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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第8章 黒の虚構 ――ハーピー海上――
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第30話 決着の付け時

「フィルド、どこへ行く気だ!?」


 剣を腰に装備し、超大型飛空艇旗艦プルディシア艦の廊下を歩いていく私に、アーカイズが声をかける。


「……シールド島のカオス支部に私の弟子がいる」


 ストーム城にいたとき、パトラーから通信が入った。彼女はシールド島のカオス支部に向かったという。シールド島はハーピー諸島最西の島だ。その島にあるカオス支部には、七将軍筆頭のネストール大将がいる。そして、恐らくはパトフォーもそこにいる。


「倒れたのを忘れたのか?」

「…………。……艦隊が出発したスカイ島にはまだ多くの連合政府勢力が残っている。指揮官はバトル=タクティクス・フィフスらしいな。あとは頼んだぞ」

「……死ぬぞ」

「…………」


 私はアーカイズの制止を振り切り、殺風景な廊下を歩いていく。これからプルディシア艦のプラットホームで小型機に乗り、カオス支部に向かうつもりだ。窓を見れば、もう日が暮れようとしている。朝方に倒れ、夕方まで意識を失っていた。ちょっと寝過ぎたな。


 これまでも何度か倒れたことがある。原因は分かっている。魔法の使い過ぎだ。ハーピー島からエアロ島、ウェポン島、ブラッド島、ストーム島と、あまりに激しい戦いが連続しすぎた。多くの戦いで私は強力な魔法を乱発しすぎた。

 魔法は無限じゃない。魔法は私のエナジーを使って生成される。つまりは命を削って生成しているようなモノだ。……魔法を使い過ぎると、私は死んでしまう。

 本当はしばらく休むべきだ。そんなことは分かっている。だが、状況がそれを許さない。カオス支部にはパトラーが行っている。そして、パトフォーもいるだろう。パトラー1人じゃ、パトフォーに勝てない。返り討ちにされるだけだ。


 私はプルディシア艦のプラットホームに辿り着くと、デルタ型の小型戦闘機に乗り込む。連合軍の司令艦に乗り込んだ機体と同じタイプのものだ。

 小型戦闘機を起動させ、プルディシア艦から飛び出す。全速力で西へと、――シールド島のある方向へと飛んでいく。


「パトフォー、そろそろ決着を付ける時だな……」


 もう、パトフォーと戦い始めてどれだけの月日が経過しただろうか? 彼と初めて出会ったのは13年も前だ。あの日、パトフォーは私を実験台にした。サイエンネット・タイプ1=ウィルスに感染させられ、私は普通の人間ではなくなった。

 サイエンネット・タイプ1=ウィルスに初めて適合した人間。それが私だった。パトフォーは自身にもそれを適合させることが出来るようにウィルスを改良すべく、私のクローンを作り始めた。私のクローンを実験台に、ウィルス改良を進めていった。

 改良に改良を進め、遂にサイエンネット・タイプ4=ウィルスが完成した。その最初の実験台にされたのが、私の弟子――パトラーだった。彼女はパトフォーの思惑通り、ウィルスに適合した。彼女もまた普通の人間ではなくなった。

 だが、実験のさ中にパトラーは眠りから目覚め、パトフォーや連合政府所属のクローン兵たちに襲い掛かった。その結果、施設は混乱に陥り、彼はタイプ4・ウィルスを失った。


 私とパトフォーとの長らく続いた戦いは終わろうとしている。恐らく、私が次にプルディシア艦に戻るとしたら、それはパトフォーに勝ったときだろう。戻らなかったときは、私の死と敗北を意味する――


























◆◇◆




























 【シールド島 カオス支部 最高司令室】


 やはり直接、俺がやるしかないか……。

 薄暗いカオス支部の最高司令室に座る俺は、ぼんやりとそんなことを考えていた。結局、作戦は失敗した。フィルドは司令艦から無事に脱出した。


「時期にフィルドがやってくる。応戦の準備をしておけ」

「はい、パトフォー閣下。……しかし、このカオス支部は兵力も少なく、もはやクリスター政府とマトモに戦うことはできません」

「フィルドはまた単独でやってくる。ここの部隊が彼女を始末できなければ、この俺が直接始末してやるさ」

「分かりました……」


 黒いスーツを身に纏った男――連合七将軍筆頭のネストールは俺に一礼して部屋を去って行く。俺は最高司令席を後ろに向け、窓側に目を移す。日が暮れようとしていた。


「……もうすぐ、お前の仇に会えそうだな」

「…………。……フィルドのことですか?」

「他に誰がいる?」


 俺は“彼”に背を向けたまま話す。黒いフードを被ったその青年は、俯き加減のまま俺に返事をする。


「フィルドは確かに僕の姉が死ぬ原因になった人です。ただ、あなたもその1人である事を忘れないで欲しいですね。僕たち姉弟を部下として扱い、最後には切り捨て、殺そうとした。姉は僕を守って死にました」

「……ああ、そうだな。では、フィルドと組んで俺を殺すか?」

「いいえ、今はそんなことはしません。あなたを殺すのはフィルドを殺してからです。そろそろ、僕も失礼させて頂きます」


 そう言って、生意気な青年は俺の下を去って行く。“アレ”は俺とフィルドを怨んでいる。フィルドを殺した後に俺を殺すつもりらしい。全く不愉快な道具だが、フィルドを殺す為には有能だ。使わん手はない。

 ……もっとも、フィルドを殺せれば、もう用はない。俺自身の手であの青年を殺し、俺はシリオードへと向かう。


「最後に勝つのは、黒い夢か白い夢か……。そろそろ決着の付け時だな……」

  <<『オペレーション:ラスト』とネオ・連合政府軍>>


◆オペレーション:ラスト・07【遂行中】

 ◇派遣メンバー:パトラー

 ◇派遣エリア:カオス支部

 ◇ターゲット:パトフォー、ネストール筆頭大将

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