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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第7章 陰の都市 ――暴風都市ストームシティ――
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第24話 ウィンドシアの本音

 突然起きた爆発のような音。それと同時に建物が揺れた。衝撃波のようなものまで微かに伝わってきた。……まぁ、普通じゃないな。

 私は剣を手に取り、部屋から飛び出す。コミットがいないこととこの爆発音。なにか関係があると考えた方がいいだろうな。

 赤い警告灯が灯された薄暗い廊下を走っていると、やがて広い廊下に出る。そこにいたハーピー兵が槍を手に私に突きかかってくる。……そういうことか。


「殺せっ!」

「ウィンドシアの裏切りはなかったようだな」


 ハーピー兵は槍の先端に衝撃波を纏うと私に向かってくる。翼を大きく広げ、空中を飛んでくる。早い動きだ。

 だが、私は突き殺される直前で素早く身を屈め、下からそのハーピー兵の腹部を甲冑ごと斬り裂く。一瞬の出来事だった。彼女は血を撒き散らしながら、壁に激突する。


「う、うわっ!」

「どうなってるのっ……!?」


 私は動揺するハーピー兵を放置し、廊下を走って行く。一刻も早くコミットとシリカと合流した方がよさそうだ。

 走りながら、私は左手首に装備した無線通信機に触れる。すぐに“向こう側”のクローン兵が出る。


[はい、こちらは少将のサーラです]

「サーラ、ウィンドシアの降伏は偽りだった。直ちに作戦にかかれ」

[イエッサー、フィルド中将]


 そう言うと、サーラは通信を切る。私はコミットのアドバイスで念のためにクリスター政府軍の一部隊をストームシティのすぐ近くにまで連れてきていた。その指揮官はサーラだ。さて、あとは手遅れになる前にコミットとシリカに出会わないとな……


 ハーピー兵と戦いながら、しばらく廊下を走っていると、前方の廊下でも戦いが起きていた。2人のハーピー兵が誰かと戦っている。一筋の稲妻が、ハーピー兵たちの胸を貫く。彼女たちは槍を落として倒れる。

 私は今まで走っていた廊下から、その廊下へと出る。そこには、白い服を纏った片目のクローン兵――シリカがいた。


「フィルド!」

「シリカ、ウィンドシアの――」

「分かってる……。騙されたらしい」

「……コミットは?」

「一緒じゃないのか!?」


 シリカがそう言った時、急に何か鋭いモノが飛んでくる。私はそれを素早く剣で弾き飛ばす。弾かれたそれは壁に当たると小さく爆発する。アロー型の小型爆弾か?

 私とシリカはそれが飛んできた方向に目をやる。砂煙の中を数人のハーピー兵が歩いてくる。いや、1人だけやたら翼の大きいハーピーがいる。


「ウィンドシアだ」

「……らしいな」


 私とシリカは戦闘態勢に入る。もうウィンドシアとの敵対は間違いない。すぐにでも彼女を倒そうと思った。だが、――


「シリカ様、フィルド様。お休みのところお騒がせして申し訳ございません。コミット様が急に暴れ出すものでして、私も驚きましたよ……」

「…………!」


 2人のハーピー兵に引きずられたクローン兵――コミットが私の前に投げ捨てられる。私は彼女の側に駆け寄り、その身体を抱き起そうとする。


「フィ、フィルド中将っ、ウィンドシアはっ……!」

「分かっている。降伏は――、…………!」


 コミットを抱き起すと、その腹には黒い羽が2本刺さっていた。普通の鳥に生えている羽よりも3倍近く大きい。それが矢のように刺さっていた。……そうか、さっき飛んできたのも――


「フィルド様、コミット様とのご再会、おめでとうございます。そのお礼として、みなさんの命を私に差し出して頂ければと思うのですが、如何でしょうか?」

「……はい分かりました、とでも言うと思っているのか?」


 深く傷ついたコミットを、私はシリカに引き渡しながら、ウィンドシアの戯言に答える。


「やはりそうですよね。……では、勝手に頂いていきますね」

「できるかな?」


 私は腰に装備した剣を勢いよく抜き取りと、ほぼ間を置かずにそれを横に振る。黒い斬撃――ラグナロク魔法を纏った斬撃が目にも留まらぬ速度で飛んでいく。


「…………!」


 飛んでいく斬撃に、ハーピー兵の上半身と下半身が斬れ別れる。槍も半分に斬れ、おびただしい血が石造りの床に飛び散る。斬れ飛んだ上半身が転がる。残った下半身が崩れるように倒れる。……私は部屋を出る前、万が一のことを考えて剣にラグナロク魔法を纏わせていた。それが功を奏した。

 だが、ただ1人だけがこの攻撃を避けた。――ウィンドシアだ。元ハーピー王国軍隊長にして連合七将軍の地位にある彼女の実力はホンモノらしいな。


「さすがです。私もフィルド様ほどの実力があれば、パトフォー閣下もベーチェルをも殺して自らの手でハーピー王になれるのですが……」

「お前が王になったら、すぐにクーデターを起こされて終わりじゃないか?」

「それを抑えるために王国軍があるんですよ、フィルド様」

「…………」


 ウィンドシアの中では軍は民を守るためのものではないらしい。その点でもクリスター政府とは考えを異にしている。


「あなた方3人の命で私はハーピー王の地位に近づけます。本当に申し訳ないのですが、お命頂戴しますっ!」

「…………」


 私はシリカに手で合図する。彼女はその場から走って行く。ここにいると戦いの巻き添えを喰らう可能性もある。どこか別の場所に退避させた方がいいだろう。

 コマンダー・プルートとどっちが強いのかは知らないが、彼女との戦いも慎重にいった方がよさそうだ。私は剣を強く握り締め、その場から飛び上がった――

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