?怒らせた時の僕を」
「キョーヤまで!落ち着いてください。お願いですから。もう少し先に気配を感じます。なので、頑張って歩きましょう!ね?」
「失礼しました当主様。では参りましょう。」
こんなにギスギスした時間をいつまで続ければ良いのでしょうか…早く終わらせたいです。ここからだと、まだもやっとした感覚でしか感じ取れない。もっと先、何か良くない怖い気配を感じます。いつもならこんなに怖い気配にはなりません。もしかして、封印が良くない方法で解かれたのかもしれないです。
そして、私達はしばらく歩き、とある広い場所に着きました。ここは…何でしょう?子供が多い。子供の遊び場でしょうか?でも段々と、もうすぐそこまでっ?!今?!ここに居る?!
「感じます!ここに居ます!これは…破壊された影響?でしょうか?いつもより禍々しい感覚です。皆さん、警戒してください!」
ガサガサと緑の葉が揺れている。風も吹いていないのに、この広場全体の空気が。誰?どこに居るの?
「そこっ!」
私は広場の右端の角に走り出す。この感じは間違いありません。早く!早く封印しないと!
「当主様、先に行きます」
「キョーヤ!抑え込みをお願いします!」
私も、キョーヤが先に前に出て抑える為の術を展開し終えるまでに向かわなければ!
「えっ…?」
「へっ??」
「当主…様…?」
ん?今、キョーヤが私の事を言った?でもこっちを見ていない。何?何があったの?今着きました!
「ふぇ??」
そこにはもう1人の私が隠れるように座り込んでいた。いったいどういう事なの?




