表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第9章 白の窮地 ――連合軍・カオス支部――
32/45

第31話 シールド島のカオス支部

 【シールド島 アニマ遺跡(カオス支部周辺)】


 シールド島はハーピー諸島の一番西に位置する島だ。この島は遠い昔、ハーピー族の小国があったらしい。その時代の遺跡がアチコチに残っている。荒れ果てた石造りの遺跡には誰もいない。風が寂しく通り抜けるだけ。

 私は遺跡の広場に小型戦闘機を着陸させ、シールド島に降り立つ。自分の名前――“パトラー=オイジュス”と小さく刻まれたサブマシンガンを手に、月明かりのみの遺跡を歩いていく。


「…………」


 シールド島にあるカオス支部。ネストール筆頭大将の管理する施設だ。恐らくほとんど兵はいないだろう。カオス支部にいた軍勢は、スカイ島のスカイ支部にいる。スカイ支部からコマンドやパトフォーらと共にシリオード大陸に向かったハズだ。

 月明かりを頼りに、私は草木の多い色あせた遺跡を進んでいく。遺跡の多いシールド島の中心地にカオス支部がある。

 コマンドとパトフォーはフィルドさんやソフィアが何とかするだろう。私はネストール筆頭大将をこの手で殺す。そして、ネオ・連合政府は崩壊する。それはつまり、ラグナロク大戦の終わりを意味する。あと少しだ――





 【シールド島 カオス支部】


 私は崩れかかった遺跡の中から、鋼の黒い城壁に囲まれたカオス支部を窺う。城壁自体はそんなに高くない。衝撃波を纏って飛べば、軽々と越えられそうだ。

 カオス支部自体は大きな施設だ(とは言っても、エアロ支部とほとんど同じぐらいだけど)。あそこにネストールが、そして……


「…………?」


 カオス支部の正門。細身の黒い人間型ロボットが数体いる。バトル=アルファに似た感じのロボットだが、少し違っている。腕が4本もある。上2本の腕に至っては関節が2つもある。あんなロボットは見たことがない。

 でも、ここで留まっているワケにはいかない。私は腰に装備していたサブマシンガンを手に取り、そこから飛び出す。


[敵だ!]


 サブマシンガンから数発の銃弾が放たれ、それが1体のバトル=アルファらしきロボットを撃ち壊す。そこでようやく他のロボットたちも私の襲撃に気が付く。


[殺せ!]

「…………!」


 残った5体のロボットたちは一斉に空中に飛び上がる。背中に小型ジェット機が装備されていた。4本の腕は腰に装備していたサブマシンガンを手に取る(私と同じ武器だ!)。

 私はサブマシンガンで空に飛び上がった戦闘ロボットたちを銃撃する。だが、動きが早い。銃弾は真っ暗な空に消えていく。

 空を旋回していた戦闘ロボットたちが私に向かって突っ込んでくる。4つの銃口から連続して放たれ、私に向かって飛んでくる。


「…………」


 無数の銃弾が私のいた場所を撃ち抜く。このとき、私は城壁の上にいた。ほぼ一瞬で城壁の上に辿り着いた。パトフォーによって無理やり感染させられたサイエンネット・タイプ4=ウィルスの力だ。

 私は私に向かって下から飛んでくる戦闘ロボットに手をかざす。縦に真っ二つに、左から右にかけて斜めに、上半身と下半身で、首と胴で。4体の戦闘ロボットがそれぞれ斬れ飛ぶ。超能力の斬撃だ。

 だが、1体を逃した。その機は私に向かって来ず、カオス支部の敷地内へと消えていった。私の襲撃を報告しに行ったか……。


 私は城壁から敷地内へと降り立つ。敷地内の地面は黒色のコンクリート製。一定の間隔をあけて、青白い光が絶えず上がっている。奥には大きな建物がある。その建物周辺には何もない。恐らくは上陸艦が停まっていたのだろう。――ここが連合軍・カオス支部。

 建物の方からさっきの同じタイプのロボットが何百体と走って来ている。飛んできているロボットも無数にいる。アレを全部相手にするのは大変そうだ。


[殺せ!]

[撃て!]


 1体につきサブマシンガン4つ。しかも飛行機さえ持つ。バトル=アルファとは比べものにならないほどの戦力を持っているな。今、こうしている間にも銃弾が私のすぐ側をかすめる。

 私は地面を蹴り、そこからカオス支部の方へと向かっていく。飛んでくる銃弾をぎりぎりのところで避ける。両手にラグナロク魔法を纏い、触れるロボットを砕き壊していく。


「……っ、と」


 十数体のロボットを壊しながら、私はカオス支部の正面出入り口へと降り立つ。ラグナロク魔法を纏った手で大きな鋼の扉を殴り壊す。扉は大きな音を立てて吹き飛ぶ。

 扉を壊した私は、そこから再び飛び、カオス支部へと入っていく。黒の目立つ施設内。壁や天井には配管が剥き出しになって取りつけられている。明かりも少なく、正直言って薄暗い。しかも廊下は狭く、すぐに曲がり角に出くわす。


[敵だ!]


 また、4本腕の戦闘ロボットに出会う。今度は4体だ。ただ、室内ではさすがに飛ばないらしく、普通に銃撃してくるだけだ。私は彼らの側を通り抜け、後ろに回る。その途端、4体全てのロボットは倒れる。上半身と下半身が分かれていた。この調子じゃ、ネストールのところには楽に行けそうだ。



◆◇◆



 【カオス支部 最高司令室】


 カオス支部最高司令席に座ったわたしは、スクリーンに表示される監視カメラの映像に注視していた。侵入者はパトラー=オイジュス。サイエンネット・タイプ4=ウィルスを有する世界唯一の女性。彼女の実力はあのフィルド=ネストさえも超えるとウワサがある。


「新型兵器の“バトル=カスタム”も全く役に立たない。さて、どうしたものか……」

[ネストール閣下、“バトル=オーディン”を差し向けては如何でしょう?]

「それもそうだな。バトル=オーディン程度で勝てるとは思えぬが、何もやらないよりかはマシだろう」

[それでは……]


 バトル=タクティクス・ファイヴズが左腕に装備した通信機で連絡を取る。バトル=オーディンは最強クラスのロボット兵器だ。ただ、パトラー=オイジュスの強さはそれを上回っているだろう。それぐらいはわたしにも分かる。


「……ネストール閣下、侵入者がパトラー=オイジュスというのは本当ですか?」


 わたしの後ろから半身機械の男が話しかけてくる。黒い装甲服を身に纏う彼はそっと跪く。その頭部は半分以上が機械化されていた。


「俺をこんな姿にしたのは紛れもなくパトラー=オイジュス。復讐の機会をお与え頂ければ、必ずやあの女を殺してみせます」

「…………。……いいだろう、グラボー少将」

「ありがとうございます……!」


 グラボーは白いマントを翻して最高司令室を去って行く。


[ネストール閣下、よろしいのでしょうか?]

「…………」


 グラボーがパトラー=オイジュスに勝てるハズもない。だが、万に一でもダメージを与えられればそれでいい。なぜなら――



















































 ――バトル=オーディンも、グラボーも、そしてわたしも、今日ここで死ぬことは確定しているのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ