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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第10章 終の要塞 ――カオス支部・上空――
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第39話 実験台の逆襲

 パトラーが俺の後ろに回る。それは俺の目にも留まらぬ速さだった。サイエンネット・タイプ4=ウィルスの力か。忌々しい。

 俺は後ろを振り返り、ラグナロク魔法を纏った火炎弾を連続して飛ばす。だが、彼女の姿は一瞬にして消え去る。

 次の瞬間、俺の腹に何か硬いモノが撃ち込まれる。俺の身体は遥か後ろに吹き飛ばされる。口から血が飛ぶ。


「ぐッ……!」


 パトラーが追撃とばかりに俺を追って来る。かなりの速度で吹き飛ばされているのにも関わらず、彼女は俺に追いつく。その手にはラグナロク魔法が纏わされていた。


「チィッ!」


 俺はラグナロク魔法を纏った斬撃を何発も飛ばす。当たれば、常人なら身体が真っ二つになるほどの威力を誇る。いや、小型飛空艇ぐらいなら真っ二つになるだろう。

 だが、パトラーは目に留まらぬほどの速さを持つ。それを避ける。いや、避けた“らしい”というのが適切か? 彼女の姿は突然消えた。


「…………」


 俺は後ろを素早く振り返り、パトラーの拳を拳で受け止める。激しい衝撃波が飛散する。お互いにすぐ離れ、何度も空中で拳を交える。お互いの身体が幾度となく弾き飛ばされる。

 そのとき、後ろから一筋の電撃が俺の胸を貫く。鋭い痛みと痺れが身体を走る。俺はそこから下に向かって飛び、上に向かって電撃を迸らせる。


「…………!」


 パトラーは電撃を避ける。だが、サレファトは避けられなかった。彼の身体を電撃が包み込んでいく。このままその身体を砕いてやろう……!

 だが、苦痛の声を上げるサレファトをパトラーが抱きかかえて飛び去る。そのときに彼女の身体にも電撃が直撃する。


「クク、使えない道具が一緒だと困るな」


 俺はまた群がってくる大勢のクローン兵たちに向かってラグナロク魔法を纏った大型の衝撃弾を10発近く連続で飛ばす。

 大型の衝撃弾は着弾と同時に大きな爆発を引き起こす。次々と腹に響く爆発音が起こり、何百人ものクローン兵たちが弾き飛ばされる。


「…………!」


 衝撃弾の爆発によって舞い上がった煙の中から、俺の胴を目がけて3発の斬撃が飛んでくる。黒色の斬撃――ラグナロク魔法を纏った強力な斬撃だ。斬撃の存在に気付いたのが遅すぎた。俺はその速さに避けられず、3発とも正面から喰らってしまう。


「うッ……!」


 煙の中からパトラーが飛び出してくる。彼女はサブマシンガンで銃撃しながら、俺に向かって来る。銃弾はいずれもラグナロク魔法を纏っていた。1発が飛空艇の壁に風穴空けるレベルの銃弾だ。

 パトラーはラグナロク魔法を纏った拳で、俺の顔面を殴りにかかる。俺はその場から弾き飛ばされ、遥か上空へと打ち上げられる。

 だが、このとき、俺は反撃をしていた。パトラーの身体に3発の斬撃を飛ばしていた。至近距離での斬撃。避けられていなかった。


「ククク、まだ追ってくるか……」


 血を流しながらも、彼女は下から猛スピードで上ってくる。気が付けば、カオス支部の遥か上空にいた。クリスター政府軍の大型飛空艇が下に見える。

 俺は剣を抜き取り、刃に紫色の炎を纏う。パトラーが斬撃を飛ばしてくる。今度はかなりの距離がある。避けることもできるが……。俺は剣で斬撃を掻き消す。剣同士が触れ合ったかのような音が何度も鳴り響く。


「国際政府議会の重鎮議員だったお前の父親は、本当によくやった。俺の黒い夢に勘付き、あらゆる方法で邪魔立てしてきた。賢い男だった」

「…………」


 パトラーは何も言わずに剣を抜き取ると、俺に何度も激しく斬りかかってくる。相変わらず超人的な速さだ。俺は防戦一方になってしまう。


「クラスタ、メタルメカ、ケイレイト、コマンド、ウィンドシア、――そして、フィルドとお前。道具ばかりの世界で、唯一道具にできなかった」


 俺は炎を纏った剣を勢いよく振る。炎を纏った斬撃が飛んでいく。これを喰らえば、身体の中から焼き尽くされて死ぬ。パトラーは炎の斬撃を剣で弾き飛ばす。斬撃は宙に上がり、消えていく。その間に、俺は衝撃波を剣に纏う。


「だが、利用することだけは出来た。アレのおかげで、お前を捕まえ、実験台にする事が出来た。あの男は一度だけ、俺の役に立ったのさ」

「…………!」


 一瞬、パトラーは動揺した。やはり動揺したか。俺は彼女の隙を突いて、剣を振り降ろす。衝撃波を纏った斬撃が飛んでいく。彼女はそれを剣で防ぐ。――判断の誤り。


「ライト=オイジュスの元に送ってやろう」


 斬撃は掻き消せた。だが、衝撃波は彼女の剣に触れたことで爆発した。爆発で弾き飛ばされ、彼女はバランスを失う。剣が手から離れる。俺は彼女を追う。その右手にはラグナロク魔法が色濃く纏われていた。

 パトラーは魔法シールドを強化する。俺はそんな彼女のすぐ側で空間を殴る。空間が歪み、激しい爆発を起こす。その衝撃で彼女の身体は銃弾のごとく飛んでいく。


「さて、念のために死体をバラバラにしておくか」


 パトラーの身体は白地に青いラインが入ったクリスター政府軍の大型飛空艇に突っ込む。飛空艇の壁を砕き、中へと突っ込んでいく。俺は彼女を追い、その飛空艇へと向かう。


「フィルド、呑気に寝ている間に、弟子が死んだらどうする? ククク、ハハハ!」


 俺は笑い声を上げながら、穴の開いた飛空艇へと飛び込む。穴の奥に、血まみれで横たわるパトラーの姿があった。すでに意識はなかった――

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