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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第10章 終の要塞 ――カオス支部・上空――
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第38話 クローンの逆襲

 クリスター政府特殊軍精鋭部隊の管理官シリカ大将。かつては連合政府の人間でありながら、連合政府に対してクーデターを企てた愚か者。しかも、その後は連合政府の首都付近でフィルドと共に反乱活動を続けた。

 手に剣を握ったシリカが小型ジェット機で飛んでくる。その側にはクーデター仲間のオリーブとハーブまでいる。クーデター三人衆。連合政府崩壊の一翼を担った事は間違いない。


「ククク、クリスター政府は居心地がよいか?」


 俺は斬りかかってくるクローン兵8人を纏めて電撃で吹き飛ばしながら言う。


「お前の連合政府と比べたら、天と地の差だ」


クローン兵の1人が俺を胸を剣で刺す。クローン兵の1人がアサルトライフルで俺の背中に銃弾を浴びせる。クローン兵の1人が火炎弾を俺の腹に撃ち込む。


「ククク、そうだろうな……」


 俺は勢いよく両拳で左右の空間を殴る。殴られた空間が徐々に歪んでいく。次の瞬間、左右で凄まじい轟音が鳴り響き、強烈な衝撃波が巻き起こる。一瞬のうちに何百人ものクローン兵が吹き飛ばされる。

 衝撃波によるダメージを受けながら、シリカが俺の下に飛び込み、剣で俺の身体を貫く。更にオリーブが俺の右胸を、ハーブが左脇腹を剣で貫く。


「お前たちを道具にした生みの親――連合政府のことはさぞ憎いだろう?」

「その支配者がお前だ!」


 シリカが腰に装備していたハンドガンで、俺の頭を撃ち抜く。俺はのけ反りながら、両手を前に突き出す。電撃を迸らせ、ハーブとオリーブを弾き飛ばす。


「ハーブ! オリーブ!」

「ククク、仲間の死をそこで見ていろ」


 俺は黒い斬撃を飛ばそうとする。だが、そんな俺の頭にナイフが突き刺さる。……左斜め前にヴィクターが飛んでいた。彼女は魔法で半透明の紫色をしたナイフを造り出し、それを俺に向かって投げた。


「甘く見るな。俺もただの人間じゃない」

「……………!?」


 俺は頭に刺さったナイフを抜き取り、それをヴィクターに投げ返す。ナイフは回転しながら、持ち主の腹に突き刺さる。ヴィクターは血を吐きながら、下へと落ちていく。その身体を別のクローン兵が抱き留める。アレが死んだのかどうかは知らないがまぁいい。アレもオリーブらも小物だ。


「クッ、よくもヴィクターたちを……!」

「小物への気遣い。道具たちにとってはありたいことだな」


 俺はシリカの残った目に狙いを定め、銃弾のようなラグナロク魔法弾を飛ばす。これで両目を失うことになるな。


「……………!」

「シリカ閣下!」

「…………?」


 シリカの身体が弾き飛ばされる。超能力の打撃だろう。魔法弾はシリカの左頬をかするだけに終わった。打撃の飛んできた方向に目をやると、そこにはコミットとサーラがいた。


「今度はお前たちか」

「アレイシア将軍の仇を討たせて貰いますっ!」


 コミットとサーラが飛んでくる。

 あの2人もシリカと同じく連合政府のクローン兵だった者たちだ。アレイシアという連合七将軍の地位にあったクローン・コマンダーの部下。


「アレイシアの仇だと? 勘違いするな。アイツを殺したのは俺じゃないぞ」


 サーラは両腕をガトリングガンに変異させ、勢いよく銃弾を撃ち飛ばす。何十発という銃弾が凄まじい勢いで俺の身体を貫いていく。


「アレイシア将軍から連合七将軍の地位を奪い、散々拷問してその心を壊したのは紛れもなくあなたです。そのせいで将軍は――」

「あ、ああ、そういうことか」


 俺はその場から上に向かって飛ぶ。飛びながら数人のクローン兵を電撃で殺す。


「待て!」


 コミットとサーラが追って来る。俺は血を吐き捨て、2人に向かって電撃を迸らせる。だが、2人は素早くそれを避ける。劣化クローンでも、そろそろ攻撃パターンを学習したか?

 俺は両腕を上げる。再び身体からラグナロク魔法の雲を巻き起こす。それは俺の身体に巻きつきながら上っていく。両腕から空に向かって飛んでいく。


「……………!?」


 漆黒色のラグナロク魔法の雲は空高く上がると、バラバラになって何千もの小さな粒子を形成する。月明かりの夜空に、黒い塊が舞い散る。


「ククク、ハハハハ!」


 俺は両腕を降ろす。それと同時に黒い粒子は一斉に落下してくる。粒子とクローン兵の身体が触れ合う。その途端、小さなそれは大きな爆発を起こし、四方八方に電撃を迸らせる。爆発と電撃で被弾したクローン兵とその周りにいるクローン兵に大きなダメージを与える。


「いやぁッ!」

「あぐッ!」

「うわあぁッ!」

「シリカたいしょ、助け――」

「痛いッ!」


 何千ものクローンの悲鳴が上がり、辺りはパニックに陥る。逃げ惑うクローン兵ども。だが、降り注ぐ粒子は何千とある。逃げても、また別の粒子にぶつかり、爆発と電撃を引き起こす。

 俺はシリカとコミットらに向かって飛ぶ。ぶつかる粒子は吸収されていく。3人は――いや、2人か。今、サーラが粒子にやられ、カオス支部の屋上に倒れる。残りの2人は慌てて戦闘態勢に入る。


「遅い!」


 俺は電撃で2人を弾き飛ばす。2人は粒子を背に受けながら、カオス支部の屋上に叩き落される。運のいいヤツらだ。もし、屋上じゃなかったら、地面まで落ちていき、命はなかっただろう。


「がッ、はぁッ……!」

「パ、パト、フォーっ……!」

「う、ぁッ……」


 3人は瀕死になりながら、もう一度立ち上がろうとする。クク、死にたがり屋なのか? いいぞ、トドメを刺してやる。

 だが、瀕死の3人の前に別の人間が立つ。――パトラーとサレファトだ。ほう、今度は“コピー”ではなく、人間が出て来たな。


「シリカ、サーラ、コミット、後は私たちがやる」

「パ、パトラー中将っ、申し訳あり、ませんッ……!」


 パトラーとサレファトが小型ジェット機を背に、戦場の空へと飛び上がる。このとき、粒子の雨はもう止んでいた。


「俺が待ちに待ったサイエンネット・タイプ4=ウィルスを奪った張本人が出て来たな」

「……お父さんの仇を討たせて貰う」

「ライト=オイジュスか。すぐに送ってやるさ、お前の大好きな父親の元へな!」


 俺はパトラーに向かっていく。パトラーも俺に向かって来る。

 フィルド、お前の可愛い大切な弟子を今こそ殺してやる。お前が寝ている間に、弟子は死ぬ。ククク、どんな気分がするだろうな。お前に会うのが楽しみになってきたぞ――

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